106名の方にあたたかいご支援、そしてメッセージをいただき、ありがとうございました。ご支援の成果をご報告いたします。 地域や行政の協力を得て食料配布を行った。これまでのHFWの活動が知られていたため商店の協力も得やすかった5月21日から23日 、772名の女性とその家族、合わせて約3860名※に緊急食料支援を行い、消費の想定期間であった20日後に評価活動を行いました。その結果、配布前には食料が底をつき、ほぼすべての人が健康不良でしたが、配布後に健康状態が悪化した人はおらず、全員が生存の危機を切り抜けることができました。また、新型コロナウイルス感染症の感染防止の啓発活動も併せて行った結果、手洗いやマスク着用などが普及しました。特に手洗いは実践率が高く、苦しい家計であっても79%が石鹸を使った正しい手洗いしていると回答がありました。7月9日現在、対象女性に感染者はでていません。 地域の行政や政治的指導者と事前に協議し、協力を要請した結果、彼らが食料配布の企画に関り、配布にも立ち会うことが実現しました。対象女性のリストや窮状が把握され、対象者の選定や配布の透明性も理解されました。これらの工夫を通じて、今後、対象女性たちを公的支援に組みいれる道筋もつけることができました。また、行政が関わったことで食料を手にした対象女性に対する、地元の人々のねたみを避ける効果ともなりました。さらに対象女性たちは、この危機を経験して、これまでためらってきたグループでの貯金とHFWの栄養改善事業以外の活動にも参加し始めています。※計画時は790名だったが18名が転居。合計人数は1世帯およそ5名として算出 ●消費日数の見込みは20日間であったが、24%が10日以下、43%が15日以下であった。家族構成による違いもあるが、それだけ厳しい状況であったことが分かる。●健康状態は79%が不良と回答。食料配布前は、回答者のほとんどが健康不良であり、食料支援で健康状態が良くなったかという質問には、100%が「はい」と回答している。なお、妊娠は病気であるという認識が根強く、不良の数字に入っている。(全56名の事業の推進者が無作為に6名を選び、合計336名に10項目を聞き取った調査より )支援対象女性の声左)ハイラ・べグムさん 右)マルジナ・ベグムさんハイラ・べグムさん(ヘルバリ村) 私には夫と3人の息子がいます。長男は生まれつき心臓病で一番下の子はまだ1歳です。夫はダッカでリキシャを引いて日に400~500タカ(約500~600円)稼いでいましたが、コロナのために失業して家に戻ってきました。村人から25kgの米を借り、4000タカを借金しました。でも食料もお金もすでに底をついてしまいました。米さえあれば、青唐辛子とタマネギと一緒に食べることができます。でも今の私たちには食料を確保することができません。そんな時にHFWがサポートしてくれ、私たちは生き残ることができました。 マルジナ・ベグムさん (アヌパンプル村) 4人家族ですが、夫は心の病にかかっており2人の子どもは障害を持っているので稼ぎ手は私だけです。泥の食器を作っていましたが、ロックダウンで失業しました。畑仕事の手伝いなどもしますが、不定期です。お腹は空っぽが続くか、日にせいぜい1食を食べるくらいです。このような状況で、HFWの支援は私にとって大切です。今は、仕事を取り戻し、食料を得られるようになることを望んでいます。HFWが政府の支援体制に私を組み込んでくれようとしてくれていますが、まだ実現していません。他に良い考えもないですし、家族を食べさせるために、仕事の話があればすべてトライします。***バングラデシュでは、3月25日から続いたロックダウンは5月31日に解除され、その後少しずつ行動制限は緩和されてきています。しかし、感染拡大は収束しておらず、経済崩壊、医療崩壊などの影響も深刻です。 今後も、手を緩めずに対象女性たちに向けた栄養教育と家庭菜園のサポートを続けていきます。また、対象女性が公的支援体制に組み込まれるよう、現地政府へのアドボカシー活動を増強していきます。引き続きご支援を賜りますようお願い申しげます。▶ HFWをこれからも応援してみたい方はこちらへ
緊急食料支援にご支援くださった方にも九州にお住まの方がいらっしゃると存じます。被害にあわれている方々に、心よりお見舞い申し上げます。また、今後も被害が拡大する可能性がございますので、十分にお気を付けください。本日、バングラデシュ支部事務局長より、九州の豪雨災害の被害にあわれているみなさまへ向けたメッセージが届きましたので、こちらで紹介をさせていただきます。
