いよいよ当プロジェクトの募集期間も残すところ1日、終了前夜となってしまいました。目標にはまだ至らないけれど、せっかくなら終了前にご支援いただいているみなさまへの感謝と最後の望みをかけて、一人でも多くの方へ映画『宮城野』を届けたい!ということでと5日前に急遽決めた企画「クラファン終了前夜祭」が今夜21時〜となりました。(前回記事はこちら)▶︎クラファン終了前夜祭「Prime Videoウォッチパーティ」10/28(水)21時〜開催します!ということで、パーティへの招待リンクをお知らせいたします。★参加URL→https://amzn.asia/1KVcxQBこちらのリンクからAmazonプライム会員のアカウントでログインしてください。チャット参加のユーザーネーム はお好きなものを入力して、21時のスタートをお待ちくださいね。今夜パーティに参加できる方は一緒に盛り上がりましょう!***改めて以下に概要をお知らせいたします。映画『宮城野』クラファン終了前夜祭「Prime Videoウォッチパーティ」<開催日時> 2020年10月28日(水)21時00分 〜 22時55分<視聴作品> 映画『宮城野(ディレクターズカット版)』(113分)<参加条件>・Amazonプライム会員であること・PC環境があること(Safariを除くデスクトップ用Webブラウザが利用できること)※スマートフォンやタブレット、Fire TVといったデバイスはサポートされていません。<参加手順・ルール>・開催当日の20時(1時間前)より、上記参加URLからお入りいただけます。・21時から映画本編をスタートしますので、事前にURLへアクセスし、ご自身のAmazonアカウントでログインしてください。・ウォッチパーティに参加する際に、ユーザーネーム(自由に設定)を入力します。・入退出自由、飲食自由。チャットへの参加は任意です。・山﨑監督が待機していますので、映画に関することならなんでもチャット上でご質問いただけます。感想など随時チャットして構いませんが、ネタバレはご遠慮ください。<注意事項>・参加人数は100名までです。定員をオーバーすると参加できませんのでご了承ください。・英語字幕は付いていない、現在配信中の<ディレクターズカット版>の視聴となります。・監督への質問OKですが、すべてのご質問にお答えできないこともございます。・映画の内容に関すること以外の質問、書き込み、ネタバレはご遠慮ください。・チャットではマナーを守って誰もが気持ちよく参加できるようご協力をお願いします。(参考)▶︎「Prime Videoウォッチパーティ」紹介ページ
#メイキング の付いた活動報告
クラファン募集期間もいよいよカウントダウンです。このプロジェクトを進める宮城野サポーターズの一員として、この2ヶ月ほど監督と密に(リモートで)打ち合わせを重ねていると、多くの気づきや発見があります。『宮城野』本編への理解も格段に深まっているのですが、その中で矢太郎のキャラクターについて考えてみました。愛之助さんが演じる主人公の一人、矢太郎。脚本家の酒井雅秋氏と監督の演出メモには次のような設定がされていました。【矢太郎】自己矛盾に生きた男。度胸がない故、絵師として、本流(美人絵)を捨て、亜流(役者絵)を極めることの哀しみを抱える。色恋においても、自身の本流(宮城野)を捨て、世間的に本流に見える、その実、自身にとっては亜流(おかよ)の女を選んでしまう。世俗に流される、俗なるもの。しかし、観客に非常に近い存在。かなり緻密なキャラクター造形がなされていますよね。矢太郎が目指していた絵は、肉筆による美人絵の方なんです。でも、現実(物語中)は写楽の木版役者絵のコピーをしています。実は、この二つには天と地ほどの違いがあります。肉筆の美人絵は一品もので、まさに芸術作品。対して木版役者絵は、大量に印刷され消費されるグラビアのようなものです。後者をやらざるを得ない、しかもそこで傑作が描けてしまう皮肉。矢太郎の思いはいかばかりでしょうか。ところで、矢太郎の「矢」の字って、原作者・矢代静一の「矢」ですよね。