2021/07/19 08:00
緑の中に立つ資料館(旧光顕寺 昭和9年建立)を初めて訪れた時、不思議な気持ちでした。中の壁には資料が張られ、奥には鉄道、ダム建設で亡くなられたご位牌が置かれて暗い不気味さを一瞬感じます。しかし、お寺当時の面影を残した大きな木の支柱や板張りの床の深い空気感を感じているうち、心はすがすがしさに変わっていったのです。更に、布団を敷いてここで寝てみたい衝動にさえ駆られました。
後刻、考え直してみると1980年代から続けられた遺骨発掘。世界各国から集まり、汗と共に平和の尊さを共有された先人達の願いや息吹が、無念にも事故で亡くなり、一晩御遺体として横たえられていた本堂の寂しい雰囲気を少しずつ和らげていったのではないだろうかと。こちらを訪れる度、亡くなられた方の冥福と共にダム、道路、鉄道で恩恵を受けている事に感謝を捧げました。
又、このような時の流れを踏まえ、自分はどう生きていくのかという心の再構築の場にもなっていました。
祈る人
奥矢敏正