私たちの生活に、耳慣れてきた「ソーシャルディスタンス」。
しかし、世界で最も大きい難民キャンプのような密集地域では「ソーシャルディスタンスは不可能に近い」とCAREのアジア地域担当ディレクターのディープマラ・マラ氏(写真右)は言います。
彼女は、コックスバザールのような場所での新型コロナウイルス発生の影響と、CAREの活動と展望について説明してくれました。
■アジア地域の新型コロナウイルスの状況について
1月上旬から、私たちCAREは、新型コロナウイルスの問題について取り組み始めました。これは前例のないことです。今のところ、アジアでは、予想される患者や感染者、死者の数はどんどん増えています。しかし、アジア地域の多くで医療システムはすでにパンクしています。私たちは、検査施設の不足により、実際の感染者の数はもっと多く、報告された患者数が少ないのではないかと心配しています。バングラデシュでは、2億人の人口に対し、一つの検査施設しかありませんでした(4月10日時点)。
私たちの心配事はたくさんあります:一つ目は、この新型コロナウイルスに関する十分な情報がまだないこと。二つ目は、すでに医療システムが弱くなっていること。三つ目は、アジアの移民の数はとてもとても多く、コックスバザールを含む、大きい難民キャンプがいくつもあることです。さらに、中長期的な生計手段を失うという問題にも直面しています。この地域では、その日の夕飯や昼ごはんを稼がなくてはならない、その日暮らしの人がたくさんいます。
■ミャンマー難民の現状について
コックスバザールは世界で最も大きい難民キャンプで、85万5千人もの人々が暮らしています。平均で一平方キロメートルにつき、4万人が暮らしており、7万人の場所もあります。では、彼らはどのような住居に住んでいるのでしょうか。彼らが住むのは、とても低いセメント台に竹と藁屋根で組み立てられた、薄っぺらい小屋です。家族全員が一つの部屋に住み、飲み水を集めるための水道や、手洗い場、トイレのような全ての水や衛生施設をみんなで共有します。つまり、人々は一つの施設を使っているだけでなく、「密」な状態になっているのです。
さらに複雑なのが、難民キャンプの地形が平らでないということです。非常にでこぼことしていて、起伏があり、険しいです。つまり、年配の方や、身体障がい者や妊婦の方が移動するのは難しいです。そして、なぜ彼らがここにいるのかということを忘れてはいけません。彼らはこのキャンプに来るまでに、計り知れないトラウマや暴力に苦しんでいました。彼らは、精神的に最も強くなく、免疫力も低く、心に外傷を負った人々なのです。そのうえ、ソーシャルディスタンスを通じて人々が孤立するなど想像することもできません。
■女性と女の子たちへの影響について
私たちは、女性と女の子たちに焦点を当てて活動しています。封鎖により外出できないと生計を立てることが難しくなり、家計負担はより大きくなります。誰が最初に食事を諦めるでしょうか。それは、女性と女の子たちです。
さらに、彼女たちには、性と生殖のための健康も必要です。女性は、妊娠するし、赤ちゃんを産みます。感染拡大すると、産科などの、性と生殖のための健康のサービス提供の優先度が下がることがあり問題です。
そんな中でも、CAREが対応策を作り出すときはいつでも、現地の女性や女の子たちと協力しています。とても活気に満ちた女の子たちによるユースグループがあります。どんなに気の滅入るような環境でも、彼女たちと15分話せば、気分は良くなるでしょう。何度も、彼女たちは手洗い場をどこに設置すべきか私たちにアドバイスをくれました。
■これまでの活動で前進していること「情報がカギ」
私たちは、コミュニティに何が必要か、そしてその差は何か考えることから、仕事を始めています。例えば、コックスバザールの難民キャンプでは、情報がカギとなっています。そこで、私たちは、感染症の情報、衛生知識を、ポスターやパンフレット、短い動画や、ラジオメッセージに翻訳しています。CAREの活動のほとんどは、人々を集めて行っていましたが、今、それをすることはこれ以上できないので、私たちは家庭訪問を行うことで対応し、病院の安全と待合室の混雑緩和のために、保健所と協力しています。
希望は間違いなくそこにあります。私たちはまだ耐えなくてはなりません。私の心配事は、今は、新型コロナウイルスへたくさんの注目が集まっていますが、少し経って、私たちがそれに慣れ、このような困難にある人々への共感を忘れてしまうことです。もし、この危機的状況でそれが起これば、彼らの暮らしに悪影響を及ぼし危機的な状況をもたらすでしょう。
----------------------------
公開から5日間で既に温かいご寄付が集まっております。
現在36%、目標金額の3分の1を達成しました!!!ありがとうございます。
しかし、まだ支援は足りていません。
助けを必要とする人々に、必要な支援が届くように。
「プロジェクトを支援する」から応援をいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします!