チームわたほいの遠藤伸一です。木工の仕事をしています。
けいちゃんの『10年の幸福写真』の実行委員会の一員として写真展の準備から参加させていただきました。
けいちゃんとは10年前に渡波保育所避難所で、被災者と支援者として出会いました。彼は大きな哀しみと絶望の中にいた自分たちに寄り添ってくれました。
あの日から私は長いのか短いのか、早いのか遅いのか定かではない時間を生かされて来ました。
そんな時間をすごしたこの場所で、たくさんの人たちのいろんな場面、その中で見せる想いや表情を、けいちゃんは写真に収め続けました。
辛く切なく儚い気持ちで生きている人たちは、誰かの想いが伝わった瞬間に独りぼっちじゃないことを感じて、繋がってくれた人の輪の中では笑顔になれることを、けいちゃんの写した写真から知りました。
けいちゃんが繋がった人たちの素敵な笑顔は、そばにいてくれた彼だからこそ撮れた写真だと思います。
自分を撮ってくれた写真を見て、俺ってこの時こんな顔してたんだ、こんなくしゃくしゃな顔で笑えてるんだ、と不思議な感じだったのを覚えています。
写真展でもらったプリントの中に、避難所でずっと焚き火をしていたタタキのコンクリートが熱で歪み、変形しているのを自分が眺めている一枚があります。
みっつん(海苔漁師の相澤充)が最初にそこで火をおこし、濡れていた私たちを当たらせてくれたのが渡波保育所避難所の始まりだったことを思い出す特別な写真です。
けいちゃんは私が家の跡につくらせていただいた『虹の架け橋』のあるチームわたほいにもいつも来てくれています。
そこで撮ってくれたたくさんの写真は、自分たちが繋がっている人の温かい想いの中で生かされていることを、改めて認識させてくれました。
けいちゃんときみちゃんが結婚式をチームわたほいで挙げたいと言った時には驚きましたが、盛大な式の最後にけいちゃんが言った
「苦しみを減らしたり、悲しみを無かったことにはできないけれど、きっと喜びを増やすことはできる。だからここで結婚式をしたいと思いました!」
の言葉には泣かされました。
この場所で二人が幸せになることで皆も私も幸せだと感じることができ、『虹の架け橋』をつくらせていただいた時の想いも叶いました。
あの時の言葉通り、けいちゃんの『10年の幸福写真』展は、たくさんの人たちが笑ったり泣いたりしている写真を通じて、またひとつ幸せな時間と皆の笑顔をつくってくれました。
忘れていた小さな幸せ、見ると甦る匂いや音などの記憶。写真の不思議と魅力を引き出してくれた けいちゃん。それを全力でサポートしている きみちゃん。そんな二人だから、大勢の人が幸せを感じる写真展をつくれたんだね。
ありがとう。感謝しています。
被災者、支援者としての出会いから10年。
今はお互い兄弟姉妹のような関係です。海苔漁師のみっつんなど、いろんな職業のメンバーで構成されている実行委員会の皆と時間を共にしていることも嬉しいことです。
次は写真集!どんな幸福写真集になるのか楽しみです。
木遊木 遠藤伸一