ステラーカイギュウ(EX)。
私が最初に心惹かれた絶滅種。
この動物のストーリーを読んだからこそ絶滅動物園に情感が込められたんだと思います。
この動物は、マナティやジュゴンと同じ仲間の海牛です。
むかしの呼び名はステラーダイカイギュウと呼ばれたほど大きな種だったと言います。
ちなみにジュゴンは体長3mで体重が450kgと言われますが
このステラーカイギュウは体長は7mを超え、体重は5〜12tもあったと言いますからその大きさたるや目を見張る大きさであると言えますね。
この動物は北極海や寒冷な北の海(北極海など)に生息し、主に海藻の茂った場所で10〜20頭のコロニーを形成しプカプカ浮いていたと言われる。
食事は海藻を手で巻き込むようにして食べ、天敵にいない海でのんびり暮らしていたのかなって推測します。
そんな彼らにも突然悲劇がやってきます。
1741年。
ベーリング海峡という名前の由来でもあるベーリング率いる第二次カムチャッカ探検隊が遭難します。そして絶海の孤島であるベーリング島で座礁するのです。
隊長であるベーリングをはじめ、続々と死んでいく中、副隊長格であった船医で博物学者であったシュテラーが、あの沖に浮いているでっかい動物を1頭でも獲ることができれば帰還できるかもしれない…と。
多分、急ごしらえの船を整え、ありったけの銛と銃を持って沖に出たのです。
天敵のいないステラーカイギュウたちは逃げることも無くプカプカ。
そこで、銛や銃丸が降ってくるわけです。
仲間は傷つき混乱したはずです。
そしてこの動物にはもう一つ悲劇的なことが起こります。
修正として傷ついた仲間(個体)を守るように
強いオスが周囲に縦のように囲み出します。
しかしそれは人間たちにとっては好都合。
離ればなれにいた個体が急に中心に傷ついた個体を置き、固まるわけですから狙いやすくなったのです。
そしてそのコロニーの群れは全て傷つき弱っていきます。
しかしシュテラーたちの急ごしえの船にそんな大きな動物を引き揚げることもままなりません。
彼らとしては翌日浜に死体が打ち上げられていればいいなという作戦だったわけです。
運良く打ち上げられた個体を解体し
生肉は胃袋を満たし、残りの肉は干し肉に。
脂肪は燃料の油として、皮や骨は帰還のための船を補強するためとして、余すことなく使うことで無事当時のロシアに帰還します。
そして航海の途中であった出来事を余すことなく報告します。
北の海の情報を嗅ぎ付けた商人等はこぞって北の海に出航し、売れるもの(動物)を片っ端から獲ります。
ステラーカイギュウはその筆頭であったでしょう。
そして発見されたから27年後の1768年、彼らは絶滅するのです。
たった27年の生存記録。
言いたいのは、人間というのは「金」になるのであれば何でもする生き物であるということ。
その歴史が、15世紀末に始まった大航海時代から現在までつづく第6の大絶滅期の実像です。
環境に気遣うと言いつつ、それは環境を壊す言い訳。
そしてこれからその災難というものが人間たちに降り掛かって来る番になっています。
いまから考えることは遅いかもしれない。
しかし子どもたちに残していいの?って思います。
子どもたちの未来を少しでもいいものにするために私たち大人が何かをしないといけないのではないでしょうか?
私はこのステラーカイギュウの物語をしったことで、いろんな絶滅種に興味がわき、絶滅危惧種の向こうにあるものまで興味がいたりました。
いまから始めませんか?
「知る」ことから。まずは。