3月5日にソウレッジではゲストを迎え、国際女性デーに合わせてイベントを行いました!国際女性デー(3月8日)に関連するイベントの規模は、世界各国で年々大きくなりつつあります。こちら記事では前回に続いて、ソウレッジが行ったイベントレポートをしております。
この記事は#2です。ここから#1のページに飛べます。
緊急避妊薬を飲むという選択肢を、もっと身近にしたいと思っています。
つるたま:では、ここからは緊急避妊薬の話をしたいと思います。まずはソウレッジの紹介をさせていただきます。ソウレッジは、性教育への最初の1歩を届ける団体です。元々教材を作る会社で、寄付をしたり、性教育が日常の中に溶け込めるようなプロダクトを開発してきました。教育を届けていく中で、値段が高かったり、理解のない言葉を周囲の人から投げられたり、知識があっても行動できないという状況をたくさん見てきました。
私が通っていた大学の学生が出産して、畑に死体を遺棄して捕まったんです。全国ニュースにもなって、本人は辛い状況にあったと思います。決してその子だけの責任ではないのに、子どもを殺した親と世間からは見られて、「どうしてその子だけが捕まるの?」とずっと考えていました。大学の構内ですれ違ったりしていたかもしれないけど、その子のSOSを私は拾うことはなかったし、周りの人も拾うことができなかったんですね。それで中高生とかに性教育をやっていますと言うと、中高生から相談されるんですよ。妊娠しちゃったかもとか、コンドームが破れちゃってとか。そういう話をされたときに、緊急避妊薬があるよって言おうとしたけど、こんな高い薬を中高生に教えても買えないって思ったんですよね。その問題意識が結構強くなってきて、去年くらいに子どもたちが親に話さなくても、緊急避妊薬を手に入れられる環境が作れないのかなと思って、クラウドファンディングを始めました。
「お金が無くて買えない」「知り合いにばれるのが怖くて買えない」「親に相談できなくて買えない」「障がいがあってひとりで移動が出来ないから、親に送り迎えをしてもらわないと買えない」「病院が遠方で学校を休まないといけないから、単純に行けない」。いっぱい買えない理由があるけど、やっぱりお金の問題が一番大きい。でも、誰かがお金を出してお医者さんが処方したら、子どもたちには薬が届くという仕組みが作れるんですよね。法律的に違法ではないですし。
まず、緊急避妊薬がどういう薬かを説明します。72時間以内に飲むことで予期せぬ妊娠を防ぐ薬です。緊急避妊薬を中絶だと勘違いしている人が意外といるんですけど、緊急避妊薬は妊娠する前にそれを回避しましょうという薬で、予期せぬ妊娠や中絶は、女の子の心身や経済的に負担があるので、理想的な状態ではないですよね。もちろん選択するとなったら、それが安全に行われるべきではあるけど、ない方がいい。なので緊急避妊薬を飲むという選択肢を、もっと身近にしたいと思っています。
そもそも、男性も女性もですけど、身を守る知識が届けられていない。そして様々な障壁があって緊急避妊薬を手に入れられない。身を守る知識はソウレッジの教材を配布したり、学校での研修などを行っています。だけど、やっぱり環境を整えることも大事なので、両方やっていかないといけない。例えば、オランダは2001年に世界で初めて同性婚が法制化されました。でも、その時はまだ差別があった。その状態で制度化されたんです。
辻さん:仕組みから変えようとしたんですね。すごい。
つるたま:差別があるけど、必要だと思うことを先に作って、それに意識を合わせていく。日本がSRHRをちゃんと整えていくうえで、やっぱりそれが必要だなと思いました。私が毎回15,000円を自分のポケットマネーから出すのは難しいけれど、大人が性教育をしない環境を作っているせいで、若者だけに強い負担を強いてしまい、子どもたちが辛い目に合う状況を変えたいと思う人たちからお金を預かって、子どもたちのために使う仕組みを作ろうと思っています。具体的には、緊急避妊薬の無償提供をオンラインのピル処方サービスと連携してやろうと思っていて、いずれは地域の病院とかでも出来るようにしたい。これをやりたいと言ったら、兵庫県のユースクリニックがやりますと言ってくれて、とても嬉しかったです。
