台東区東上野にある宮惣(株式会社種谷製作所)様の現場に行かせていただきました。
今回は、宮惣様のことや麻布氷川神社の宮神輿について代表取締役の種谷吉雄様にお伺いした内容をご紹介します。
■宮惣について
――宮惣さんは天保6年創業とお聞きしました。
初代が山車職人に弟子入りして、後に「宮惣」の屋号を名乗ったと聞いています。先代までは神田にいましたが、私は東上野で生まれ育っています。
――宮惣さんのように神輿を製作する会社はどのくらいあるのでしょうか。
東京と千葉で数社だと思います。行徳(千葉県市川市)にもありましたが、ここ10年で2社ほどやめられたとも聞いています。
――減ってしまっているのですね。
高齢化や、後継者がいないなどの理由で廃業するケースは多いですね。
■麻布氷川神社の宮神輿について
――今回修復していただいている麻布氷川神社の宮神輿の印象を聞かせてください。
大きな神輿のことを千貫神輿と言いますが、非常に立派な千貫神輿といってよいでしょう。
例えば、彫刻の部分は漆を塗ったあとに金箔を貼るなど手間の掛かる工程でつくられています。
――今回の修復は約90年ぶりとお聞きしています。
通常は30~40年で修復をするので、その倍です。神輿蔵で保管されていたそうですが、なかなか珍しいことだと思います。
――90年ぶりにまた修復できるのは奇跡に近いかもしれません。
例えば戦時中に金属など部材の一部を供出させられたり、なくなってしまった神輿は多いと思います。
――麻布氷川神社の宮神輿は宮惣さんで作られたとお聞きしました。
はい。確かに神輿内部に「宮惣」と書かれていましたし、弊社の記録にも残っていました。
今回、麻布氷川神社さんから「修復をお願いできないか」とお問い合わせをいただいたのですが、これも何かのご縁かもしれませんね。