矢代静一氏は、戯曲『宮城野』の執筆当時、親友であった三島由紀夫と共に文学座を脱退し、劇界で苦しい立場に置かれていました。生活のためにラジオドラマなんかを書いていたこともあったといいます。私の推論も含むんですが、原作者は自分自身を矢太郎に投影していますね、きっと。そしてそれは監督も同様かと。(あ、山﨑監督の「ヤ」でもありますよね?)24歳で華々しくカンヌ・デビューを飾った監督も、「その次」がなかなか実現せずに苦境に立ち、鬱々とした日々を送っていたと聞いたことがあります。本当にやりたいことがあるのにそれができない、そして、やりたくないことをやらざるを得ない鬱屈した思いを持っているというところで、どことなく共通していますよね。……と勝手ながら。監督の原作への思い入れや演出時のキャラクター造形を見るにつけ、そんな風に感じてしまうのです。コロナが終息してお酒が飲めるようになったら、直に伺ってみたいものです。歌舞伎でいうところの「色悪」で、現代的にいうならハイパーイケメンクズ。でもどこかつかみ所のない矢太郎。皆さんはどんな風にご覧になりますか?***クラファン終了前夜祭「Prime Videoウォッチパーティ」10/28(水)21時〜開催します!皆さまのご参加、お待ちしています!
前回の活動報告では映画の映像技術についてお伝えしましたので、今度は音響についてのこだわりを監督に聞いてみました。***映画『宮城野』の完成時(2008年)の音声は、2ch(単なるステレオ)でした。実はこれ、時間的な制約もあって、不完全燃焼だったんです……音声のミックスを担当した長谷川有里は、大学時代から“ここぞ!”というときには必ず一緒にやってきた同級生ということもあり、お互いにずっと悔しさを抱えてきました。だいぶ時は流れ、2015年末、Blu-ray&DVD化にあたって5.1chでリミックスしようという話になり、ようやく積年の思いを果たせました。では、その時に何が変わったのか?2ch→5.1chになったので、効果音が立体的になり臨場感は出たと思います。あとは、足音を1歩2歩足したり引いたり、前後にずらしたり。音楽が入るきっかけをズラしたり。エンディングテーマの音色のバランスを変えたり……でも、僕らにとってこれらは全然重要じゃないんです。一番の心残りは、「鉄瓶の煮えたぎってるお湯みたいにチンチンチンチン鳴ってる鳴ってる」という台詞。最初、これを「お湯が煮えたぎってる鉄瓶がチンチン鳴ってる」擬音語だと捉えて、やかんの蓋がチンチン鳴ってる音を付けていました。しかしこれは、私の完全な誤解でした。チンチンは擬音語ではなく、お湯が煮えたぎってる状態を指した擬態語なんですね……。(名古屋のおばあちゃんはよく使っているのに)あくまで宮城野の心の中だけで響いてる透き通った音です。だから、ここチンチン鳴ってる音を付けるなんてことは無粋以外のナニモノでもなかったんです。「God is in the details.(神は細部に宿る)」とはよく言いますが、まさにそんな作業です。ちなみに、今、配信でご覧いただいている音声は5.1chリミックス版を元にしていますので、その点はどうかご安心ください(笑)最後に……本作の音響効果を担当してくれた小川広美さんは、昨年6月に亡くなりました。スーパー戦隊シリーズを始め幅広いジャンルで活躍された大先輩でした。お話好きで、謙虚で、監督の執拗なこだわりにも煙草を吹かしながら飄々と作業を進めてくれました。小川さんの素晴らしいお仕事は必ず世界に届けます。映画『宮城野』監督 山﨑達璽***意外というかやっぱりというか、とことん妥協しない監督により、最良で最新の音声にアップグレードされて世界へ届ける準備ができていました。本プロジェクト、残り8日といよいよカウントダウンです。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。