辻さん:私は自分が会社を経営していることもあり、企業もアクションを起こせるといいなと思っているんです。それぞれの企業が、消費者の方が抱える困難を解決するためにスポンサーとなったり、共済のような仕組みを作ったり。そういうことが広がっていくと、理想的だなと。
中島さん:みんなが住んでいる地元の場所で、協力してくれる病院があるのはすごいですね。
つるたま:理想的なのは、病院とかに行きやすい環境を作るということなので、オンライン処方をして終わりではなく、継続して繋がりたいんです。オンライン処方にした理由は、遠いところにいる子たちや、親に言えなくて行けない、今存在しているそういう子たちもアクセスできる場が欲しいと思ったから。処方後のLINE登録を必須にして、緊急避妊薬を飲んだ後にどのタイミングで妊娠検査薬を使用するかや、虐待などでシェルターが必要な子と相談先をつなげたり、低用量ピルやミレーナの知識が必要な子たちもきっといると思うので、そういう性知識を同時に届けていくということをやりたいと思っています。LINEで情報を届けていく中で、その子たちの行動がどういうふうに変化していったのかを、アンケート調査で数字で見えるようにすると、今よりもさらに政策が実現しやすくなるかなと思っています。
それから、親に相談しない権利というのが、子どもたちにはあるんですよね。ただ、親は知りたいと思います。本当に子どものことを愛していて、子どもがそういう状況に居るとしたら、もちろん知りたいと思います。でも、いつ話すかは、その子自身が自分で決められる環境が大切。薬をもらえるタイミングで言いたい子もいれば、落ち着いてから言いたい子、いろんな子がいると思います。
中島さん:親との関係性ですよね。親じゃなくても、例えば保健室の先生には話せるとか、身近な大人に相談できるとか。親に言わなきゃいけないというのは危険だなと思います。
つるたま:誰に言うか、いつ言うかは自分で決められる状況にしたいと思っています。
中島さん:あと、前提として緊急避妊薬は安全な薬ですよね。
つるたま:そうですね。2011年に認可された薬は副作用も少ないです。その前に緊急避妊薬として使われていたピルは、副作用が強かったんですよね。吐き気があったりしたんですけど、新しい薬は副作用が少ないし、不妊や血栓症のリスクもほとんどない薬。90ヵ国以上で薬局販売している薬なので、そこまで怖がるようなものではない。
中島さん:そうですよね。血栓症のリスクは確かにあるけれども、お産の時に血栓症ができるリスクの方がよっぽど高いと言われています。望んでいない妊娠をするリスクと、血栓症のリスクと、どっちをとるのか。緊急避妊薬だけを危険視する背景にはスティグマがあるなと思います。
辻さん:特に避妊に対する社会の風当たりは強いですよね。「あなたがしたくて(セックス)したんでしょ?」「自分が避妊に失敗したんでしょ?」と言ったある意味「懲罰的なスティグマ」を前提に、制度や仕組みが出来上がっている気がします。ですから、本人も悪いことをしてしまった気がして誰にも言えない。気持ちのハードルと仕組みのハードル、原因は同じところにあるのではないでしょうか。
緊急避妊薬のOTC化が話題になっていたときに真っ先に出た意見が、「性の乱れに繋がる」というもの
福田さん:おっしゃる通り「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」のサイトに、WHOが出している「Family Planning」には、「既存のホルモン避妊法を使用できない女性を含む、全ての女性が緊急避妊薬を安全で効果的に使用できます」とあります。また、「市販薬化された場合、女性は、緊急避妊薬の情報を理解し正しく使用できます」「医学的管理下におく必要はありません」とされていることも知って欲しいです。
特にコロナ禍で医療へのアクセスが難しくなった時には、WHOから薬局での販売を考えるように提言がされたり、緊急避妊薬の渡し方についても、WHOは「Family Planning」の中で「女性は、ヘルスケアプロバイダー(医療従事者)に最初に会わなくても、必要時に緊急避妊薬を服用できます。 緊急避妊薬を服用する前にいかなる処置も検査も不要です」「ルーチンの再来は必要ありません。使用者にはいつでもまた来ることを歓迎していると伝えましょう。」と書いてあります。でも今、厚労省の検討会においては、緊急避妊薬の悪用、転売を防ぐために、薬剤師の目の前で飲ませる「面前内服」や、三週間後の「フォローアップ受診」の義務化についての議論があります。女性は管理する存在として見られていて、自立した権利がある存在として見られていないですし、厚労省のパブリックな検討会の場でも、データやWHOの提言で進んでこなかったと感じます。スティグマを解消するためにも正しい知識が必要だと思います。