6月23日(火)、バングラデシュのダッカ事務所からミトン支部事務局長が報告したバングラデシュのコロナ禍の現状とハンガー・フリー・ワールド(HFW)の緊急食料支援について2回に分けてご紹介している後編の今回は、HFW独自の緊急食料支援がどのように実施されたのか、困難や協力体制についてご紹介します。前編の記事は、こちらイベントの動画は、こちら*****新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、3月25日から全国で外出自粛が要請されたバングラデシュでは、HFWバングラデシュの事務所も閉鎖しを余儀なくされました。その後、私たち職員は、村や支援対象の家族の状況に関する情報収集のため、「事業の推進者(LSP)」と呼んでいるこれまでHFWが能力強化を行ってきた住民たちと自宅から電話でほぼ毎日連絡を取り続けました。カリガンジとボダでは合わせて56人のLSPが(事業を実施している)同じ村(※)で活動しており、1人のLSPが12〜16人の支援対象の女性を担当しています。これまでもHFWは政府と連携しながらLSPの養成を行なってきており、学んだ知識をLSPは支援対象の女性たちに広げる、というように活動してきました。(※2021年11月:「同じ村 (same villages)」を「10ヵ村(ten villages)」と誤記していました。お詫びして訂正いたします。) 今回、HFW職員が事業地に直接行けない状況下で、支援の鍵となったのが支援対象者と同じ村に住んでいるLSPでした。LSPは支援対象者に多くのヒアリングを行なっています。例えば、カリガンジに暮らす女性、ファルハナさんの場合は、5人家族ですが、夫が障害を持っているために働けず 、彼女が大黒柱として農場で労働することで生計を立てていました。しかし、外出自粛によって、農場での仕事がなくなり、収入が途絶えました。お金を借りて、 家財道具を売り払い、わずかな貯金も使い果たしてしまったと教えてくれました。(追記※ファルファナさんの夫は全く働いていないわけではなく、持病を抱えながら公共交通機関(バス会社)でアシスタントとして不定期ながら、わずかな賃金は得ていました。)HFWは常に自立支援を行なってきた団体です。そのため、今回も当初は政府に対して、貧しい人たちへの緊急支援を要請しましたが、政府はNGOから支援を受けてきている人々を支援の対象から除外しました。この状況を見逃すことはできないと考え、バングラデシュ支部から本部へ支援の要請をし、今回の緊急支援が始動しました。そこで問題になるのが、外出自粛の要請が出ている中、安全に食料を支援対象の女性たちに配る方法です。HFWでは、感染予防と地域経済の活性化、村における支援活動の透明性の確保という3点を重視した結果、クーポンによる村の商店での食料配布という形になりました。まずHFWが発行したクーポンと感染予防のポイントを記したリーフレットを各LSPが担当している女性たちに配布します、そして、女性たちはHFWと提携している村の商店でクーポンと引き換えに食料(米20キロ、豆2キロ、食用油500ml)を受け取ります。村の商店は集まったクーポンをHFWに提出することで、支払いをうけることができるという仕組みです。多くの人が集まって密集環境を作らないよう、一斉配布は避けました。また、通常5〜10kmほど村から離れている市場でなく村の商店にしたのは、女性たちの移動距離を短くするためです。さらに、村の商店にお金が落ちることで、村の経済が活性化し、「どこで何を受け取っているのか」が他の村人にも明確になることで、支援の透明性を担保するため、村にある商店での引き渡しを採用しました。その後、外出自粛は徐々に解除されつつありますが、新型コロナ感染症は拡大していますし、ボダとカリガンジで仕事を失う人の数は増えており、食料の入手がさらに困難になっています。現在、HFWの事業も予定していたものではなく、新たな支援事業を展開しなければならないと考えています。例えば、これまで以上に啓発に力を入れ、基本的な感染予防の方法や、収入に頼らず、家庭菜園で自ら食料を作っていく方法などを貧しい人々に伝えていかなければなりませんし、最も貧しい人に支援が届くよう、政府への政策提言も強化します。さらに、HFWのボダ診療所を通して医療サービスを貧しい人々に提供したり、精神的なケアをする大切さも感じています。「新しい生活様式」の中で、私たちの事業計画も修正し、これから必要とされる支援を展開したいと考えています。そのために、皆さまからのサポートをいただければと、心からお願い申し上げます。*****************【参加者のみなさんの関心が強かった話題】●自分たちでは支援先に行かずリモートにて支援実施●国の支援が、ほとんど期待出来ない事。外国からの支援だけを期待しないで、国を変えていくことを、考えていくべき ●コミュニティでHFWの活動が周知されていたため、商店の協力が容易に取れたという話です。長い間、時間をかけてコミュニティと信頼関係を築いてきたからことすぐに実現できた素敵で大事なことだと思います。*****************昨日(7/3)バングラデシュから簡易版ですが、報告書が届きました。そこには「支援対象の人々は生き残った」と書かれていました。ご支援いただいたみなさまありがとうございます。また、「彼らが政府支援システムに含まれるように、アドボカシーを強化する必要がある」とも。緊急食料支援は、今後の活動費を使って実施しました。活動を続けられるよう引き続きご支援をお願いします。次回の活動報告は、届いた報告書の内容をお伝えします。
