2015/10/09 19:24
じわじわと支持をいただいており、誠にありがとうございます! さて今回は、この「ご当地迷彩グンマーパターン」を製作いただく朝倉染布株式会社さんの工場から、注目の工程をレポートしたいと思います。 (小=小保方貴之、乙=乙幡啓子) ----- 小 乙幡さん、繊維関係の工場に潜入したこと、過去にありますか? 乙 小学校の社会科見学で桐生の縫製工場に行きました。でも「布」関係は初めて。 小 桐生には沢山の繊維関係の工場がありますが、どんなことやってるかわからないですよね。朝倉染布さんは、染めや機能加工、それと整理の工場です。*整理=織物を規格のサイズに整える仕事 乙 朝倉さんの工場はとても広くてびっくりしました。 小 社員さんも若いですよね。 左:朝倉染布株式会社 右:染色の機械。正式名称不明。 小 来た、コレ。染めモスラ。 乙 染めモスラ(笑)そういう通称なんですか? 小 いや、私だけかと(笑) 乙 これ、パイプの中を布がぐるぐる回ってるというすごい機械ですね。 小 この中に染色液が入っていて、布を染めます。なかなかのサイズですよ。モスラみたいだし。 乙 この規模の機械があちこちにあって、機械好きならたまらない空間でした。 左:こうやって中を覗ける右:わかりにくいが、布がパイプの中を通っている 小 説明してくれる朝倉染布の久保村さんの話が、分子レベルの話で。フィラメントの中に染料が入ることはないから、染料の分子が定着して、等々・・・。 乙 物理的に染めるのでなく、化学的に熱を加えたことで糸が開いて染まっていく、とか。 左:広げるための装置。確かに地味ではある 右:乙幡のお気に入り 乙 私はこれが興味深かったです(上右)。布の端っこを縫って輪っかにして機械に入れる。ミシンを持ってきて、その場で縫い合わせてるんです。 小 染めの装置に入れる前の工程ですね。僕は、この機械(上左)。地味に好き。 乙 そうそう、バーが左右対称の螺旋になってて、それが回転すると布が自然と広がっていく。そこに目をつけるとは(笑) 小 モスラから出てきた布は、シワシワでヨレていて、しかも濡れてて長い。それを広げて扱いやすいようするために、7~8mの高さまで持ち上げ、ユラユラさせて落とすと自然に広がる。あの装置は、作業工程に重力を取り込んでいる・・・萌えません?(笑) 乙 どうしたら自動化できるか。その答えが「持ち上げて落とす」。持ち上げてぇ、落とす。 小 日常生活でそんなことされたら凹む…。 乙 記号で言うと「↑ ↓」 小 ツライ・・・。 乙 なんで布に感情移入するんですか。 左:オーブンの入り口。ここで最後に熱を加え、乾燥させて完了 右:この内部に、超撥水の秘密が・・・(ゴクリ) 小 で、だいぶ前フリが長くなりましたが、今回のメインは超撥水。 乙 だが撥水加工工程、これは企業秘密でした。 小 セッターという最後の機械の前に、溶剤につけ込むんです(上右)。それを「ある温度である時間」(ここが秘密)セットすると、あの撥水が完成します。 風呂敷にしたたり落ちた水が、表面張力MAXで滑り落ちていく!社員さんの手作りシャワー什器だ 小 これが、超撥水風呂敷のデモ用装置。上部から落ちる水を弾いてます。 乙 手作り什器、モノづくりの底力を垣間見た瞬間でした。 小 そういえば乙幡さんは、超撥水技術とどこで出会いました? 乙 2011年のグッドデザイン賞でしたね! 小 実際、あの時期は(2011年10月頃)例の震災の後で粛々としていた。そんな最中に受賞を聞いたのを覚えてます。実際、緊急時に水を汲んだりするのにも便利そうだなと思いました。 乙 布一枚で水汲みに使えるほど撥水力があるというのがすごい! 小 そう言えば、以前、撥水加工をした布でパーカーを作ったんです。  nunotechで学生コンペを開催した時、前橋工科専門学校の学生のアイデアで「カッパーカー」っての試作して。それを着て雨の中走り回ったら、パーカーのフードに水が溜まる。水を汲めるんだから、溜まるよね、と。それがヒントになってポンチョのフードにも、水抜きがあるんです。 乙 ほほぅ!そこから改良とは。それは楽しみ。そのための水抜き機構、って面白いですね。 小 失敗から学びました(笑) ----- 次回は、染めの技術と、超撥水の実体に迫ります!