日々ていねいに子どもたちと接する
『そして、生きる希望へ―貧困に立ち向かう子どもたち』(阿蘭ヒサコ・冨部志保子、NTT出版,2015年)を読む
子どもたちは、生きる希望や尊厳を奪われたり、誰かに相談したいと思っても相談できる相手を持てなかったり、つらく厳しい状況を強いられている。本書は、「関係性の貧困」にある子どもたちとどのようにつながり、豊かな関係性をつくり出すことができるのか。そうした問題意識をベースに、「貧困家庭における子どもの居場所」と「両親と暮らせない子どもの社会的養護」というテーマで執筆された二つの小説である。
小説を執筆するにあたって取材をした子どもの貧困問題に取り組む社会福祉士に投げかけた問いが、本書の解説にある。「関係性の貧困」の中にいる子どもたちに対して、「近所のおばちゃん」として何をすればよいのか。地域に生きる一人として,子どもたちに何ができるのかを聞いたという。
私なら,なんと回答するのだろう。
この社会福祉士は、「見かけたら挨拶をして下さい」と答えた。困った事態が起こったときに助けを求めるのは、いつも挨拶をしてくれる近所のおばちゃんだというのである。子どもや家庭に踏み込むのではなく、子どもや家庭に踏み込まれるような信頼関係が地域にあるのかどうかが問われている。「関係性の貧困」のなかにいる子どもたちを助けようとするのではない。でも、踏み込まれる人になろうと力を入れすぎるのでもない。子どもたちを支援の対象と見る前に、私たちおとなが日々人としてきちんと対応しているのかどうかが求められている。子どもたちの前で毎日ていねいに生きることが、子どもたちの希望になることを教えられた一冊である。
「子ども未来応援プロジェクト延岡」の活動は、地域に「ナナメの関係」をつくり出そうという試みである。困った事態が起こったときに助けを求められる関係をつくり出す。そうした活動を応援したい。
宮崎大学大学院教育学研究科 准教授 竹内元
雪を知らない南国宮崎の
児童養護施設の子どもたちに
スキーを体験させたい!!
みなさまのご協力と応援をお願いいたします。
FAAVO宮崎 https://faavo.jp/miyazaki/project/3342





