メンバーの戸川です。
これまでガザの明るいシーンを中心に紹介してきましたが、今日は厳しい状況についても少し触れていきたいと思います。
ガザ地区はどんなところ?
パレスチナ自治区の一部であるガザ地区は、東地中海の端に位置している地域で、エジプトとイスラエルに接しています。地中海沿岸の地の利を活かし、古代にはエジプトとシリアを結ぶ交易地として栄えていました。このガザ地区では、手織りの絨毯、籐製の家具、陶器、柑橘類などの農作物や海産物が特産物とされています。[1]
<ガザのビーチの写真:子供たちはいつも明るい>
しかしながら、長期的な封鎖、度重なるイスラエルによる攻撃、その影響により壊滅的な状況に陥っている社会経済から、かつては栄えた土地であったガザは現在、「天井のない監獄」と呼ばれています。2012年の国連機関報告書は、「この傾向が続くと、社会、医療、治安の破綻を招き、2020年にはガザに人が住み続けることはできなくなる」と警鐘を鳴らしています。[2][3]
<復旧中のガザの建物:銃痕の後が残る>
「天井のない監獄」とは?
東京23区の60%程の面積であるガザの人口は、約200万人です。世界で最も人口過密度の高いエリアの一つであるガザは、2007年以降イスラエルによって封鎖されているため、陸海空のいずれも、人や物の出入りが大きく制限されています。そのうえ、過去10年間だけ見てもガザは3度の大きな戦火に見舞われています。2014年の51日間にわたる軍事攻撃では、死者2,251人、負傷者11,000人、全壊・半壊家屋18,000戸という大きな被害を受けました。[4]
こうした状況の中、ガザの生活基盤は破壊されたまま、十分に復興がされていない状況です。ガザの伝統的な産業 - 農業/林業/漁業/製造業のいずれも衰退し、イスラエルの攻撃で破壊された地域の再建が辛うじてガザを動かしている、という厳しい現状です。
破壊された生活基盤 - 深刻な電力不足
ガザの電力供給は主にイスラエルに依存せざるをえないため、政治的な状況に非常に左右されやすくなっています。特に先月以降、電力供給が著しく押さえられているため、発電機や太陽光発電設備のない多くの家庭では、1日のうち電気を使える時間はわずか2-3時間と言われています。この厳しい状況の中で、昨年のガザチャレンジ受賞者 Sketch Engeneering のアマルから、以下のメッセージが届きました。
ガザでの生活は、地獄のようになってきています。あまりにも暑い中、エアコンは勿論、扇風機もない。シャワーを浴びる水もない。あるのは、ただ飲むための水だけ。ガザの人々は常に不満を感じ、フラストレーションが溜まっているため、あちこちで口論や喧嘩が発生しています。(中略)私は今、無力感を感じています。自分、家族、そして私の人々のために何もすることができません。このような負のエネルギーをあなたたちと共有してしまい申し訳ないけれど、これが私たちが直面しているガザの状況です。
現状は厳しい。しかし、諦める理由はない。
私たちには私たちのできることをしていきたいと思います。
[1] http://travelpalestine.ps/gaza/
[2] http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/09/post-3894_1.php
[3]http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2017/07/gaza-unlivable-place-170723091946355.html
[4] パレスチナ子どものキャンペーンウェブサイト