6月23日(火)、バングラデシュのダッカ事務所と映像をつないでの緊急オンライン報告会を開催しました。アタウル・ラーマン・ミトン支部事務局長が語ったバングラデシュの現状とハンガー・フリー・ワールド(HFW)の支援状況を2回に分けて報告します。イベントの動画は、こちら*****医療崩壊といえる状況です現在(※)バングラデシュでは1日の新規感染者数が3500人を超え、累計で11万人以上が感染、1500人が新型コロナによって命を落としました。(※6/23の状況。1週間後の6/30現在では、14万5483人が感染、1847人が死亡)。3月に休業となった学校はまだ再開していません。私には息子が2人いますが、二人は家で過ごしています。政府系の病院の医師である妻は、感染しましたが、現在は回復しまた働いています。私たち自身も感染症の渦中にあることがお分かりいただけたと思います。 このような感染拡大の要因としては2つあるといわれています。ひとつは、活発な青年層が日々動き回ったことで無自覚に感染を広げたため、もうひとつは、脆弱な医療体制です。医療体制の課題としては、医師の不足と、医療設備の不足、都市部と農村部での医療格差があります。さらに、人々が感染症とその予防法に関する十分な知識を持っていないことで、石鹸での手洗いなどの感染症予防や、ソーシャルディスタンスなど適切な行動が取れていないのです。ロックダウンで貧困層が3ヵ月で倍増政府は感染拡大防止のため3月下旬に外出自粛を要請しました。リモートで働ける人が僅かしかいないバングラデシュで、外出を自粛するということは、仕事ができず、収入が途絶えるということを意味します。結果として3ヵ月の外出自粛の期間で貧困層の割合は20%から40%へと倍増し、人々の暮らしを一変させました。さらに、5月中旬、追い討ちをかけるようにサイクロン「アンファン」が上陸、HFWの活動地カリガンジにも大きな被害をもたらしました。外出自粛の要請以降、HFWバングラデシュ支部の事務所も閉鎖。私たち職員は、自宅から活動地へ毎日のように電話をして情報収集をし、地域や家族の状況把握を続けていました。HFWが能力強化を続けてきた、村人たちが鍵にその際、最も活躍してくれたのが、「事業の推進者(Local Service Provider:LSP)」と私たちが呼んでいる村人たちでした。以前から農業や栄養についての養成課程を受け、支援対象者となる貧しい女性たちにレクチャーなどを提供してきた56人のLSPが支援対象の女性たちとHFWとの橋渡しをしてくれたことで、5月中旬に790人の女性たちと家族に対する緊急食料支援を行うことができました。今回、LSPを介してカリガンジとボダに暮らす790人の女性に配布したのは、マスクの着用、石鹸で手を洗うこと、ソーシャルディスタンスの実践など新型コロナ感染予防のポイントをまとめたリーフレットと、各村にある商店で食料と交換できるクーポンの2点です。配布されたクーポンをHFWと提携している村の商店に持っていくことで、米20キロ、豆2キロ、食用油500mlを受け取ることができます。今回の緊急食料支援は、HFWとして異例の緊急支援でした。HFWはこれまで一貫して自立を促す支援を続けてきましたが、今回、支援対象者790人が生存の危機に立たされているとバングラデシュ支部が判断、彼女たちの生命を守らなければ通常の事業継続も不可能であることから、緊急食料支援を初めて実施することになりました。なお、バングラデシュでは、5月に入り、徐々に商業活動などが再開しましたが、貧しい人々の生活は悪化しており、緊急事態が広がっています。*****************【参加者のみなさんの関心が強かった話題】●貧困層の割合が、たった3ヵ月の間に20%から40%に増加したこと。●ミトンさんご自身が奥様が医療従事者でコロナ感染後快復したり、2人の息子さんは休校措置のための自宅にいることななど、とても大変な生活の中でも、思いを持って活動を続けていらっしゃるということ。●コミュニティごとにリーダーが育成されており 一斉にあつまらなくとも情報や施策が浸透する仕組みがあること●小売店を使うことで、地域の経済にも役立つ方法*****************後編では、コロナ禍の中、HFW独自のやり方で実施された緊急食料支援、その詳細を報告します。
ご支援いただいた皆様、ご検討いただいている皆様、ありがとうございます。バングラデシュの状況は日増しに切迫しております。昨日21日の新規感染者数は3,480人で、合計11万人を超えています。ぜひ明日23日のオンライン報告会にご参加いただき、ミトン事務局長から直接状況をお聞きください。残り残数20回線です。(お申し込みは本日中承っております https://www.hungerfree.net/news/17930/ )