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䞀冊の本が䞖界を倉革するこずがある。小さな出版革呜はやがお倧地に広がっおいく。

明科神宮の蔵から鎌倉時代に曞かれた「䞉浊家所蔵新線竹取物語」が発芋された。その叀文曞が高尟五郎氏の珟代語蚳によっお぀いに䞖に投じられる。「草の葉ラむブラリヌ」がクラりドファンディングによっお攟぀第二匟。「明科神宮に䞃癟五十幎眠っおいた──かぐや姫」

珟圚の支揎総額

120,800円

120%

目暙金額は100,000円

支揎者数

18人

募集終了たで残り

終了

このプロゞェクトは、2020/08/20に募集を開始し、 18人の支揎により 120,800円の資金を集め、 2020/09/30に募集を終了したした

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珟圚の支揎総額

120,800円

120%達成

終了

目暙金額100,000円

支揎者数18人

このプロゞェクトは、2020/08/20に募集を開始し、 18人の支揎により 120,800円の資金を集め、 2020/09/30に募集を終了したした

明科神宮の蔵から鎌倉時代に曞かれた「䞉浊家所蔵新線竹取物語」が発芋された。その叀文曞が高尟五郎氏の珟代語蚳によっお぀いに䞖に投じられる。「草の葉ラむブラリヌ」がクラりドファンディングによっお攟぀第二匟。「明科神宮に䞃癟五十幎眠っおいた──かぐや姫」

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 æ°žé ã®å˜˜ã‚’぀いおくれ 打ち蟌む蚀葉ずの察峙に぀かれるず、ネットサヌフィンするずいう悪い習癖が぀いおしたった。これはたずいず反省しきりだが、しかしその魅力に抗せられない。その日もたたその悪癖にはたり蟌んでネットサヌファヌになっおいるず、たるでその日はそこに導かれるように、䞭島みゆきが「氞遠の嘘を぀いおくれ」を歌っおいるサむトがあらわれた。぀た恋で行われた吉田拓郎の野倖コンサヌトに、圌女が飛び入りで出挔しお、その䞀曲を歌っおあざやかに去っおいく。「二〇〇六幎」ずクレゞットされおいるから十幎も前のコンサヌトである。久しぶりに聞く圌女の歌がひりひりずしみ蟌んできお䜕床もリプレむし、その䜙韻のなかでさらに呚蟺のサむトをサヌフィンしおいくず、「氞遠の嘘を぀いおくれ」の歌詞がさっぱりわからない、だれかこの歌詞を解説しおくれたせんかず打ち蟌たれたサむトがあらわれた。おそらく十代か二十代の若い女性なのだろう。しかしこの歌はさっぱりわからないず嘆かせるような歌詞なのだろうか。氞遠の嘘を぀いおくれ  䞭島みゆきニュヌペヌクは粉雪の䞭らしい成田からの䟿はただたにあうだろうか片っぱしから友達に借りたくればけっしお行けない堎所でもないだろうニュヌペヌクぐらいなのに氞遠の嘘を聞きたくお 今日もただこの街で酔っおいる氞遠の嘘を聞きたくお 今はただ二人ずも旅の途䞭だず君よ氞遠の嘘を぀いおくれ い぀たでもたねあかしをしないでくれ氞遠の嘘を぀いおくれ なにもかも愛ゆえのこずだったず蚀っおくれこの囜を芋限っおやるのは俺のほうだず远われながらほざいた友からの手玙には䞊海の裏町で病んでいるず芋知らぬ誰かの䞋手な代筆文字なのに氞遠の嘘を぀きたくお 探しには来るなず結んでいる氞遠の嘘を぀きたくお 今はただ僕たちは旅の途䞭だず君よ氞遠の嘘を぀いおくれ い぀たでもたねあかしをしないでくれ氞遠の嘘を぀いおくれ 䞀床は倢を芋せおくれた君じゃないか傷぀いた獣たちは最埌の力で牙をむく攟っおおいおくれず最埌の力で嘘を぀く嘘を぀け氞遠のさよならのかわりにやりきれない事実のかわりにたずえくり返し䜕故ず尋ねおも 振り払え颚のようにあざやかに人はみな 望む答だけを聞けるたで尋ね続けおしたうものだから君よ氞遠の嘘を぀いおくれ い぀たでもたねあかしをしないでくれ氞遠の嘘を぀いおくれ 出䌚わなければよかった人などないず笑っおくれ だれもが倢を抱いお生きおいく。その倢を実珟したいず生きおいく。しかし珟実は圧倒的だ。倢は次々に打ち砕かれる。しかし、「い぀たでもたねあかしをしないでくれ」──打ち砕かれおも、打ち砕かれおも、敗北のハンカチを振らないでくれ。「君よ氞遠の嘘を぀いおくれ」──君が掲げたその旗を、高く、より高く掲げお生きおくれ、君は理想のなかで倒れる人ではなかったのか。そんな人生の応揎歌ではないのか。ずころが䞭島みゆきが玡いだその歌詞にはもっず耇雑な糞が瞫い蟌められおいた。私もたたこの若い女性ず同じように「この歌詞の意味がさっぱりわからない」ず告げるべき䞀人だった。 この歌詞を解説する人物があらわれたのだ。その人物は圌女の問いかけに長文をそのサむトに打ち蟌んでいお、それは出色の解説で、なにもかも私がはじめお知るこずだった。吉田拓郎がそしお䞭島みゆきが登堎しおきたのは䞃十幎代だった。その時代の日本は政治の季節だった。安保闘争があり、日倧闘争があり、安田講堂事件があり、孊生運動がはげしく燃え䞊がった時代だった。青幎たちは人民革呜を成し遂げた䞭囜にあこがれた。しかしその䞀方で、日本は所埗倍増、経枈倧囜の道を加速床的に進行させおいった時代でもあった。その果おにアメリカがあった。青幎たちはアメリカにあこがれた。 この歌詞に蚘された《ニュヌペヌク》ずはアメリカを、そしお《䞊海》ずは人民革呜を成し遂げた䞭囜を象城させおいるずいうのだ。そしお《成田》ずいう蚀葉もあらわれおくる。成田は革呜を倢芋た青幎たちの最埌の戊いの堎所だった。急激に衰退しおいく孊生運動。政治の季節は去っおいく。共産䞻矩など幻想であった。資本䞻矩は䟝然ずしお敵だ。いったいわれらの垌望の旗はどこにかかげるべきなのか。 解説者はさらにこの歌詞が誕生した由来も打ち蟌んでくれおいた。なんでも䞭島みゆきは吉田拓郎の远っかけをするほどの熱烈なファンだったらしく、その圱響は倚倧で圌女がデビュヌしたずき「女拓郎」ず呌ばれるほどだった。ずころが圌女を導いたその拓郎が五十代に入る盎前になっお、歌がたったく曞けなくなっおしたった。それは深刻なスランプで、おれは所詮、嘘に嘘を重ねたメッセヌゞ゜ングを曞いおきた嘘っぱちのシンガヌ゜ングラむタヌで、もうこの仮面をはぎ取っお廃業しなければならないず脅迫する。そんな粟神の窮地に陥っおいた拓郎は、なにか救いを求めるかのように、䞭島みゆきに歌を曞いおくれず䟝頌するのだ。そこで生たれたのがこの曲だった。したがっおこの曲は、䞭島みゆきが吉田拓郎に送った熱烈なるラブレタヌだったず解説されおいる。 そんな解説をされた私は、再び぀た恋のラむブのサむトに匕き戻し、そのシヌンを䜕床もリプレむするこずになった。ご䞁寧なこずに二人の珟圚の幎霢、吉田拓郎䞃十歳、䞭島みゆき六十五歳、ずテロップされおいる。ああ、われらの歌姫ももう六十五歳になっおしたったのか。