辻さん:女性が自己決定権を持つひとりの人間としてリスペクトされておらず、「女性はデータドリブンじゃないから理解ができない」と思われていることは、性の主体性の話にも繋がると思っていて。緊急避妊薬のOTC化が話題になっていたときに真っ先に出た意見が、「性の乱れに繋がる」というものでした。仮に、ものすごく性に奔放な女性がいたとして「だから何?」でしかない。仕組みと選択肢がきちんと整備された上で、意識の指摘をされるのなら、まだ理解はできます。義務教育での性教育の充実もしかり、避妊の選択肢の拡充もしかり、まだそのどちらもが整っていないのが今の日本です。その大前提が整っていないのに、女性側にだけ性の乱れを指摘されるのは違和感があります。だから、コンドームを男性が持っていれば「ちゃんとしているね」と言われるけれど、女性が持っていたら「遊んでいる」と言われるし、「低用量ピルを飲んでいます」とツイッターで公言すれば「誰と使ってるんです」かと配慮のないリプライが送られてくる。自分の体を自分で守りたいだけなのに、そういう見方をされてしまうのは本当に悲しくなります。
つるたま:怖っ。誰と??
辻さん:「そもそも低用量ピルってこういうものですよ」と丁寧に説明はしたのですが、そもそも女性が性に主体的であること自体、ネガティブにとらえられてしまっているので、偏見が折り重なってしんどかったですね……。
中島さん:もう一つは、たった一回の性行為でも妊娠することがあるわけで、奔放かどうかは関係ない。性行為イコール必ず妊娠のリスクがあるのだから、緊急避妊薬は妊娠を避けるための薬、ただそれだけなんですよね。
仕組みを変えるには政治を動かすこと。なので、女性の政治家が増えてほしい。
つるたま:「緊急避妊薬を薬局で」の議論の中で、悪用したらどうするんだという意見がありました。悪用というのは、女性を買収する側の話ですが、今すでに緊急避妊薬の偽の薬、本当に効果があるかどうかわからないような薬が出回っている中で、悪用しようとしている人が、本物かどうか分からない薬を女の子に渡して売春するのと、本物の薬を渡して売春する場合、どちらかといえば後者の方がまだマシだと思います。かつ、女の子がそれを自力で買えるとか、自力で手に入れられる環境になったら、お金がある大人に頼らなくても、自分で身を守れるような環境になっているということだと思うんです。
辻さん:日本だと性教育の授業でコンドームを渡したり扱ったりして授業をすると、PTAなどからクレームが来ることがあるんですよね。
つるたま:興味持っちゃうじゃないかと。
辻さん:性の乱れは悪だ、だから臭いものには蓋をみたいな。でも海外では、性教育をしっかりした結果、望まない妊娠が減ったというデータが出ていて、子どもたちが主体的にきちんと知識を得ることはむしろ良いことなんですよね。
つるたま:ユネスコのセクシュアリティ教育ガイダンスにも、性教育に力を入れると、最初の性行為が遅くなる傾向にあるという結果が出ています。
中島さん:私も中学校に性教育に行ったりすることがあるんですけど、性教育が必要だと思っている先生はたくさんいるし、それが子どもたちのこれからの人生を豊かにしていく、大切なことだと思っている先生がたくさんいるんだけれども、学校での教育で何を教えるかを決める所に居る人たちに課題があるんですよね。現場は教えたい、親も教えたいと思っている。学校で招かれて話をしたりすると、今日の話で自分も知らないことがあって、この話を子どもたちにプレゼントできてよかったと言う先生もいるわけなんですよね。現場ではもうニーズが見えているし、届けたいと思っている状況の中、どう変えていくかという話かなと思います。
辻さん:仕組みを変えるには政治を動かすこと。なので、女性の政治家が増えてほしいですね。今年(2022年)の夏には参院選もありますが。
つるたま:辻さんは「クリエイティブ・アクティビズム」という言葉を掲げられていますが、具体的にはどういったことをされているのですか?
