2020/07/16 20:54

富士山南東麓には気象庁時代から山頂へ交替勤務をするために使われていた太郎坊避難小屋(標高約1,300 m)があります。富士山測候所が無人化されてその役目を終えた避難小屋ですが、その建物はまだ残っています。

現在、太郎坊は夏季には山小屋への物資搬入や遭難者の救助のための基地として活用されており、夏は活気があります。一方、御殿場登山口への道路が封鎖される冬には一転してひっそりとしています。

私たちのグループでは、太郎坊も活用して通年観測を2006年から行い、二週間毎に雨水、雲水、ガスやPM2.5などの試料回収や気象データ回収に行きます。春先の黄砂の飛来や越境大気汚染の観測を行うことができます。

冬の太郎坊は数年ごとに大雪となるときがあります。腰以上の高さまで雪が積もります。そのようなとき、私たちは雪をかき分け、あるいは、雪の上を四つん這いになって現場に向かい、雪に埋もれた装置を掘り起こしたりします。

過酷ではありますが、雪と戯れるのもサンプリングの楽しみの一つでもあります。雪がそれほどひどくないときは、学生と一緒に雪だるまを作って帰ります。.

二週間後に再び出会えることを祈って... 残念ながら、いままで再び出会えたことはありません。