2021/03/07 20:00

こんにちは。

SoLunerG所属のイラストレーター『中村 尽』です。


今回の活動報告では、全8種類の『アルム』と、それについての簡単な設定作画の際のコンセプトをご紹介します。




まず、『アルム』という聞きなれない名称に疑問を感じておられる方も多いと思いますので、そこから説明したいと思います!


『アルム』というのは、本作『スノースマッシュ・クラン』でのアクション【スマッシュ】の際に使用する“雪玉を発射する装置”のことです。(『スマッシュ・ガジェット』と言ったりもします)


名称の由来はフランス語の『武器』ですが、“雪”のイメージを出したかったので、私の大好きなあるアニメ(40年ほど前の作品です)の用語とひっかけています。


子どもたちが遊ぶ雪合戦を元にしたスポーツ……ということで、こうした細かい用語にも出来るだけ暴力的な表現を使わないように心がけています。



本作のキーワードとなる「雪合戦」「子どもが遊ぶゲーム」といった要素から、アルムのデザインも


『手触り感のある、ワクワクするもの』
『「武器」ではなく「遊具」』
『いわゆる“子供だまし”なデザインではなく、大人が真剣に遊ぶために作ったような、本気が感じられるようなもの』


という方向性でイメージを固めていきました。(この辺のイメージ共有までは基本的に二人で通話しながら進めますが、デザインに入ってからはデザイナー側でやりたい放題やってます笑)


子どもが遊ぶような空気感を大事にしたかったので、現代的な“武器”や“兵器”をモチーフにするのはできるだけ避けました。


「ローレンツシューター」(レールガン)と「コメットフォールサテライト」(衛星兵器)だけはちょっと例外ですが、こちらはほとんど想像上の武器なのでいいかな~、と思って、遊びで入れてみました。(ほとんどアニメや漫画の世界の兵器なので)





トナカイ・スリング・ショット。

本作のメイン武器、という扱いの“主人公アルム”です。もとになった道具は『スリングショット』(いわゆるパチンコ)。


子どものころ、明地と二人でパチンコで遊んだ思い出が元ネタになっています。


■デザインについて

“マスコットのようなトナカイの頭と、道具としての説得力をどう合わせるか?”

というバランスの部分でとても悩み、何回か描きなおしています。



ピストン・ランチャー。

シリンダー後部のピストンを押し込むことで雪玉を発射するアルム。もとになった道具は空気砲(エグゾーストキャノン)です。口径がかなり大きいので、そこまでの威力は出ないようになっています。(あぶないので)


■デザインについて

これは20年以上前のロボットアニメに出てくる、主人公が使う武器がイメージ元になっています。

イメージ元とはいえ、見た目は全然似ていないため知っている人が見てもそう簡単には分からないと思いますが……。



ブロワー・バルカン。

これはかなり初期からデザインが決まっていたアルムで、元になった道具は枯葉掃除などに使う“ブロワー”……を雪合戦用に改造した手作り道具です笑

ネット検索で見つけたのですが、そのアイデアがあまりに面白かったので使わせてもらいました。


■デザインについて
ブロワーにノズルを付けただけです。取っ手部分は電気掃除機のデザインに似せています。

本体後部についている突き出しから雪玉をセットします。



ノーチラス・カノン。

“ノーチラス”はオウムガイのことです。ブロワーバルカンのマイナーチェンジ版、ということで原理は同じですが、形を変えて個性を出しました。


「使いまわし?」という声が聞こえてきそうですが……そうです笑


というのも、実は、デザイン完了後にアルムのデザインが一個足りてないことに気が付くというトラブルがあり……笑

納期ギリギリに作業するとこうした見落としが頻発するので、今後も気を付けます笑


■デザインについて


昔からカタツムリとかオウムガイが好きで、渦巻き状のデザインに魅力を感じます。

ノズルの横に張り出しているのは……どういう機能を持っているのか自分でもよく分かっていませんが、なんかカッコいいですよね。

なにせ納期が迫っていたので、深く考えないようにし、B・バルカンと差別化することだけを意識して付けました。




ダ・ヴィンチ・カタパルト。

モナリザで有名なレオナルド・ダ・ヴィンチが設計したカタパルト(投石機)がモチーフです。

弓の部分に張力を溜めて、振り子が回転して雪玉を飛ばします。

……作りが難しいので、知りたい方はググってください笑 面白いですよ笑


■デザインについて


ダヴィンチ式カタパルト、ほぼそのままです。

ステンレス製にしたり、移動しやすくなるように足にスキーを付けたり、少しでも軽くするために構造材を一部肉抜きしたりしてスノクラの世界観に合わせるようにだけ意識しました。



ファンネル・ブリザード。

『ファンネル』は『漏斗』のことです。『ジョウゴ』ともいいますね。

これに関しては細かい原理を考えてませんが、ファンネル部分で発生したエネルギーで風車を回して、局地的な雪嵐を発生させるみたいなイメージです。


■デザインについて

モチーフは風車ガスレンジのホース、あとつまった排水溝を掃除する器具です。

B・バルカンからの流れで、掃除道具をモチーフにした道具その②ですね。



ローレンツ・シューター。

モチーフはリニアレールガンです笑

この辺のアルムは、男の夢が詰まってる感じですね。

ローレンツ、というのはオランダの物理学者『ヘンドリック・アントーン・ローレンツ』からとっています。
ローレンツ力(電磁気力)で雪玉を飛ばすアルムなので、そこからとりました。


■デザインについて

後ろについている雪だるまはエアバッグで、反動がきついのでお腹にあてて銃身を支えます。

また、サドル部分は自転車に似せています。

リニアレールガンという非現実的でなじみのないアイテムをどうやって親しみやすいものにするか? という発想でデザインした結果、こんな感じになりました笑

個人的には銃身の安っぽい光沢感が気に入っています。




コメット・フォール・サテライト(のリモコン)。

『スノースマッシュ』のために雪玉を搭載した衛星アルムが打ち上げられている、という設定があり、これはそのリモコン部分です。

真ん中のボタンを押すと衛星軌道上から雪玉の詰まったポッドが落とされ、大気圏を突破して標的の上空で中身の雪玉を放出します。


『ポッドは雪玉放出後、パラシュートで安全に降下するので危険はない』という設定です。


■デザインについて

『不思議感』『おもちゃ感』を特に意識してデザインしました。出来るだけ現実味がないような見た目にしています。
ニコニコ笑っているチープな質感の雪だるまが、大人の目から見たらめちゃくちゃ怪しいと思いませんか?
「本当に押して大丈夫か? このボタン……」と

でもきっと私が子供だったら喜んで押します。



以上が、本作で使用するアルムです。

ひとまず触りだけご紹介しましたが、設定資料集ではもっとつっこんだ話も書きたいですね笑

では、また次回の記事でお会いしましょう。ありがとうございました。