2020/07/18 21:15

南北に続く越前海岸を海沿いに進んでちょうど真ん中あたり、「大味川」の河口から東に折れると、急に道は谷筋に入り、迫る山々を縫うように流れる谷川のせせらぎが心地いいななんて思って進んでいたら、小さな集落がひょっこり顔を出す。そこが、私の故郷、かつて丹生郡殿下(でんが)村と呼ばれた、福井市殿下地区です。

前段失礼いたしました、松平成史(まつだいらしげふみ)と申します。

実家は先祖代々の山林所有家です。学年5人しかいない故郷の山村に育ち、街の高校に進学したら1学年550人。

急激な環境の変化にびっくりしたままあっという間に高校3年間が過ぎ、日本で一番大きい街で勝負やと東京の大学に進学。

その後アメリカ留学、シンガポール駐在等を経て、東京の老舗酒問屋で日本酒の海外輸出の担当責任者として勤務していました。

大学の卒業論文では日本酒の業界研究をテーマに執筆するほど日本酒が大好きで、留学で身に着けた英語力、海外駐在での営業、経営経験、貿易知識、それら自分が持つスキルをフルに活用して大好きな日本酒を海外に広めていく仕事は、まさに天職。

職能をいいことにきき酒マイスター、国際きき酒師、ワインソムリエ等の資格も取得し、意気揚々と毎晩東京の「夜の街」を市場調査と銘打って毎晩のように飲み歩いていた私が、どういう経緯か一昨年の秋にUターンを決意。

東京時代に仕事の合間に通った林業スクールの仲間と自伐型林業をスタートし、その後地元の猟師さんに弟子入りして狩猟を始め、そこで捨てられていくイノシシの骨を使ってスープを出してイノシシラーメン屋を冬季限定でオープンしたり、過疎化が進んで打ち捨てられるようにある古民家を林業チームのみんなで再生したり、農家民宿経営をやったり、まぁ、いろいろやっています。

と、ここまで読んでいただいて、勘の鋭い皆さんはもう感づかれていらっしゃるかもしれませんが、我が殿下地区は越前海岸盛り上げ隊のメンバーなのに、何と越前海岸に面していないのです。何という体たらく、痛恨のミス、厚顔無恥とはまさにこのこと。穴があったら頭から尻が隠れない程度まで入ってしまいたい。恐らくは隊の結成時のどさくさに紛れて、どなたかがどこぞのお代官よろしく悪知恵を働かせてしれっと仲間に混ぜてもらったに違いない。

でも、思うんです。

殿下には海はないけど、クルマで5分も下ったら海。そこに流れ込む川の源流は殿下。お隣さんの海が豊かになったら喜んでくれるかなって、お隣さんの事をちょっとを思いながら山を整備する。越前海岸の皆さんを繋ぐのは、実は山にいて山を生業にしている我々なのかなって。流石にかなり自分の立ち位置を美化しすぎましたが、源流から上流、中流、下流、河口までの距離が極端に短いここ越前海岸エリアは、海と山のお隣さん達が、お互いお隣さんのことを思いながら生活していて、その不思議な「思いやり」こそが、越前海岸の最大の魅力だと感じています。

海も山も川も、みんな手に届くところにある、こんな素敵なところが今、急速な過疎化の波に飲み込まれています。

そこに対して真っ向から立ち向かうべく、アツい気概を持った腕に覚えある漢たち(とジャンヌダルクたち)が、水滸伝の梁山泊の如く集う超前向き集団、それが「越前海岸盛り上げ隊」です。

私も故郷にUターンして以降、隊の一員として参加させてもらっていますが、それこそ今回のクラウドファンディングのプロジェクトでも、隊のみんなの無尽蔵のアイデアと、迅速な行動力と、お互いを思いやるチームワークで、それこそ「一気呵成」に進める様を見て、とてつもない勇気をもらっています。越前海岸と、そこにいる越前海岸盛り上げ隊のメンバーのことを、このクラウドファンディングを通じて知ってもらったり、助けてもらったり、繋がってもらったりしたら、きっともっと面白い化学反応が起こるのではないかって思います。

リターンについて

さて、今回私たちが準備させていただいたリターンは「ジビエ堪能!狩猟体験のできる農家民宿1泊4食+テントサウナサービス付きペアチケット」です。

子どもも楽しめるテントサウナ 

山々に囲まれた殿下地区は、シカやイノシシの獣害がひどいですが、福井県で最初のジビエ処理場があったり、前述のように冬季限定でイノシシラーメン屋をやったり、面白い取り組みをしています。ちょっと一味違う宿泊体験を楽しみたい方に、狩猟体験とジビエ料理を楽しめる宿泊プランを用意しました。シカもイノシシも、処理がいいので臭みもなく本当においしいです。

魅力がいっぱい詰まっていて、面白いメンバーがどんどん集まってきているここ越前海岸エリア、迫りくる過疎化の波に抗い、新しい風を吹き込むのは今しかないと、第一歩を踏み出すべく立ち上がりました。

今回のファンドで整備する拠点が、必ずこの挑戦のためのメンバーと応援して下さる皆さんの橋頭保になると信じて、前に進んでいきます。ご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。