令和3年も新型コロナウイルスの猛威にさらされながら始まり、1月、2月の流鏑馬が中止となり、4月以降の流鏑馬も中止の話が聞こえてくるなど、伝統文化の維持継承という点では危機的状況です。
もっとも、皆様のご支援のおかげで、大日本弓馬会では新しい馬場(鎌倉教場)という本番同様の本格的な稽古場を構えるに至りました。
そのため、大日本弓馬会では、本番同様の稽古を積むことができることになったわけで、この鎌倉教場は、コロナ禍における伝統文化の維持継承に極めて大きな役割を果たしております。
確かに、どのような武道やスポーツであっても、練習だけでは上達に限りがあり、本番があってこそ更なる高みに登れるものですが、鎌倉教場では、令和2年11月29日に流鏑馬本番も実施していることから、本番に優るとも劣らない稽古環境があるともいえます。
クラウドファンディングも残り3日間となりました。
皆様のご期待にお応えできるよう、引き続き努力してまいりますので、皆様の温かいご支援・ご協力の程よろしくお願いいたします。
ご友人へのお知らせやSNSでのシェアなどもよろしくお願いいたします。
さて、最後の活動報告は、「天長地久の式」(てんちょうちきゅうのしき)についてです。
「天長地久の式」は流鏑馬の式次第の3番目に行われる儀式です。
1 出陣
2 鏑矢奉献・願文奏上
3 天長地久の式
…
「流鏑馬」は天下泰平・五穀豊穣・万民息災、つまり世の中の平和と人々の幸せを祈念して行われる神事です。
本来は、神事でなければ「流鏑馬」とはいえず、神事ではない騎射を行う行事を「騎射式」といいます。
この「流鏑馬」の中でも特に重要な儀式が「天長地久の式」です。
「天長地久」とは天地が永久であるように、物事が終わることなくいつまでも続くこと表す言葉で、平和と幸せが永遠に続くようにという願いが込められています。
天長地久の式は武田流の師範が執り行います。
まず、馬を中央に進め、最初に「五行の乗法」を行います。左回りに3回、右回りに2回馬を回し、中央で馬を止め黙礼します。
次に、鏑矢を弓に番え、天と地に対し満月のように弓を引き絞り、「天下泰平、五穀豊穣、万民息災」を願います。
迫力ある騎射のシーンが流鏑馬を象徴することは確かです。
しかし、世の中の平和と人々の幸せを祈念して行われる「流鏑馬」の中でも、騎射が始まる前に特に強くこれらを祈念して行われる「天長地久の式」は、騎射に優るとも劣らない見所のひとつといえるでしょう。
流鏑馬の本来の意味を考えると、天長地久の式の素晴らしさがお分かりいただけると思います。
武田流の小池師範による美しい騎乗姿勢と射形からなる天長地久の式、皆さんにも是非ご覧いただきたく思っております。