2015/06/16 15:50

2年前にCAMPFIREにて開発プロジェクトを行い、現代に蘇ったLomography New Petzval 85mm Lens。本プロジェクトの前身のレンズとも言えるPetzval 85mmレンズのレビューを、本日皆様にご紹介したいと思います。本記事のレビュアーは日本の活動的なロモグラファーgakurouさん。彼の地元山口県がLomoChrome PurpleフィルムとPetzval 85mmレンズで幻想的に写し出されてる写真と共にお楽しみください。

ペッツバールのぐるぐるボケをまだ味わったことのない方は、ロモグラフィーのペッツバールレンズと光との重要な関係性、そして光がぐるぐるボケにどのように作用するのかについてもご参考にしてみてくださいね!

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Petzval Lensが教えてくれたこと ―太陽の輝蹟―

今まで光を意識してなかったわけではないけれど、Petzval Lensを使うようになって、より光を意識するようになった。 日中に見える物は、すべて太陽の光の反射によるもので、その最大の光を捉える方法をPetzval Lensが教えてくれました。 まったく当たり前のことを書いていますが、ちょっと読んでみてほしい光の捕え方です。

まず見て欲しいのは、順光の朝日で撮れた「?」キラ+ぐるぐるぼけの写真。


(c) gakurou (自作の「?」マークの絞りプレートを挿入して撮影)

あまりいい写真とは言えないけど、ぐるぐるぼけを狙って撮ろうとしたら「?」キラぼけも一緒に撮れた。
この後、少し太陽が高くなると、このキラぼけは撮れなくなった。

キラぼけを撮るのに、ある程度の強い光が必要なのはわかっていた。
でも日光が一番強いのは正午ごろのはずなのに、昼には撮れずになぜ朝なのか?

このキラぼけの元は、見上げた木々の葉っぱで、光源は太陽。
朝の低い位置の太陽の光が、後ろから来て―葉っぱに反射して―カメラに届く。

そう、すごく単純なことだった。
太陽の光の反射の角度が良かっただけの話だ。

今まで僕が日中の光で気にしていたのは、順光と逆光、光線の具合で影になる、ならない部分くらいだった程度でしかなかった。
あとは水面やガラスなどに反射した太陽光を、光として効果的に写真に入れる事くらい。
『光線』という言葉は知っていたのに、その角度や反射にまでは気をつかっていなかった。

「順光」という言葉の意味を取り違えていた部分もある。
「順風」と同じような認識で、後ろから光を受けているだけの感じにとらえていたけど、光は風とは違う。
光は物に当たっても、そこで止まって終わりということはなく、透過、吸収されなかった光は反射して直進し続ける。
その反射した光を受け止めることが、物が見えるということ、写真に撮れるということなのだと、Petzval Lens を使ったことで再認識させられた。

これはキラぼけを撮る時だけの話ではない。
太陽光の反射の角度さえ合わせられれば、その時の太陽の最大の反射光を捉えられるという事を意味する。
絞りやシャッター速度を調整できないトイカメラ、そして湿気の多い日本でコントラストの強い写真を撮るための助けになる。

自分の目線、光線の角度、被写体との距離と角度で、最大の反射光を捉えられる場所は変わってくるが、小難しいことを考えなくても被写体の一番輝いている場所が、最も太陽の光を反射している場所だ。
(もし正確な反射の場所を知りたければ、「光の入射角と反射角は等しい」という反射の法則を思い出してほしい)

この最大の反射光は、強すぎて白とびしたり、露出を狂わせたりするかもしれない。
それに被写体のアングル、構図との折り合いをつけるのが難しいこともあるだろう。
それでもこの光の場所を意識するかしないかで、写真の印象が変わってくるはず。
似た色の絵の具を使って描かれる絵と違って、銀塩写真は見えた光そのものをフィルムに焼きつけるのだから。

と、前置きが長くなってしまいましたが、朝の光の反射を意識して撮った Lomochrome Purpleの写真をご覧あれ。









(c) gakurou

光を意識することで、メリハリのある写真を撮ることができました。

最後に、「あ、キラぼけを撮るのを忘れてた」とフィルムの終わりにあわてて撮った2枚の写真でお別れしましょう。



(c) gakurou

 

元記事: ロモグラフィーWebマガジン「Petzval Lensが教えてくれたこと ―太陽の輝蹟―
アルバム: Petzval and Fisheye "Somewhere in this World"

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この記事内のPetzval写真はLomoChrome Purpleフィルムを使用されています。
普通のカラーネガ(C-41現像)ながら、自然の色合いを紫のトーンに変色させるとてもユニークなフィルムです。

ちなみにこちらのフィルムは2,500円のリターンに含まれていますので、gakurouさんの写真の色合いが気に入った方はこちらのご支援も合わせてご検討いただければ幸いです。
この2,500円のリターンの中には他にも35mm LomoChrome TurquoiseフィルムISO 400のカラーネガ3本が含まれているので実はとってもお得にロモグラフィーのフィルムを楽しめるセットになっています!