早速ですが・・・写真はシソの種子です。
大きさは1mm程しかありません。しかし、その生命力は驚異的で、畑に自然にこぼれた種子は翌年だけではなく、その翌年も、またその翌年も・・・パラパラと発芽してきます。5年経ってもまだ発芽してきます。特に、紀州在来紫蘇は野生型の特徴を色濃く残している古い系統ですので、種子の「休眠」が深く、何年にもわたってたまたま目を覚ました種子が発芽する傾向が強いです。
そもそも、野生の植物では、同時に発芽したあとに干ばつ、水害、病虫害などで全滅するのを避けるため、同時に発芽しないように「休眠」というシステムが発達しています。それも、同じように「休眠」するのではなく、ひとつひとつの種子が異なる「休眠」の深さにあることが、発芽後のリスクを分散させるために重要です。
このような「休眠」は、栽培植物(作物)ではとても迷惑な特性です。なにしろ、種子を播いても期待通りに芽が出ないわけですから。そこで、紀州在来紫蘇の場合は、発芽しない種子があることを前提に、必要な株数よりもかなり多くの種子を播くようにしています。
また、播種後の環境が「紀州在来紫蘇様」の気にくわないと、芽を出さずに引きこもってしまいます。それで、今年のように、発芽がうまくいかず苗が育てられないという事態にもなってしまいます。野生に近い紀州在来紫蘇のご機嫌はかなりデリケートです。