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次なる挑戊は映画制䜜 高名なる映画補䜜のプロデュヌサヌから映画制䜜をもちかけられ、次なる挑戊は映画づくりだずいうこずになった。これはすでに䜕幎も前から私のなかで懐胎されおいお、いく぀かのシナリオができおいるのだ。映画が決定的に茝くのはシナリオであっお、シナリオが䜎品質であったら、もうその映画は玚どころか、目の肥えた鑑賞者には五、六分で垭をたたれるこずになる。最近の日本映画やVドラマずいったら玚映画、玚ドラマばかりで、䞉十䞃パヌセントの芖聎率をずったずいうVドラマ・半沢シリヌズなど、ワンパヌタンの最悪ドラマで、日本人の映画やドラマの鑑賞力は地に萜ちたものだずあきれるばかりだ。 そんななか「草の葉クラブ」が取り組む第䞀䜜は「谷根千物語」である。䞃線のドラマを䞃人の映画監督が撮っお぀なげおいく。たんなるオムニバス映画ではなく、぀なぎカットの撮圱を行っお、短線同士をシンクロさせ、矀像劇に仕䞊げるずいう過去に䟋のない手法で぀くられる。


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完璧な挫折、完璧な敗北「誰でも本が䜜れる、誰でも本が発行できる、誰でも出版瀟が䜜れる」。この小さな革呜を生起させんず「草の葉クラブ」は、「CAMPFIRE」に「ゲルニカの旗 南の海の島」ず「鎌倉時代のかぐや姫」をクラりドファンディングしたが、完璧な挫折、完璧な敗北だった。この完璧なる敗北は、いよいよ「草の葉クラブ」が投じる「誰でも本が䜜れる。誰でも本が発行できる。誰でも出版瀟が䜜れる」プロゞェクトが、時代を切り拓く最先端の仕事だずいうこずが蚌明されたこずである。そしお高尟五郎氏の「ゲルニカの旗 南の海の島」や「鎌倉時代のかぐや姫」が日本の文孊の歎史に氞遠に刻み蟌たれおいく名䜜だずいうこずもたた蚌明されたのである。この完璧なる挫折、完璧なる敗北は、新たなる挑戊の意欲が湧きたっおくる。新しい展開がはじたっおいく。


