介護現場での課題は、大きく分けて2つだと思います。一つは、高齢な利用者とのコミュニケーションであり、また、同じ現場で働く他の職員とのコミュニケーションです。耳が遠かったり、自身の事で精一杯になっていて周囲に注意が払えなくなっていたり、認知症を患うなど利用者から投げかけられる断片的な会話によって論理的な会話にはならなかったりする高齢な利用者とのコミュニケーションは重要な問題でしょう。もう一つ、それと同じくらい重要なのは、現場で一緒に働く職員といかに意思の疎通を行うかということです。「おはようございます」、「お疲れ様です」などの挨拶一つで、現場での意識レベルを共有出来る職員もいます。しかし、なかなか同じような意識を共有出来ない職員もいます。それは基本的な性格や相性の問題であり、さかのぼれば、職員が生まれた家庭環境や育った環境とも密接に関わるのでしょう。その人の性格、また、思考や行動の好みのようなものと、こちらの性格、思考や行動が合わない、少なくても、相手側からの歩み寄りが期待出来ない場合が、少なからずあるようです。そんな時に、こちらから、相手を理解して、どれだけ、相手の感情や立場に寄りそい、思考や意識の歩調を合わせることが出来るかという課題があるでしょう。
『チャレンジ介護士篇』で、そんな職員間の意識や思考のすれ違いを扱ったものに「海野、怒鳴られる」や「社内コミュニケーション」などがあります。「海野、怒鳴られる」は、筆者が同じような経験をした時のショックが大きかったためか、題名が注目を引いたためか分かりませんが、海野総一の介護現場での仕事を描いた話題の中で、多くの方に読まれています。
海野、怒鳴られる (21)
「社内コミュニケーション」でも現場の職員との微妙な意識の違いとそこから生まれるストレスを取り上げています。著者としては、そんな現場のストレスの原因となる他の職員を責めたい気持ちがない訳ではありません。しかし、そんな職員間の意識のすれ違いを出来るだけ現実に近い形で再現することによって、そのようなコミュニケーションの失敗の原因を探り、改善策、改善のための手段を見出すことが出来ると良いと思います。
社内コミュニケーション (50)
職場のコミュニケーションは、伝言ゲームのように伝わることがあります。当初の意図とは別のメッセージとして相手や、その先の相手に伝わることがあります。それは、伝える本人の本心や深層心理を表していることもあるでしょうし、周囲との関係性や職場の環境などによって、反対の方向に向かい、さらに、助長されることもあるでしょう。また、実態と関係のない空想が展開されることもあるでしょう。
介護現場における職員間のコミュニケーションの問題は、同じ立場の職員間の問題から、上司や経営陣との関係にも及びます。
そんな問題も考えていけると良いと思います。
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