2月9日(木)の和光高校訪問レポートを、3年ゼミ長の森公崇君がまとめてくれました。
どうぞご覧下さい。
先進校学校訪問レポート「和光高校」
- 日時:2017年2月9日(水) 9:30~12:30
- 場所:和光高校 第二コンピューター室(多目的室)
- 見学授業:2時間目 情報「情報キーワード プレゼン」
- 授業者:小池則行先生 1年2組(40人・欠席1人)
- 訪問者:小澤、面田、本間、森、新田 野中(自費参加)
〜授業の概要〜
①教室設備、準備
・生徒はA,B,C,D各ブロックに10人ずつ着席(既にグループ分けされている)
・各ブロックには丸テーブル、椅子(背もたれなし)、スクリーン、Macbbok、プリント等回収BOXが用意されている。
・教室正面には電子黒板あり
・プレゼンする際に使うスライド(keynote)は冬休み中の課題として作成済み、既に小池先生に提出済み
・プレゼン資料の作り方、情報の集め方、引用マナーなどは既に学習済み
・和光高校OBで大学2年生の佐藤さん、山田さんもアシスタントとして参加
②本時の流れ
・本時は1stラウンド、5人が発表
・発表3分、フィードバック用紙記入2分、交代準備時間1分 計6分のサイクル
・正面の電子黒板に計時は表示してある。3分経過すると呼び鈴が鳴る。
・各ブロックで発表している内容は違うが、計時は同時に進んでいる。
・情報キーワード(プレゼンするテーマ)については、小池先生があらかじめ80個くらい用意しておき、生徒たちはその中から好きなものを選んでプレゼン資料をつくっておいた。(テーマが被ったら、ドラフト会議のように抽選して割り振る。)
・プレゼンテーマ例:「(ネットの)炎上」「クリエイティブ・コモンズ」「モバイルデータ」「デジタル万引き」「フリーWi-Fi」etc…
・フィードバック用紙(B6サイズくらい)には、「からへ」と記名するところがあり、発表者に対しての評価を3〜4行で書く。
・授業の最後に各ブロックで一番良かったプレゼンテーターを投票によって決定する。投票用紙が配られ、それに記入後、テーブルの中央に置いてある回収用箱に入れる。小池先生は授業後これを回収、集計し、各ブロック4人の代表者を決める。
・ブロック代表者は決勝戦に参加する。
③次時の流れ
・2stラウンドを行う。流れは1stラウンドとほぼ同じ。
・また、ブロックの最優秀者を決め、前時と合わせて8人の代表者が決定する。
・決勝戦では、8人がプレゼンをし、クラスの最優秀プレゼンテーターを決める。
〜見学者の感想、気づいたこと〜
・聞く側の生徒の反応が良く、活気あふれる授業だった。よくあるプレゼンの授業では、40人クラス全員の前で、1人で発表するというパターン。これでは、緊張しすぎて上手く喋れない、場が白けやすい、などデメリットが多い。今日の授業のように、10人という程良い人数の前であれば、良い緊張感を持って発表できる。また、他グループの盛り上がりも意識できる。
・時間をしっかり区切って効率的にプレゼンを進めさせているため、授業にメリハリがあった。
・フィードバックが工夫されていた。授業の前に「評価シートを発表者本人に渡すからね」と前置きをしておくことで、フィードバックをちゃんとやらなきゃ、ある程度の分量を書かなきゃ、と生徒が意識している。
・自由な校風が授業にも色濃く反映されていた。(教師としては見づらいのだが)色ペンを使って、発表者ごとに色を変えてコメント書いている女子生徒がいた。細かいところは生徒の「自由」に委ねている?ちなみに、金髪・茶髪の子やピアスをしている子もちらほら見られ、どうやら校則は厳しくはないようだ。
・デジタルとアナログを上手く使い分けていた。今回の授業では、フィードバックが紙媒体だったが、決勝戦の投票ではグーグルフォームを使う予定らしい。
・教室の備品にも工夫が見られる。背もたれがない椅子を使うことによって、居眠りをする生徒がいなく、積極的な授業への参加を後押ししている。自由な中にも細かい配慮(制限)を加える事で、個性的な生徒たちとの授業が成り立っている。
〜私達が学ぶべきこと、還元できること〜
1,アナログとデジタルのハイブリッド
フィードバック、投票、すべてをデジタルで行うこともできたが、小池先生はあえてアナログを投入し、上手く使い分けていた。紙媒体には、話を聞きながらメモしやすい、デジタルデバイスに比べて気持ちを入れてしっかり自分の言葉を書ける、などといったメリットもある。それらを勘案して授業づくりをしていかなければならない。
2,子供たちの特性にあわせた授業づくり
和光高校は制服がない、フィールドワークを大事にしている、など活発で自由な校風が売り。生徒たちも前述の通り、個性的。ゆえに、普通の講義型の一斉授業などをすればうまくいかないだろうが、小池先生が提案するような言語活動をたくさん取り入れた授業なら、子どもたちに特性にも合っているし、盛り上がる。子どもたちの特性に合わせた授業づくりが大切。
3,同僚の先生方の関係性・できることから始める
小池先生はグーグルクラスルームを導入したり、chromebook等のデバイスを活用したりと、最先端を進んでいる。それに便乗して、ICTを導入しようと模索する先生もいる一方、乗り気でない先生方もいる。むしろ、後者が大半。他の学校にもこの構図が当てはまる。
なんとか多くの先生方を巻き込むとともに、小さなできることから始めたい。例えば、小池先生はデバイスの収納にガムテープで補強したブックシェルフを用いるなど工夫を見せてくれたうえで、予算がなくてもできることはあると強調していらっしゃった。
ICT導入はそんなに仰々しいものではない。ICTへの垣根を少しずつ取り払うことで、多くの先生方の興味を惹きつけ巻き込むことができるのではないだろうか。
4,その他(小池先生のお話)
・情報室は予約制。他の教科でも授業で情報室を使うことがある。
・今の子供達はスマホネイティブ世代と呼ばれ、実はパソコンが全く使えない。パソコン知識ゼロ状態と思って授業を始めるべき。そのため、前期の授業では、タイピング、メール作法(シグネチャー(署名)を入れる等)ばかりをやる。
・メールの署名について学ぶ前提として名刺作りの授業をやっていた。名刺にどういう情報を書き込むか。そういう情報にはどういう意味があるかを考えさせた上で、メールの署名の意味を理解させるという流れ。こうしたところにも、アナログとデジタルを使い分け、組み合わせることによる学びがあった。
・You Tubeの活用もしている。例えば、Excelでデータ処理をする課題を出した時。グラフ作成の仕方を動画編集して、You Tubeにアップ(限定公開?)し、生徒たちはそれを上手く視聴しながら課題をこなす。You Tubeを使うと、授業中に関連動画を見だす生徒がいるのではないか?と怯えていたら、それはもう時代遅れ。You Tubeのフィルタリング機能はかなり向上していて、授業に関係ない動画を見られないように設定できる。
・フィルタリング機能については、chrome bookにも同じことが言える。
・生徒一人ひとりにGoogleのアカウントを配布してある。ただ、アカウントは卒業後は無効にしてしまう。(→卒業後にも使えるようにしたら、卒業生との連絡がとれて且つ学校教育を応援してもらいやすいのでは…?by野中T)
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