今回のプロジェクトで制作する「インターナショナル版」は、4Kデジタルリマスター映像を“蔵出し”する予定となっています。4Kデジタルリマスターとは、35mmのネガフィルムを1コマずつスキャンした、フィルムの質感を最も忠実に再現したものです。フィルムは1秒あたり24コマですから、本作『宮城野』では16万枚以上の超高画質データになります。総データ量は5TB以上になり、もはや天文学的数字ですね。映画の上映形態が、フィルムからデジタルに切り替わった現在、この4Kデジタルリマスターが映画『宮城野』を忠実な形でご覧いただける唯一の手段だとも言えます。ちなみに、現在、配信などでご覧いただいているものは、ポジフィルム(上映プリント)から作成したもので、どうしてもディテールや暗部の見え方に見劣りがあるのです。監督曰く、「映画は永遠のものではあるけれど、それは人々の『記憶』であって、物理的には無常だ」とのこと。現在の映画は撮影段階からデジタル化しており、劇場においてもフィルムでの上映形態が失われていく中で、過去のフィルム原版の保存もまた困難になっています。35mmのネガフィルム:左が画ネガ、右が音ネガ約2時間作品で段ボール2箱分にもなり、温度と湿度の慎重な管理も必要で、そこにはコストが掛かり続けるのです。仮にそれをしても、フィルムは「形あるもの」ですから、やがては劣化し、いつかはなくなります。フィルム撮影時代のすべての日本映画にとって、実は大きな問題であり、デジタル化しなければ古いものから朽ちているのも現状なのです。『宮城野』は2007年、デジタル化以前にフィルムで撮影された映画です。前回IMAGICA Lab.の水戸さんが解説してくれたように、最先端の手法でありながら、作り手はこうした「無常観」を抱え、その保存を模索するのですね。幸いにして、信頼できるイマジカさんの最高技術で4Kデジタルリマスター化作業を終えることができました。2019年2月、IMAGICAでのカラーグレーディング作業時の1枚左からカメラマンの瀬川龍さん、カラリストの阿部悦明さん、山﨑監督4Kデジタルリマスターのデータは、LTOという磁気テープに収録されています。長期の保管や読み書きに対する安定感も高いメディアで、放送局や制作会社、病院、銀行などでも使われています。4Kデジタルリマスター素材監督特注の、桐箱に入れて保管されているとのことです。これで安心!
ベテラン俳優陣の中、フレッシュな存在だった佐津川愛美さん。最近ではすっかり女優としての風格が出てきていますが、撮影当時はまだ十代でした。おかよ役への起用のきっかけから、監督に聞きました。***「今流行りのアイドルにしたらおしまい」とは口が悪いですが、そんな空気感の中でおかよ役のキャスティングは難航していました。「純粋無垢という凶器。ウブな女の子の恋心に火が点いて必死になる様子」を演じられる十代ってそうそういませんよね(苦笑)そんな中で私、脚本家、プロデューサーそれぞれがたまたま観た映画『蝉しぐれ』(05)のふく役で、三人ともが佐津川さんに一目惚れでした。彼女は静岡出身で、私の母も静岡で、最初はそんな話で盛り上がりました。照れ隠しです。佐津川さんには、撮影の2ヶ月前から所作指導が始まりました。さらにはだんまりのお稽古も。とても努力家ですから、どちらも一切手を抜くことなく必死に取り組んでいました。もちろん役作りも徹底していて、現場では納得がいくまで話し合いを繰り返しました。歌舞伎演出をしたとき、いちばん大変だったのは佐津川さんだと思います。振付に所作指導もあって、先生がつきっきりでした。宮城野と対峙する場面では、涙が止まらなくなり撮影が中断したこともありましたね。「ああいう女の子が一番むかつくのよ」とはおかよへの“お姉様”方からの感想。国内はもちろん、フィレンツェでもそんな感想がありました。つまり、大成功ですね! まさに純粋無垢という凶器を演じきった証です。佐津川さんクランクアップ時 監督と***キャリアの初期から過酷な(?)現場を経験されていたことが伺えますよね。現在のご活躍も納得です。直近ではドラマ「バベル九朔」(日本テレビ)が10月19日深夜〜スタート。佐津川愛美さんはスナックのママ役だとか! こうして役者さんの成長を見るのも、映画ファンにとって嬉しいものですよね。