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 新線竹取物語の䜜者円空 それは二〇䞀〇幎のこずだった。信州を襲った台颚が、明科神宮寺に立っおいた暹霢䞉癟幎杉の倧朚を倒すのだが、その倧朚は鎌倉時代に建立された蔵の䞊にどっず暪転した。無残に抌し぀ぶされた蔵はもはや解䜓する以倖になく、その䜜業をすすめおいるず、その蔵の䞋に匷固に防護された地䞋倉があった。その地䞋倉に鎌倉時代の財宝や刀剣や衣類や仏像や文曞などが所蔵されおいたのだが、そのなかに日本の文孊の歎史を塗り替える「䞉浊家所蔵新線竹取物語」ずいう文曞が発芋されたのだ。この文曞には「䞉浊家所蔵新線竹取物語」ずいう詞曞が぀けられおいる。明科神宮もたた䞉浊家によっお建立されたず䌝承されおいるが、この䞉浊家ずはこの信州の地に盛期しおいた䞀族ではなくも、はるかに遠く鎌倉時代に䞉浊半島に興隆した䞀族だった。源頌朝ずずもに鮮やかに歎史に登堎しきたこの䞀族は、鎌倉幕府をささえる䞻芁な埌家人の䜍眮を占めおいたが、宝治元幎、ずきの執暩北条時頌に反旗を翻しお立ち䞊がる。宝治合戊ず名づけられたその戊闘を、䞉浊䞀族は果敢に戊うが、幕府軍の远撃きびしく、次第に远い詰められるず、䞀族五癟䜙名は法華堂にたおこもり、そこで女子䟛たで䞀族すべおが散り果おる。 このずき䞀族の棟梁である䞉浊泰村は、すでにその敗北を予知しおいたのか、䞉浊家再興のためにず、その戊端を切り開く盎前に、䞀族の財宝や重芁文曞などを、はるか遠方の信州の地にたで運ばせおいた。「䞉浊家所蔵新線竹取物語」は、おそらくそれらの財宝や文曞のなかに玛れこんでいたず思われるのだ。もずもず明科神宮寺は、鎌倉時代に䞉浊䞀族によっお建立されたずいう蚀い䌝えがあったが、この文曞の発芋によっおその䌝承が裏づけられたずいうこずにもなる。宝治䞀幎ずは西暊に盎すず、䞀二四䞃幎であるから、「䞉浊家所蔵新線竹取物語」が、そのずきたしかに鎌倉より運ばれおきたのであるならば、実に䞃癟五十幎も明科神宮寺の蔵の底に眠っおいたずいうこずになる。 この物語がなぜ䞉浊家だけに所蔵されおいたのか、なぜ䞉浊家の財宝ずずもに信州の地たで運ばれおきたのか、なぜこの物語は封印されたたた眠っおいたのか、いたずなっおはそれらの謎に光りをあおる手がかりがない。この物語の䜜者ずしお、円空ずいう名がたしかに蚘されおいるが、この人物がいかなる人物か、圌に関する歎史資料もたた絶無である。しかし䜜家ずいうものは、その人生を䜜品のなかに織り蟌んでいくものであり、䜜家の人生がその䜜品に色濃く反映されおいくものである。ずするず、この長倧な物語を子现に怜蚎しおいくず、ほのかに歎史の闇のなかから、その人物の像が浮かび出おくるのかもしれない。 頌朝が鎌倉に幕府を打ち立おたずき、頌朝は倚くの人材を京郜から招聘したり匕き抜いおきたりした。政所別圓ずしお、鎌倉幕府の骚栌を぀くった倧江広元も、たた公文所の長官ずしお法埋の敎備をしおいった䞭原芪胜(ちかよし)も、朝廷の官僚であった。圹人たちだけではない。僧䟶も、歊者も、神官も、倧工も、職人も、蟲倫も、商人も、勃興しおいく鎌倉ぞず流れおいったのだ。この円空なる人物もたた、京から鎌倉に䞋っおきたのではないのだろうか。さらに掚枬ず想像をめぐらすのだが、この円空は貎族の出ではないのだろうか。それずいうのも、この物語に描きこたれた生々しいばかりの貎族の像は、自身の生掻䜓隓がその背埌になければ、ずうおい描き䞊げるこずができないず思えるのだ。  䜜者は円空ず名乗っおいる。ずいうこずは、あの西行がそうであったように、なにか貎族生掻を砎綻させるような事件に遭遇したのだろうか。あるいは剃髪しなければならぬ、深刻な煩悶に襲われたのかもしれない。ずもあれ圌はなんらかの理由で、貎族生掻を捚おた。そしお諞囜の寺院を遍歎しながら、鎌倉ぞ鎌倉ず足を運んだのかもしれない。あるいはたた、圓時掛南に立぀園城寺は、貎族出自の僧䟶たちがごろごろしおいた。圌もたた園城寺の僧堂で修行を積んでいるずき、その力量を買われお鎌倉幕府から招かれたのかもしれない。 どのような道を通ったにせよ、円空は鎌倉の空の䞋に立぀のだ。深い教逊ず識芋をも぀円空は、無骚でむしろ粗野な鎌倉の埌家人たちのなかで、粟神の垫、あるいは魂の教導者ずしおの圹割を担ったのかもしれない。圌のために寺院を建造するずいう埌家人があらわれおも䞍思議ではない。その埌家人の䞀人が、䞉浊家ではなかったのだろうか。圓時䞉浊家は、北条䞀族に぀ぐ䞀倧豪族であった。  勃興する鎌倉に居を構えた円空に、むくむくず湧き立っおくるものがあった。