今回の改装プロジェクトから私たちコメタクに加わってくれた、デザイナーの茂木芽衣さん。いわば、4人目のコメタクのような存在です。
昨年末から何度か対話を重ね、今年の4月に内野町に移り住んでいらしたのと同時に、
本格的に私たちの活動に加わってくださいました。
コメタクを芽衣さんなりの感性と想像力で受け止めて、
よりコメタクらしく、より好きになれそうな空間をデザインしてくださっています。
そんな芽衣さんに、改装にあたっての想いを綴ってもらいました。
じんわり沁み込む言葉をいただきましたよ。
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ハンバーガー屋のカウンターで、
メニューにアレコレ迷って、レジの人をイライラさせてしまうことがよくある。
早く注文が通れば、すぐ調理に取りかかれるし、
回転率も上がるし、効率がいいからだろう。
迷惑をかけてしまった。と思う。
けど、こうも思う。今私は「顧客のかたまり」なんだなー、と。
流れてくるモノとして扱われたような。
レジのバイトの子が覚えたマニュアルは、
「多くの顧客向けのサービス」であって、
目の前の私向けではないような。
内野町での暮らしについて語るとき、
そんなハンバーガー屋での体験が頭をよぎった。
この町で買い物をすると、
「ちょっと丸くなったね」と太ったことを指摘されたり
「今日は歩き?」と何気ない質問をされたり
「若いんだっけ食べれ!」っておすそ分けしてもらったり
なんだか、
一瞬でも目の前の私を見てくれてる感じがする。すごくする。
それだけで、どうしてこんなに嬉しくて、
「なんかいい日だった」て思えるのだろう。
豊かな気持ちになるのだろう。
いろんなものの効率化や合理化が進んだ今、
自分を「一人の人間」として認識される機会って、かなり減っていると思う。
それを求めることが、ちょっと贅沢のような気さえする。
だからだろうか。この町での暮らしが心地いいのは。
内野で米屋をするコメタクと、
飯塚商店の改装デザインを考える話が来た。
彼女たちが何者なのか初めはふわふわしていたけど、
活動を見ていてひしひしと伝わるものがあった。
コメタクの活動の中では、「自分の感覚に向き合う」時間が
とても大事にされているなーと思った。
「米の食べ比べ」をする時は、見た目はほぼ同じ米を三種類も見分ける訳だから、
結構真剣に味わう。今甘みや粘りを感じている。これは好きか、嫌いか。
同時に、ふだん自分は自身の感覚にかなり鈍感だったことを発見する。
活動を通して、「私ってこんなこと感じてたんだ」ということに気づかされる。
彼女たちが届けたいものが少しわかってきた。
空間デザインを考えるにあたって、ゆるく掲げたテーマは「感じる、コメ屋」。
きた人が、それぞれの感覚や感性に向き合って「自分で感じる」「自分を感じる」場であってほしいと思った。
だから、すごいスタイリッシュさやオシャレさはないけど、
誰もが見たことのある、コメにまつわる日用品や飯塚商店にもともとあるものを活かすようにしている。
みんなの感覚に寄り添えるような、
感性をちょっと刺激するような。
内野という町もコメタクも、ふだん「大勢」中に埋もれているたった一人の「自分」の存在に気づかせてくれる。
これからできるこの場所が、
「多くの顧客」じゃなく、「目の前のあなた」を見れる場所になるといい。
「なんかいい日だった」と思える空間になるといい。
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はあ、そんな想いでデザインしてくださったのかと、初めて知りました。
そんな芽衣さんが描いてくれた絵をもとに、私たちも想像と期待を広げて、
日々あれやこれやと動いています。
芽衣さんのデザインに、言葉では言い表せない何かを感じるのは、
芽衣さん自体がその場の空気やそこにいる人、モノの関係を感じながらデザインしているからなのでしょう。
あったかいなあ。
芽衣さんと一緒になにかをつくれるということ。一緒に何かを届けられるということ。
そのことにも、今はとってもわくわくしています。
がんばらねば。がんばりたい。
純粋にそう思える今を大切にしようと思いました。
よし。よし。