2016年3月に発行された冊子「LOOM」のインタビューの中でトレンドユニオンの家安さんが語った言葉。この言葉が山梨での織物を活性化するプロジェクトに関わる中でずっと心の中心にあります。
クリエイティブな未来ってなんだ?
この街にしかない強みってなんだ?
どうしたらクリエイティブは育っていくのか?
市場はどこにあるのか?
常に問いかけ、トライ&エラーを繰り返しています。
話は少しそれて、先日の早朝、ジョーカーズテーラーの小林くんに呼ばれて広告ビジュアルの撮影に立ち会ってきました。
モデルは彼のお店でスーツを仕立てた街のお茶屋さん、福祉作業所の所長、市役所職員、機屋さんの4人。撮るのは機屋兼カメラマンの竜康さん。
大のオトナが4人も5人も揃って朝早くから大真面目にビートルズになりきってがんばる。全員が楽しんでたすごく良い時間でした。そして、めちゃくちゃいい画が撮れた。
やりながら、その時間はぼくが探していたクリエイティブな未来都市に流れる時間そのものじゃないかと思えました。
“なんにもない”と街の人たちはいうけれど、この街にはかっこいいお兄さん、お姉さんがたくさんいます。おもしろいことをやっている、(あるいは胸の内に秘めている)若者もたくさんいます。
さまざまな刺激を受けて、この街に住むことを選んだ人。街に住みながら、じっくりと自分の感性を熟成してきた人。まだまだたくさんの人がいろいろなところに眠っているように思います。
同じように、一見地味そうな産業や工程の中にも、長い時間の中で磨かれてきた目をみはるような工夫、鍛えられてきた手の感覚は必ず宿っています。
“繊維なんて”と業界の人は口を揃えてため息をつくけれど、人の手でものを生み出す行為はとても尊いものだとぼくは思う。
織り機につどうは、形になりづらいそういうものを見つけ出し、感じてもらうための装置であればと思っています。