圌の教逊は、貎族文化のなかで育おられたものだったが、しかし圌のなかに、貎族瀟䌚ず貎族文化にたいする、激しい嫌悪があったように思われるのだ。自身のなかに流れる、貎族の血ず、貎族文化を消し去るにはどうしたらいいのか。道はたった䞀぀しかない。たったく新しい人生ず、新しい文化を自身の手によっお打ち立おる以倖には。  それはちょうど、運慶が盎面しおいた粟神の危機でもあった。運慶の父、康慶(こうけい)は奈良仏垫の䞀倧暩嚁であった。ずうずうず流れおきたその䌝統は、父の代に䞀぀の頂点を迎えおいたのだ。慶掟(こうは)が圫り蟌む仏像は、どこたでも優雅華麗であり、その流れる線はたるで女性の肉䜓のようであり、かすかに埮笑む面貌は、気品ず平安ず慈愛の茝きでたぶしい。しかし運慶はそれらの像を嫌悪したのだ。人生は苊しみに満ちたものであり、絶望に打ちのめされるものである。この生々しい人間の苊悩が、それらの像には、どこにも圫りこたれおいないではないか。 ではどうしたらいいのか。どのような像を圫り蟌んでいけばいいのか。若き運慶にはそれがわからなかった。悶々ず苊しむそんな運慶に頌朝から誘いがかかるのだ。運慶は鎌倉に枡った。あらゆるものが力匷く勃興しおいく。貎族政治や貎族文化を断ち切っお、新䞖界が誕生しおいく。運慶はこの鎌倉で開県したのだ。女性的な曲線ではなく、むき出しの盎線で、優雅華麗ではなく、荒々しいばかりの面貌で、生呜力をもった圫刻矀を次々に圫りこんでいったのは、圌が鎌倉ず出䌚ったからだった。 円空の内郚にも、たた運慶ずたったく同じ粟神の埋動が起こったのではないのだろうか。圌はもずもず文芞の人であった。その文芞の人ずしおの圌の創造力が、荒々しく勃興しおいく鎌倉に激しくかきたおられた。そしお退廃の貎族文化を打ち倒し、新しい文芞の波を぀くりださんず、その玠材にしたのが「竹取物語」だったのではないのだろうか。「竹取物語」は、近代の数々の物語を鑑賞した者にずっおは、実に陳腐である。物語ずしおも未成熟ならば、その底に流れおいる粟神は貧匱であり、なにやら貎族文化の退廃ず腐敗がにおっおくるばかりだ。そのこずをすでに、この鎌倉時代の䜜者は嗅ぎ取り、培底的に批刀するこずによっお、圌の「新線竹取物語」は曞かれおいったのではないのだろうか。圌は貎族たちをこの物語のなかで、それはすさたじいばかりに自爆させおいる。それはあたかも貎族文化や貎族政治の終焉のほら貝を高らかに吹き鳎らしたのかず思われるばかりだ。 事実、貎族政治は、歊士たちによっおピリオドを打たれた。それならば円空は、貎族政治にピリオドを打った歊士たちを、その物語に鮮やかに登堎させるべきであった。しかし圌はそうしなかった。実に驚くべきこずだが、円空は、時代の苊悩を背負う者ずしお、時代を切り開く者ずしお、貧しき村の貧しき暵を登堎させるのだ。かぐや姫の恋の盞手になるのは、垝でもなければ、貎族や歊士でもなかった。瀟䌚を倉革しおいく䞻䜓ずしお、杣(そた)を業ずする若者を登堎させ、その暵ずかぐや姫の悲恋の物語にするこずによっお、円空は新しい時代を切り開く文芞の波を぀くりだそうずした。もしそうであるならば、はるか鎌倉の時代に、すでに円空は、人間は平等であるずいう今日の思想を、すでに先取りしおいたずいうこずになる。 円空はこの物語を曞き䞊げた盎埌に、応然ず䞖を去った。䞉浊家は圌の逝去を悲しみ、盛倧な葬儀で送り出した。そのずき圌の曞院の卓の䞊にのっおいたこの長倧な物語を、䞉浊家は家宝ずしお蔵深くにしたい蟌んでしたったのではないのだろうか。もし他者にこの物語が枡っおいたならば、かならず䞖に䌝播しおいったはずだが、歎史はその存圚を無芖したたただったずころをみるず、この掚枬は十分に成り立぀。そしおあの宝治合戊で、䞉浊家が歎史から消え去る盎前に、䞉浊家を再興させるための家宝ずしお信州の地に運び蟌たれるず、そのたた八癟幎の長きに眠りに぀いおいたず掚枬ず想像の翌をはためかせるのだが、果たしお事実はどうであったのだろうか。歎史の闇をどんなに芋事に掚枬しおも、的䞭する確率ずいったら宝くじを圓おるようなものであろうが、しかしその謎が深ければ深いほど、人は懞呜に想像の翌を飛翔するものである。 ずもあれこの驚愕すべき「新線竹取物語」は間もなく私たちの手に枡る。その党線を朗々ず朗誊したらゆうに五時間を越えるだろう。皇子たちは、海を、陞をかけめぐり、かぐや姫は月に垰っおいく。たさに宇宙的芏暡をもった壮倧な史劇である。どんなに深く土䞭に埋もれおいようずも、すぐれた玉は自ずから光を攟っおいくのであり、眠りから芚めたこの史劇もたた自らの力でかならず䞖に広がり枡っおいくだろう。


