急性高山病は標高2500m以上で発症すると言われており、富士山5合目から急性高山病を発症する可能性があります。富士山での遭難の半数は急性高山病が占めています。一方、富士山は高度4000mに近い標高を有する国内唯一の山でもあり、4000m以上の海外登山、ヒマラヤ遠征前のトレーニングや高所順応の評価にも利用されています。急性高山病の症状の1つにめまい・ふらつきがあり、滑落事故の要因にもなっています。富士山頂の高所(低圧低酸素)環境で歩行バランスがどの程度保たれているのか、どのような場面でバランスを崩しやすいのか、登山中の転倒、転落の原因を探ることは安全登山にもつながります。昨年の研究では、富士山頂における急性高山病と歩行バランスの評価を行いました。添付画像のように、上半身(胸椎)と下半身(仙骨)に体幹歩行動揺計(MVP-WS2-S:マイクロストーン社製)を装着して、歩行時の円滑度、水平度、左右対称性を評価しました。詳細は第13回成果報告会 講演予稿集(https://npofuji3776.org/document/20200314_no13_annual/seika13_full.pdf)をご覧下さい。