辻さん:アクティビズムって聞くと、デモとか、署名活動というようなイメージがあると思います。「辻愛沙子」という個としては、そういう活動をすることもあります。ただ、仕事では社会に知ってほしい、あるいは知って変わってほしい課題をクリエイティブを武器として、広く告げていきたいと思っています。特に社会課題の領域は、本当は課題があることが分かっているけれど、なかなか社会に届ききっていないことが多いんです。それこそ何年か前に「保育園落ちた日本死ね」と書かれたブログが話題になりましたが、その一文で課題が世の中に届いて、点在していた「見えない」痛みが線でつながり、メディアが取り上げて、実際に政治家が動くまでになりました。そういうたった一言で社会は変わっていくんです。
それで、女性が抱えるさまざまな課題や困難を可視化し、解決するために「Ladyknows」というプロジェクトを立ち上げました。「白か黒か」みたいな対立構造ではなく、事実をもとに話し合うことが「Ladyknows」のコンセプトです。いろんなデータをインフォグラフィックスで分かりやすくまとめて届けたり、女性がもっと自分の体と向き合うきっかけを作るイベントを企画したり。今年からはもっと活動を活性化させていきたいと、水面下で準備しているところです。
広告業界やクリエイティブディレクターの仕事は、いろんな企業と一緒に仕事をすることがほとんどです。その中で感じるのは、企業の方は自分たちの顧客である消費者の方を傷つけることをとても気にしているということ。だからなかなか踏み込むことができない。だったら、まずは生活者側の声を集めて、世論を形成することが必要だなと思い、SNSを通じて活動したり、今日のようなお話の機会に積極的に参加したり、報道番組に出たり……表に出る仕事と裏方で作る仕事を両輪で回しています。リアルに痛みを抱えている人たちの声を、どうやったら世の中に届けられるか、橋渡しができたらいいなと思いながら日々仕事をしています。
中島さん:届けたい相手が受け取りやすい形で伝えるというのが、どうしても現場に入っていると、そこでの言葉で語ってしまうけど、それだと通じない。自分たちの取り組みの一回りぐらい外の人には伝わるかもしれないんだけれど、もっと実は伝えたい人は多くいる。
つるたま:クラファンサイトのページもデザインしてもらっていて、可愛らしい感じにしています。緊急避妊薬は怖いイメージが強い薬なんだなというのを、やっていて思ったので。
中島さん:和子ちゃんの避妊具のイラストも可愛い。リアルすぎると確かにうってなってるけど。
辻さん:コミュニケーションは、勿論わかってもらうとか、ちゃんと届けることも大事なことです。でもそれが、他人事としての理解だと、さっきの緊急避妊薬の「いざ休みを取って婦人科に行くのは私」「薬代を払うのは私」みたいなことが起きてしまう。ですから、やはり届けるならそれに対して当事者意識を持ってもらって、自分ごと化してもらわないといけないなと思います。活動する人、それを受け取る人、応援する人それぞれもちろん大事ですが、特にこのSRHRの領域は全員が当事者じゃないですか。だからこそ、「自分には関係ない」と思っている人たちに、あなたの話であり、私の話であり、我々の話ですというのをどう届けられるのかは考えていきたいですね。コミュニケーションの仕事って華やかに見られがちですが、たくさんのステークホルダーを巻き込んでいくって実は泥臭いこと。地道にやっていくしかないんですよね。
いま、話を聞いている人が、今日明日からできること
つるたま:今、話を聞いている人が、今日、明日からできることって何かありますか?