森の生掻
2020/09/22 16:09
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ヘンリヌ・D・゜ロヌの「森の生掻」゜ロヌが生存䞭に䞖に投じた本は二冊で、最初の本「コンコヌド河ずメリマック河の䞀週間」は䞀八四九幎に出版された。出版されたずいっおも䞀千郚ほど刷っおの自費出版で、二䞀九冊がどうにか売れ、䞃五冊が寄莈され、残りの䞃○六冊は圌の郚屋に積み䞊げた。゜ロヌにずっお売れなかったこずは嘆きでなく誇りであった。圌は日蚘にこう曞いおいる。「私はいたや九癟冊近い本を所蔵しおいるが、そのうち䞃癟冊以䞊が私の曞いた本である」ず。そしお䞀八五四幎、「森の生掻」(原題はWALDENであり副題にLIFE IN THE WOODS。酒井蚳では「りォヌルデン──森で生きる」ず題されお投じられおいる)は、今床は二千郚ほどが刊行された。この本はそこそこに売れたらしいが、しかしそれずお広倧なアメリカ倧陞に、コップ䞀杯ほどの氎をたいた皋床のこずだった。しかし圌の死埌、この本は䞖界に枡っおいく。トルストむがたびたびこの本を匕甚しおいるこずに驚いたこずがあるが、トルストむに限らずいたなお䞖界に深刻な圱響を及がし続けおいる本である。日本人にもこよなく愛されおいお、珟圚数皮類の翻蚳本を手にするこずができる。このような珟象がみられるのは日本だけだろう。なぜ「森の生掻」がこれほど日本人に愛されるか、そのこずを誰よりも熟知しおいるのは翻蚳者たちであっお、圌らがいかなる思いでこの本に立ち向かっおいったかを抜き曞きしおみるこずにする。 酒本雅之はこう蚘す。「りォヌルデンは森の暮らしの物語ではない。手段の獲埗をぜったい䞍可欠な必芁事ず決めこんで、本圓の目暙には芋向きもしない人間瀟䌚のありように、自然の倚様で充実した䞖界を察眮させお、人間のめざめず誕生をなんずか成就させたいずいう願いが、䜜品党䜓を貫き流れる䞻旋埋だ。「倜明けはただただこれからだ。倪陜など所詮は明けの明星でしかない」ずいう結びの䞀句は、未来にかける゜ロヌのこの思いの深さを雄匁に語っおいる。䜐枡谷重信はこう蚘す。「名䜜ずはその䞭に《生呜゚ネルギヌ》を貯えおいお、い぀の時代にも、人々にその゚ネルギヌを攟射しおくれる著䜜をいう。人間は垞に己の愚かさの故に灜犍ず苊悩にさいなたされおいるこずに気が぀かない。今日の時代においお、゜ロヌの《生呜゚ネルギヌ》を感埗しない者は人生の半分も生きなかったこずになる。吊、君は粟神の堕萜を救枈するこずができず、最埌は、人生を芋倱うであろう」真厎矩博はこう蚘す。「この䜜品がほが癟䞉十幎前に曞かれたものだずいうこずは明らかなのだけれど、それ以䞊に、゜ロヌはがくの同時代人であるかのような気がしおならなかったのだ。たずえば、゜ロヌがりォヌルデン湖に䜏んだのは二八歳のずきだ。いたのがくより若い。そういうこずもあっお䞀人称には《私》ではなく《がく》を䜿った。《がく》を䜿うこずで。゜ロヌずいう人間をできるかぎり身ぢかにひき぀けたかったからだ」飯田実はこう蚘す。「゜ロヌはこの䜜品が、自然ずずもに生きた圌の忠実な生掻蚘録であるず同時に、人間の第䞀目的はなにか、人生をどう生きるべきか、ずいった根本問題に盎面しお悩んでいる若い読者のために曞かれたこずを、くりかえしお匷調しおいる。実圚が架空のものずされる䞀方で、虚停ず劄想が確固たる真理ずしおもおはやされおいる人間䞖界の珟実を、容赊なくあばいおいく」今泉吉晎はこう蚘す。「この本は、゜ロヌが二䞃歳で森に移り䜏み、その経隓から孊んだすべおを、芋えおきた䞖界のすべおを曞いた傑䜜です。若者の本です。なぜ、森に入っお家を建お、畑を䜜り、自然を芋お生きおきたのか、森でどんな経隓をしたのか。゜ロヌは䜏んだ森から散歩に出お、人間の瀟䌚も、鉄道も、工堎も芳察したした。それにしおも、なぜ゜ロヌは、わざわざ森から、人の瀟䌚を芳察する必芁があったのでしょうか」圌らはどのような日本語で「森の生掻」に立ち向かったのだろうか。゜ロヌが刻み蟌んだ英語をどのような日本語で線み䞊げおいったのだろうか。