「怖いね」、「ホント、怖いよね」
この1~2ヶ月間、生活困窮者支援の現場に関わる者同士が顔を合わせるたび、口にする言葉です。
ウィルスはもちろん怖いのですが、私たち支援者が同時に怖れているのは、かつてないスピードで貧困が広がっているという事実です。
私たちのもとには、3月頃から自営業、フリーランスで働く人たちから「家賃が払えない」という相談が寄せられるようになりました。
4月になると、緊急事態宣言が発せられ、首都圏ではネットカフェへの休業要請により、そこに寝泊まりをしている人たちが一斉に行き場を失う事態が発生しました。
2008~2009年のリーマンショック、派遣切りを上回るスピードで貧困は急拡大しており、どこまで広がるのか、先の見えない不安が広がっています。
今、最も恐怖を感じているのは、収入が激減し、貧困に直面している人たちです。その人たちを孤立させないため、各地で生活困窮者支援のためのネットワークづくりが進んでいます。
東京でも、生活困窮者支援に関わる団体・個人の連携を進めていますが、大阪で組織の枠組みを越えた緊急プロジェクトが立ち上がったのは、私たちにとっても励みになりました。
すでに個別の相談について東西の連携も始まっています。「怖いね」、「ホント、怖いよね」と言い合っていても、恐怖心を克服することはできないかもしれません。
でも、さまざまな団体や個人が横につながり、「今、できること」を模索し、実践していけば、状況は打開できると私は信じています。
「新型コロナ・住まいとくらし緊急サポートプロジェクトOSAKA」をぜひ応援してください。「あの時は、怖かったね」と言い合える日を迎えるために。
稲葉剛(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事/認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表)