今回お届けするカクテルの地酒は、私たちが酒蔵を見学させていただき、平素からBARフルールドゥリスで提供しているおなじみの地酒です。カクテルキットにも使わせていただきました。
BARのブログでも紹介していますよ。ブログの各蔵のリンクはこちらです。
2012年に姉妹でBARをOPENし、2018年より酒造を立ち上げましたが、
2020年5月、私は姉の切り盛りするBARのピンチに一緒に立ち向かう必要がありました。
コロナ禍に特別変わったことは、税務署の酒税課から、BARで使える限定酒販免許を与えられたことでした。
その免許を利用して、BARで全4回の「地酒カクテルキット」を6月から実施することにました。
酒税官から忠告していただいたのは、どちらも私の名義の事業のため、BARで酒販の違反が起きた際には酒造の経営責任も問われることで、厳重に臨みたいと思いました。
臨時の酒販場になることは一つのチャンスになりますが、全てのBARが酒販に取り組むわけではありません。お店の趣旨にそぐわないこともあるからです。
私たちも迷いました。
私たちの考えは「お客さんを今どんな気持ちにさせたいか」が軸でした。
がっかりさせる可能性はないかも考えましたが、どちらかと言えば励ませそうだ、喜んでもらえそうだと感じて、ダサくてもいいから企画してみよう!となりました。
初回には次回を予測しないまま、1回1回に思いを込めて、私たちもメニュー作りや予約サイト作り、詰口梱包など初めてのことを楽しみました。
詰口内容の事前申請や、容器ラベルを法律に準じて作成し事前申請することも義務で、ラベルは全て蔵元さんに確認していただきました。
1本あたり60ml(度数が強いものは30ml)の小さな容器に、多品種をいろいろ詰め合わせて、お酒とソフトドリンクをお届けする企画にしました。
完全予約制で、全4回、お客様に1カ月に1度お届けして、じっくり楽しんでいただくイメージです。
実施の結果、地域のお客様から予想を超えるご予約をいただきました。
本当に感謝の思いです。
私たちは全4回を振り返ると、1369本ものお酒を詰めました。
接客コミュニケーションのあるBARで生まれる考えや、お客様の声は本当に新鮮でした。
第2回の終わりに、お客様から「自分で混ぜないですむカクテルも楽しみたい」「もっと多めの容量を飲みたい」とのご要望がありました。
容量多めであれば、スッキリとした炭酸添加でお届けするのがふさわしいと思いました。
私は炭酸の機材について調べ、工場の作業スペースを検討し、とりあえず王冠の打線機を買って、地ビール他社から瓶と王冠を少量買わせていただきました。
王冠はbeerロゴ入りで、リキュール商品には使ってはならないデザインでしたが、その王冠でアナログな炭酸充填に成功して、発泡商品が作れそうと分かりました。
いざ取引先に瓶と王冠の納品ロットを見積もってもらい、1本あたりを算出したところ、壁にぶつかりました。
原価が1本800円を超えました。
「ダメだ」
炭酸の添加自体が1本100円を超えました。
炭酸添加のコストを下げる方法を模索して、地ビール工場へ学びに行きましたが、私の工場に機材を導入することは不可能でした。私の炭酸充填はコストも時間もかかるので同情されました。
「だがやる」
こうして完成したのが、「栃木の地酒スパークリングカクテル」です。
缶チューハイと比べるなら、高価すぎて迷惑な商品かもしれません。
しかし、私も姉もバーテンダーですから、1杯のカクテルとしては適切なものです。
これは、1瓶1瓶シェイクして、炭酸をアナログ充填して作ります。
シェイクしたカクテルを、たまたま、グラスでなくビール瓶に注ぐのです。まさにハンドメイド・カクテル。
製造はこれからになります。
お届けまでどうぞお楽しみに!