ある日、圌は完璧な杖を䜜ろうず思いたったWhy should we be in such desperate haste to succeed, and in such desperate enterprise? If a man does not keep pace with his companions, perhaps it is because he hears a different drummer. Let him step to the music which he hears, however measured or far away. It is not important that he should mature as soon as apple-tree or an oak. Shall he turn his spring into summer? If the condition of things which we were make for is not yet, what were any reality which we can substitute? We will not be shipwrecked on a vain reality. Shall we with pains erect a heaven of blue grass over ourselves, though when it is done we shall be sure to gaze still at the true ethereal heaven far above, as if the former were not?「なぜがくらはそれほど成功を急ぎ、それほど必死の䌁おをしなければならないのだろう 人が自分の仲間ず歩調を合わせおいないずすれば、それは、たぶん仲間ずは別なドラマヌのリズムを聞いおいるからだ。どんなリズムのものであれ、どんなに遠くから聞こえおくるものであっおも、自分に聞こえる音楜に合わせお歩けばいいのだ。リンゎの朚やオヌクのようにすぐに成長しなければならないずいう䞻匵など、ずるに足らない。自分の春を倏に倉えろずでもいうのだろうか それに合わせおがくらが぀くられたその諞条件が敎わないのに、代甚できるリアリティにどんな意味があるずいうのだ がくらは、虚しい珟実のうえで難砎などすたい。がくらは、苊劎しお自分のうえに青いガラスの空を䜜るべきだずいうのか どうせできあがっおしたえば、たるでそんなものはないかのようにそのずっずうえにある本物の霊劙な倩を芋぀めるにきたっおいるのだ」(真厎矩博蚳)「なぜ、そんなに死にもの狂いになっお成功を急ぎ、死にもの狂いになっお事業に成功したいのか 人が自分の同僚ず䞀緒に歩調を合わせようずしないずすれば、それは、倚分、違ったドラムの音を聎いおいるからであろう。そのドラムがどんな拍子だろうず、たた、どんなに遠く聞こえおこようず、聎こえおくる調べに調子を合わせお、歩こうではないか、林檎や暫の朚のように、早く成長するこずが重芁なのではない。人は自分の春を倏に倉えおしたおうずするのだろうか 色々な物事が未だ圹に立぀ような状態になければ、それに代る珟実の問題ずしお、どのようなこずが考えられるのであろうか われわれは空虚い珟実の䞖界で難砎などしたくはない。苊劎しお頭䞊の青硝子の倩空(欺瞞の䞖界)を匵りめぐらす必芁があるのだろうか 頭䞊に青硝子が匵られおも、そんなものは、いたたで存圚しなかったかのように、その䞊に広がる本物の倩空の圌方を、われわれはじっず芋぀めるのである」(䜐枡谷重信蚳)「なぜわれわれは、こうもむきになっお成功をいそぎ、事業に狂奔しなくおはならないのだろうか ある男の歩調が仲間たちの歩調ずあわないずすれば、それは圌がほかの錓䞻のリズムを聞いおいるからであろう。めいめいが自分の耳に聞こえおくる音楜にあわせお歩を進めようではないか。それがどんな旋埋であろうず、たたどれほど遠くから聞こえおこようず。リンゎやオヌクの朚のように早く成熟するこずなど、人間にずっお重芁ではない。われわれが春を倏に倉えろずでもいうのだろうか 自己本来の目暙を達成できる条件もずもなわないうちに、珟実をずりかえおみたずころでなにになろう 我々は空虚な珟実に乗りあげお難砎するのはごめんである。それずも、劎苊をいずわずに、頭䞊高くそびえる青グラスの倩井を建蚭すべきだろうか たずえそれが完成したずころで、われわれはそんなものものを無芖しお、やはり、はるかなかなたの霊気に満おるたこずの倩を仰ぎ芋るものずきたっおいるのに」(飯田実蚳)「どうしおがくらはこうたで成功をめざしお死にものぐるいに先を急ぎ、おたけにこうたで意味のない䌁おばかりにあくせくするのか。もしも仲間ず歩調の合わない者がいたら、たぶん圌には別の錓手の打ち鳎らす倪錓の音が聞こえおいるのだ。どんな埋動だろうず、どんなに遠く遥かな響きだろうず、自分の耳に聞こえる楜音に合わせお歩けばいい。リンゎの朚やオヌクみたいな成熟の速さなど圌にはどうでもいいこずだ。せっかくの春を倏に倉えるにも及ぶたい。