2015/10/16 23:21
前回に引き続き、朝倉染布の工場潜入。今回は染めと撥水についてお送りします。 ----- 小:染めの調色の部屋が研究室ぽくってテンションあがりましたね。 乙:朝倉染布さんですから、染めは本領かと思いますが、伝統にとらわれずにいろいろな新しいことにも取り組まれている印象があります。 小:朝倉染布さんは、染色、整理、加工を担う会社です。 加工の中には、布にいろいろなものを定着させる技術があって、定着させるものによって、様々な機能を持った布が生まれるというわけです。 乙:なるほど。そもそも、朝倉染布さんが超撥水に取り組まれた経緯とは何でしょう? 小:もともとはオムツカバーの開発がきっかけだったようです。布のオムツが使われた時に、漏れないようにカバーするためのアイテムを作られたのが最初だったと聞いてます。 乙:オムツカバー!なるほど、この技術が非常に生きてきそうですね。 小:撥水加工オムツカバーは、80年代にヒット商品となったそうです。後に紙オムツの登場で、その商品自体は終わりを迎えるわけですが・・・ 撥水の効果は等級で数値化されます。5級は劣化なし。3級までは撥水性能をキープしていますが2級~1級だと撥水の効果は大分減ってしまうそうです。 超撥水風呂敷「ながれ」は、50回、100回洗濯しても、4級をキープしているんです。これもオムツカバーでの商品開発の経験が生きているわけですね。 ----- 乙:染めに関して言えば、グンマーパターン自体はインクジェット印刷になりますね。 小:そうなんですが、インクが実は特殊なものでして。普通のプリンターのようにその色そのままがプリントされるのではなく、プリントした後に蒸して温度を上げ、熱に反応するインクを使ってます。 乙:こちらでしょうか。もとのプリントは茶色ですが、蒸しあがると青になるんでしたかしら。 このグレイッシュな茶色が、熱を加えると・・・ 小:コレだ、「染付更紗」。だから布によっては裏側まで色が抜けて、染めているみたいな仕上がりになります。上の写真の布、熱に反応すると藍色のような青になりますね。 http://www.amazon.co.jp/ 朝倉染布- 超撥水風呂敷- ながれ- 染付更紗/dp/B00BQP0396/ref=pd_rhf_se_s_cp_4?ie=UTF8&refRID=1YT33NMME7D3SHWM6SAN 小:熱反応となると、一反単位(約45m くらい)で染めないと効率が悪いし、それでも釜のサイズを考えると、一度に4反くらい染めないと割に合わないでしょうね。グンマーパターンも4反くらい仕込みたいところですが・・・ 乙:なるほどー。ロットにはそういう事情があるのか。 小:そうなんです。普通に1m とか、2m とか、その単位で布にプリントする装置もありますけど、見比べてみると熱染料の方が鮮やかで、染まっているような自然な仕上がりになる気がしますね。 乙:グンマーパターンも、こちらの熱反応を利用しているということですね。 プリントしたてホヤホヤの「グンマーパターン」。 小:もちろん、灼熱の群馬ですから。あ、「グンマー」ですから。 乙:と、いうことは、プリントの時点では全然違う色で出てくるんですね。見たい! 小:確かに! んー、本番の製造に入るときは、その様子もレポートしに行きましょう。群馬を熱して、グンマーになるビフォアアフターを見たい。 乙:行きましょう行きましょう。 小:あと、染めと撥水加工。染めについては前回のモスラがやってくれますので良いとして、加工にもいろいろとあるようですよ。 これがその「モスラ」。 小:撥水の他、「油分を吸い取る」「吸収と速乾」「紫外線を通さない」、とか。紫外線を通さない布は、スクール水着として隠れたヒット商品になっているようです。 そういえば、吸水速乾は水着の上に着るウェアとして商品化されてますね。水泳したあと濡れた身体のまま羽織れば、身体の表面についている水分をグングン吸い取って外気に触れさせ、身体の熱でもって乾かす、というような。 乙:それでグンマーT シャツ・パーカーなんてのも作りたいですね。 小:いいですねー。弾くだけじゃなく、吸収しちゃうグンマーパターンですね。なんすか、その2面性。弾く時と吸う時、ツンな時とデレな時、悪く無い。グンマーの振り幅、出せますね。 乙:何言ってるのかだんだんわからなくなってきた。