年の瀬でお忙しいところ失礼します、松川です。
(写真は土佐あかうしそっくりですが、マルキジャーナ Marchigianaというイタリアの牛で、成長すると真っ白になります)
柚子に取り掛かる前の研究は、体力的に非常に大変な思いをした一方で、”持続的な畜産を営むためにはどうすればよいのか?”という漠然と考えていた問いに大きなヒントを与えてくれる研究でもありました。
(1)土佐あかうしの摂食量(インプット)、排泄物量(アウトプット)、それらを構成している元素量を計測することで、マスバランス (物質収支) が分かります。つまり毎日食べたものが、どのくらい身になり、どのくらい排出されるという物質の循環が元素のレベルで評価できることになります。
(2)さらに物質の循環として、私たちは特に”P (リン)”に着目していました。化成肥料等に利用されるリン鉱石を日本は100%輸入しています。排出される牛糞にはリンが多く含まれるため、効率的に取り出す方法を京都大学の先生方が中心となり検討していました。
(3)また、排出された糞尿は時間をかけて堆肥にしますが、その過程で地球温暖化の原因となる二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの温室効果ガスが排出されます。これらの排出量を減少させる工夫を検討したりしました。
これらの"環境"に注目した研究と、”美味しい牛肉”を生産するための研究を同時並行させたのが食用カンナの飼料化研究でした。
現在、巷では”肉ブーム”といわれ、雑誌やテレビで牛肉が特集されたり各種イベントが盛んに催されたりしています。しかしこれらは、海外から輸入される牛肉あるいは飼料によって、さらに毎日家畜のお世話をしてくださる生産者によって支えられています。生産性と効率を追究した”工業的”畜産によって物質の循環が途切れ途切れになっている一方で、国内の肉牛生産者は災害、病疫、風評被害、政府の政策、国際情勢等によって振り回されているのが現状です。
もし、地域にある資源を有効に活用することで、生産者の方に貢献でき、美味しくて安全な国産赤身牛肉を消費者の方に提供でき、土佐あかうしが増えれば・・・・さらに環境面でも優しい持続可能な畜産を考えていたところに、柚子をご紹介頂きました。
ただし、大学で研究として実施するからには単に、「柚子の持つイメージ (体によさそう)→土佐あかうしに給餌(希少なためにプレミアがある)→何か変わったかも?→”ブランド牛"の出来上がり!」は絶対にしたくない、
ということで研究を始める前に、これまでの給餌試験にはない戦略(?)を立てることにしました。
(つづく)