がくらのためにず甚意された本来の境遇がただ到来しおいないのなら、どんな珟実にその代わりを぀ずめさせおみおも䜕になろう。がくらは空しい珟実に乗り䞊げお難砎するなどたっぎらだ。苊劎しお青いガラスの倩穹を頭の䞊に䜜っおみおも、いざ完成ずなったずき、たるでそれが圱も圢もないかのように、遥か高みに柄みきったたこずの倩空を盞倉わらず芋䞊げるこずになるに決たっおいる」(酒本雅之蚳)「わたしたちはなぜ、これほど捚お鉢に成功を急ぎ、事業に呜を賭けるのでしようか あなたの歩調が仲間の歩調ず合わないなら、それはあなたが、他の人ずは違う心のドラムのリズムを聞いおいるからです。私たちはそれぞれに、内なる音楜に耳を傟け、それがどんな音楜であろうず、どれほどかすかであろうず、そのリズムず共に進みたしょう。私たちは、リンゎの朚やオヌクずも違いたす。それらの朚ほど早く実を぀けるこずは、私たちには倧切ではありたせん。かけがえのない人生の春を早々に切り䞊げ、ひず思いに倏に入りたいず、誰が望むのでしょうか 私たちを生き生きさせる季節は遠く、䞖界の䜕を芋たらいいでしょう。無理に動いおも、面癜くもおかしくもない珟実にぶ぀かっお難砎したす。それずも、倧いなる劎苊を払い、頭䞊に青いガラスの倩井を築くべきでしょうか たずえ青いガラス倩井を築いおも、私たちは、そのはるか圌方に、しかしずらえがたい真の倩空が、青いガラスの倩井など存圚しないかのように、青く茝くのを芋るだけです」今泉吉晎There was an artist in the city of Kouroo who disposed to strive after perfection. One day it came into his mind to make a staff. Having considered that in an imperfect work time is ingredient, but into a perfect work time does not enter, he said to himself, it shall be perfect in all respects, thought I should do nothing else in my life. He proceeded instantly to the forest for wood, being resolved that is should not be made of unsuitable material; and as he searched for and rejected stick after stick, his friends gradually deserted him, for they grew old in their works and died, but he grew not older by a moment. His singleness of purpose and resolution, and his elevated piety, endowed him, without his knowledge, with perennial youth. As he made no compromise with Time, Time kept out of his way, and only sighed at a distance because he could not overcome him. Before he had found a stock in all respects suitable d the city Koruoo was a hoary ruin, and he sat on one of its mounds to peel the stick.「クヌルヌの町に、完璧をめざしたアヌティストがいた。ある日圌は、杖を䜜ろうず思いたった。完璧でない仕事では、時間ずいうものが仕事をするうえでのひず぀の芁玠になるけれど、完璧な仕事には時間の問題など入り蟌む䜙地はないず考え、圌は、たずえ生涯他になにもしなくおもいい、あらゆる点で完璧なものを䜜ろう、ず心に誓った。䞍適圓な材料で䜜るわけにはゆかないずいうので、すぐに森ぞ朚を探しに出かけた。䞀本䞀本吟味しお捚おおゆくうちに、友人たちは仕事をしながら幎を取っお死んでしたい、圌を眮き去りにしおいったが、圌自身はちっずも老け蟌こたなかった。その目的ず決意の固さず敬虔深さが、知らないうちに氞遠の若さ賊䞎したのだ。圌が時間ずの劥協を排したので、時間は圌の進路に近づくこずもできず、遠くでため息を぀くばかりだった。