私たちは、コロナ真っ只中の2020年6月1日に起業しました。私は2020年4月末で勤めていた会社を退職し、海外留学に行くことを考えていました。しかしながら、留学先に考えていたオーストラリアはロックダウン。早々に人生設計が崩れてしまいました。そこから、失意のまま長崎の実家に帰り、自主隔離として二週間地元のホテルで生活しました。外に出ることもできなかったため、ひたすら狭いホテルの中で今後どうやって生きていくかを考えていました。私の実家は百年近く続く和菓子屋で、家業を継ぐことも考えましたが、自分のやりたいことを仕事にしたいと思っていました。自分のやりたいことはなんだろう。私はコーヒーが好きでした。味というよりは、コーヒーを取り巻く環境が好きでした。人々はコーヒーを片手に楽しく会話をしたり、本を読んだり、コーヒーショップにはなんとなく暖かい時間が流れています。留学先に考えていたメルボルンは、コーヒー業界がとても盛り上がっている都市です。そこでコーヒーについて学んだ後、日本に戻ってひっそりとコーヒーショップを開き、自分の大好きな空間で心地いい音楽をかけながらコーヒーを淹れる。今振り返ると、漠然とですが、そんな人生を想像していたんだと思います。近年、ITを駆使して既存の事業をデジタル化するような取り組みが日に日に進んでいます。しかし、コーヒー業界はまだまだデジタル化が進んでいない業界だと思います。コーヒー業界は、対面での営業が主です。お客様の中には、カフェの店員さんやそこにいる常連さんとの会話を楽しみに足を運ぶ人もいるかと思います。私もその一人です。しかし、コロナウイルスの流行によって、事態は一変します。外出の自粛を求められ、「3密」を避けるよう求められます。今まで当たり前だった対面での営業が真っ向から否定されたのです。コーヒーの王手メーカーでは、オンラインショップでの売上もあるが、多くは違います。私の身近でもコロナを機に廃業の道を選ぶコーヒーショップもありました。大好きな空間を守るためには、大きな変革が必要だと思いました。私は大学卒業後、住宅メーカーに入社し、マーケティング部署に配属されました。その会社で、2年間マーケティングを学びました。これまでの人生で最も面白いと思った学問でした。大学まで過ごした長崎を上京を機に離れたことで、東京にはたくさんの美味しいコーヒーショップがあることを知りました。それと同時に多くの人は美味しいコーヒーを知らないこと、または、知る術がないことを知りました。また、全国各地に素晴らしいコーヒーロースターがあるにもかかわらず、販路の選択肢が少ないために儲かりづらく廃業に追い込まれるロースターがいる。オンライン上でコーヒーが大好きな人たちとコーヒーに情熱を捧げるコーヒーロースターを繋ぐことで両者を手助けすることができるかもしれない。その時、ファッション業界ではZOZOTOWN、農業では食べチョクなど各業界に特化したプラットフォームがありましたが、コーヒー業界にはこれといったプラットフォームがまだ浸透していませんでした。その時、ぼんやりと”Bean to you”の構想が頭の中で出来上がりました。そして、私たちは、コロナ真っ只中の2020年6月1日に起業しました。