中島さん:今の話の中にもあったと思うんですけど、自分にとって大切な人と、このことについて話をするとか、友達とでもいいんですけど、話題にすることはすぐにできそうですね。
辻さん:先ほど、低用量ピルの話をツイートした話や、緊急避妊薬にまつわる私個人の経験をお話しましたが、センシティブな話題なので、すべての人がオープンに話すべきとは思っていません。話せるタイミングで、話したい人は話せばいいこと。ただひとつ言えるのは、話す前は「どう思われるかな」などと不安に感じたりすることがあるかもしれませんが、あっけらかんと話していると、いざ周りの人が同じような状況になった時に、「あの人には話せるかな」と相談窓口にもなれる可能性はあります。私は、性のタブー視を払拭し、当たり前に話せる社会を目指して、あえて表の場で公言していますが、話して後悔したことは一度もないですね。
つるたま:確かに、後悔したことないですね。
辻さん:むしろ周りの意識が変わったり、性の話を共有できる人が増えたり。話をしてみると、「実は私もそうだった」と言う人が意外といるので、「大丈夫、話していこうぜ!」って思います(笑)
つるたま:和子ちゃんは、今の話を聞いていて思ったことはありますか?
福田さん:私もケロッと話すというのは本当にいいなと思っていて、私はずっと日本で生まれ育ったので、それこそピルに対する冷たい視線は当たり前だと思っていたんですけど、スウェーデンのユースクリニックに行った時に「よく来たね、偉いね。自分の身体のこと考えて偉いよ!」「避妊法はどれがいい?好きなの選んで、質問があればいつでも来てね!」とすごくポジティブに言われたんです。その瞬間に、私の中で避妊に関するイメージが180°変わったというか、「避妊って自分の体を大切にする偉いことなんだ!」と。そう思えると生きやすくなるなと思います。なので、今参加してくださっている皆さんも「自分偉い!」と思って欲しいし、そういうポジティブなエネルギーって周りに伝播していくものなんじゃないかなと思います。その先に、避妊はもちろん、性に関わることがスティグマを受けることではなく、当たり前の権利と健康の話になっていってくれたらなと思います。
中島さん:うちの窓口も、16%が男性からの相談です。
一同:えー!
中島さん:だからこのことは女性だけの問題じゃなくて、本当に全てのジェンダーに関わること。ジェンダーを超えて自分も正しい知識を知りたいと思って相談してくれているので、窓口で「よくかけてきてくれたね」というと、ホッとして、そこからもっと具体的な相談になっていったりします。
辻さん:「生理用品どれ使ってる?」みたいな話の延長線で、「最近あのコンドーム使ってみたら良かったよ」「緊急避妊薬飲んだんだけどさ」みたいな話ができる。
つるたま:女性の方が、割とそういう話をしやすい感じがしますよね。男性の性の悩みって、より話しづらい。結構そういう悩みは聞きます。
辻さん:男性の体って、コンテンツ的に扱われやすい傾向がありますよね。女性とはまた別のスティグマがあって、悩みを開示しにくいのかなって思ったりします。本当にみんな対話してほしい。
つるたま:緊急避妊薬だけでなく、生理や性的同意、何でもいいから一回話してみるということができると、その後話しやすくなったりするかなと思います。
3人に1人が緊急避妊薬を服薬した経験があると回答
つるたま:では、お時間になりましたので、アンケートの結果を発表します。「今まで緊急避妊薬を飲んだ経験がありますか?」という質問に、291人が回答してくれました。ありがとうございます。「ない」と答えた方が72%、「ある」と答えた方は28%。30%ぐらいの方が「飲んだことがある」と回答されていまして、緊急避妊薬は高いから諦めたという方も含めると、たぶんもっと多いと思います。
辻さん:「緊急避妊薬にアクセスしていいんですよ」ということを繰り返し言っていきたいですね。
つるたま:本当にそう思います。今日中島さんが話してくださったことが『漂流女子』という中嶋さんの著書にまとめられています。男性からの相談の話も載っていますので、皆さん読んでみてください。
最後にもう一度、現在クラウドファンディングに挑戦中です。ぜひ参加していただけたら嬉しいですし、あと話してもらうのが何より嬉しいです。特に男性は、緊急避妊薬のクラファンに参加することよりも、話すことの方がハードルが高いなと最近感じています。ソウレッジのメンバーで、友達にこのクラファンのお知らせを送っていると、「実は彼女に飲んでもらったことがあって」みたいな人が結構いるんです。だから、課題は意外と身近にあるんだなと。「実はこういう経験があって」みたいなお話をするきっかけになるかなと思っているので、ぜひいろんな形で関わっていただけたら嬉しいです。お願いします。
中島さん:いつまでですか?