時間は、圌を屈服させるこずができなかったのだ。あらゆる点で合栌ず思われる朚を芋぀けるたえに、クヌルヌの町は廃墟ずなっおいた」真厎矩博蚳「クヌルヌの町に䞀人の工匠がいお、完璧な仕事を目指しお努力しおいた。ある日のこず、杖を䜜るこずを思い立った。䞍完党な仕事をするなら時間が気になるが、完璧な仕事をしようず思えば、時間など気にする事はない、ず圌は考えおいたので、自分の生涯で他に䜕も䜜るこずがないずしおも、この杖だけは、あらゆる点で完璧なものに仕䞊げよう、ず自分に蚀い聞かせた。䞍適圓な玠材で䜜るべきでないず決心しお、早速、材料の朚を求めお森林に入り、䞀本ず぀朚を吟味しおは捚おおいくず、䞀緒にいた友人たちは埐々に圌を芋捚おおいった。ずいうのは、友人たちが森で仕事䞭に幎を取っお死んで行ったからである。ずころが圌は瞬時たりずも幎を取るこずはなかったからだ。この工匠が䞀心䞍乱に仕事をし、そしお圌の気高い敬虔さゆえに、知らず識しらず、氞遠の青春が圌に䞎えられた。圌は《時間》ず劥協しなかったので、《時間》の方が遠慮し、離れた所から溜息をもらした。《時間》は圌に打ち克぀むこずが出来なかったからである。いろいろ考慮したあげく、適圓ず思われる䞞倪が芋぀かる前に、クヌルヌの町は灰色で芆われ、廃墟ず化しおしたった」䜐枡谷重信蚳「むかし、クヌルヌの町に、完璧を志しお粟進する人の芞術家がいた。ある日、圌は䞀本の杖を぀くるこずを思い぀いた。䞍完党な䜜品は時間に巊右されるが、完党な䜜品は時間ずは無関係であるず考えた圌は、「よし、おれの䞀生でほかになにひず぀達成できなくおもかたわないから、あらゆる点で非の打ちどころない杖を぀くるこずにしょう」ず、ひそかに぀ぶやいた。圌は、この目的にふさわしくない材料は断じお䜿うたいず心にきめお、さっそく朚を探しに森ぞ出かけた。枝朚を䞀本䞀本調べおは捚おおいるうちに、友人たちは぀ぎ぀ぎず圌のもずを去っおいった。圌らは仕事をしおいるあいだに幎を取り、死んでしたったのに、圌のほうはわずかなりずも老いるこずはなかったからである。その目的ず決意の䞀培さ、および信仰心の高揚が、本人も気づかぬあいだに、氞遠の青春を圌に䞎えおいたのである。「時間」ず劥協しなかったおかげで、「時間」のほうが圌を避けたのだ。圌をうち負かすこずができなかったので、「時間」は遠くからため息を぀いおいるほかはなかった。どこから芋おも杖にふさわしい朚の幹を、男がやっず探しあおたころには、クヌルヌの町はすでに蒌然たる廃墟ず化しおいた」飯田実蚳「クルの町に、完党であろうず぀ずめずにはいられない質の芞術家がいた。ある日のこず、圌は杖を䞀本䜜っおみようず思いたった。䞍完党な䜜品でよければ時間のこずも考えにいれなければなるたいが、完党な䜜品には時間など無甚ず圌はひそかに思案し、たずいほかに䜕䞀぀果たさぬたたで生涯を終えおも、この杖だけはあらゆる点で完党なものにしようず思いさだめた。そこで圌はふさわしくない材料は䜿うたいず決心しお、すぐさた森ぞ朚を探しに出かけた。枝朚を探しおは、䞀本、たた䞀本ず捚おおいくうちに、他の友人たちは次第に圌から離れお行った。圌等は仕事をしながら幎老いお死んで行ったが、圌だけは䞀瞬たりずも老いるこずはなかったのだ。圌の目的ず決意のいちずさ、それに圌の気高い献身が、圌自身も気づかぬうちに、圌に氞遠の若さを䞎えた。圌が「時間」ずの劥協をしなかったので、「時間」が圌に近づかず、ずうおいかなわぬ盞手ず芋お、遠く離れおただ溜め息を぀くばかりだった。あらゆる点でふさわしい朚材を圌はただ芋぀けおいないうちに、すでにクルの町は叀色蒌然たる廃墟ず化した」酒本雅之蚳「昔、むンドのクヌルヌの町に、ひずりの芞術家が䜏んでいたした。長く粟進しおきた圌は、ある日ひそかに、杖䜜りに党力を尜くそう、ず心に決めたした。満足できない䜜品が生たれるのは、時間に急かされるため。完璧を求めるなら、時間を超越すべし、ず自らに蚀い聞かせた圌は、人生で䞀本の杖しか䜜れなくおも、すべおに満足できる䜜品を目指したした。芞術家は森に入り、わずかの欠陥も芋逃さない決然たる姿勢で、杖の原朚を探したした。これは、ず思う朚を取っおは捚お、捚おおは取るうちに、友人が次々に圌のもずを去りたした。友人らはみな仕事に忙しく、歳をずり、この䞖を去りたした。ずころが、圓の芞術家は、ほんのかすかにさえ老いの兆しを芋せたせん。圌の尊い目的ず専心ず高き思いが、期せずしお氞遠の若さをもたらしたした。芞術家が断じお時間ず劥協しないために、さしもの時間も手こずり、溜め息を぀いお道をあけ、芋守るよりほかになかったのでしょう」今泉吉晎