この度は越前海岸盛り上げ隊のクラウドファンディングにご支援いただき、またご興味を持っていただきありがとうございます。志野佑介です。越前海岸沿い、鉾島がある南菅生町にIターンで移住して百笑(ひゃくしょう)として農業や塩焚きなどをしています。
海上自衛官の子に生まれ、幼少期は長崎、広島、千葉、神奈川あちこちの海の近くで育ちました。アウトドア好きの父に連れられ週末はキャンプに行き、釣り、シーカヤック、素潜り、山に行けばナイフの使い方や山の草木のことをよく教えてもらっていました。
中学高校とサッカーにはまり、部活動の毎日、普通に勉強して良い大学に入り、卒業後は父の後を追いかけて海上自衛官になろうと思っていました。よくいる普通の高校3年生の春、一冊の本と一つの言葉により転機が訪れました。
黒柳徹子著 「トットちゃんとトットちゃんたち」を読み、貧困国の子供たちの生き様に心震え、故中村哲さんの「いくら医療が進んでも、人は食べ物がなくては生きてはいけないし、また病気になってしまう」という言葉で、一瞬にして農業に興味を持ちます。
途上国での農業支援を学べる東京農業大学に進み、インドネシアやケニアで長期NGO活動をしたり、農家さんから畑と小屋を借り、仲間たちと共に半農半学生の暮らしを送りました。
海外での出来事や農業を営むかっこいい百姓の先輩たちとの出会いに「豊かさ」とはと深く考えさせられ、生きていくための百の仕事ができる百姓に憧れるも、まだ百の仕事もできないのでたくさん笑って生きていく百笑の道として卒業後、千葉で有機農業を始めました。
そうして「豊かな暮らし」を探していたら、2019年にこの地、越前海岸に辿り着きました。
(長くなるので波乱万丈の人生を省略(笑))飲みながら談笑しましょう。
越前海岸の何が豊かであるかというと海も山もあることです。いえ、海も山も「すぐそこ」にあることです。ただ地元のおばあちゃんは口をそろえていいます。ここには海と山「しかない」、暮らすにはいいけど、生活するには不便だと。つまり仕事がなく、買い物する場所も遠いということです。でも僕にはここでの暮らしがとても豊かに想像できました。
日本海に沈む壮大な夕空や日々変わりゆく季節折々の山海の美しい風景を毎日感じて、美味しい山海の恵みをいただく、小さな生業をいくつか組み合わせた百笑の暮らしでした。
魚や貝、海藻が豊富できれいな海水を汲み上げ、廃材や山の間伐材を乾燥したものを燃料に薪火で焚きお塩をつくり、地域の資源を餌にニワトリの卵を採り、山の草でヤギを飼い、放棄されて梅畑に手をいれ梅を採り、清流が入り込む景色のよい田んぼでお米を育てています。漁業権をいただき、港にはタコカゴをしかけて魚やタコもはいります。今年は前述の石丸さんと一緒にワカメの海女もさせてもらえました。
まだまだ新しく始めること、慣れないことばかりで体がついていかないのもありますが、一年の流れをつかんでいけば忙しいながらも豊かな暮らしが送れそうな気がしています。
もう一つの豊かさはこの地の人々との関係です。よそ者に対しても、よく来てくれたと皆よくしてくれます。もちろん集落での決まり事や慣習はありますが、移住してきた不便さを気遣い、たくさんのことを教えてくださったり、僕らからすると宝もののようなモノやご馳走をいただいたり。
そして越前海岸盛り上げ隊のメンバーが地道に着実と地域での活動や情報発信、コミュニティ作りをしてくれていたことも非常にありがたかったです。長谷川渡隊長には越前海岸に惚れ込むキッカケをいただいたり、ことあるタイミングで人を上手に繋げてもらったり、温かい気遣いをいただいたりと移住するうえで助けてもらいました。その他のメンバーも本当に魅力的で面白いヒトばかり、いつも元気と刺激をもらっています。
今回の皆様のご支援で改装させていただいていく、「はりいしゃ」はこれから僕のように移住してくる人たちのためにも大いに役に立ってくれる場所になります。そしてまた僕らみたいな移住者がこの地域にはいってくることで、また地域も元気になっていく、そんな良い上昇気流のような渦を生み出していく場所にしていきます。
リターンについて
僕の出させていただいたリターンは「越前海岸さしすせそセット」のお塩になります。前述の越前海岸のきれいでミネラル豊富な海水を丁寧に薪火で焚き上げたお塩はとても味に深みがあり、塩気がきつすぎず、甘みとも感じるかのような旨みのあるお塩です。素材の良さを引き出してくれるのでシンプルに素材にふったり、飲みものに少しあわせてもお使いいただきたいです。
また、高額にはなってしまいますが、「百姓の暮らし体験ツアー」も僕らの豊かな食卓と塩づくりや卵採り、季節の野良仕事の体験を満喫いただいたり、「野菜つくり塾1年間」も海の見渡せる畑をお貸しし、野菜つくりを丁寧にお教えしながら地域での暮らしを体感いただければと思っています。
最後に、越前海岸の魅力は言葉では語れません。写真でも映像でもまだ伝わらないと思っています。
来ていただいて、そしてできれば長くいていただく、暮らすように旅していただいてこの地の本当の魅力、豊かさを実感していただけると思っています。
ぜひこの機会に興味を持っていただき、ゆっくりと越前海岸に来ていただけることを楽しみにしています。