つるたま:3月25日です。残り20日間で今25%。でも今日500万円達成したので、最後まで諦めません。皆さんも、応援よろしくお願いします。
では、最後に今日の感想などいただけますか。
中島さん:今戦争の話がどんどん流れてきていますが、過去の戦時中に、コミュニティを分断するために使われたのが性暴力でした。性に関することは政治的に使われることがあるという中で、私たちが一市民として、性に関する知識を持つとか、それに対してアクションを起こしていくというのは、武器より強いものになるかもしれないと思うんですね。なので、今日こうやって皆さんとお話ができたことに私も励まされたし、良かったなと思っています。ありがとうございました。
辻さん:貴重な機会にお招きいただき、ありがとうございました。日頃から尊敬しているみなさんとご一緒できて本当にうれしかったです。今日はじめて知ったこともたくさんありました。性の話は日本ではまだまだタブー視されているので、知識にアクセスすること自体が悪いことなんじゃないかと思ってしまうかもしれません。ですが、お腹空いたらご飯食べるのと同じように、自分のことを大事にする手段として、正しい性の知識を得ることを大事にしてほしいなと思うし、対話をして相手のことを知ることも、同じように大事にしてほしいなと思います。一歩踏み出すはじめは不安かもしれませんが、性のことで悩むのはあなただけではないし、私だけでもない。共に話せる人はいるから、一緒にケロッと性の話ができる人を増やしていけたら嬉しいです。クラファンも薬局の署名活動も私も応援しているので、ぜひ皆さんもお願いします。
福田さん:今日はありがとうございました。現地に行きたい気持ちでいっぱいでした。性に関する事はまだまだタブー視されることも多いですし、一生懸命アクセスした先で、残念ながら嫌な思いをしてしまうこともあると思います。ただ、ユネスコなどの国連機関が出す性教育のグローバルスタンダードともいえる「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」にも、罪悪感や恥の気持ちなくケアを受けられる事は私たちの権利、とはっきり書いてあります。そう思えると、「私の権利だからね、うん、次いこ!」、といった前向きな気持ちになれます。権利と思えるって、すごく背中を押してくれるからおすすめです!昔はそれらが「権利」として認められていない中から、時間をかけて闘って、獲得してくれたものだから、ぜひ皆さんも「権利」を心の支えに日々生活してもらえたら、と思います。そうすれば、自分自身が辛い状況になった時もきっと、安心して心強くいられるかなと思うし、周りの人にも「権利だから大丈夫だよ」と言ってあげられるようになると、エンパワーリングな輪が広がっていくのではないかと思います。クラファンも応援しています。みんなで力を合わせて頑張っていきましょう!今日は本当にありがとうございました。
つるたま:ありがとうございます。最後に、対話が大事ということに頷く一方で、男性に女性が教えてあげる構造というのが、やっぱりなくなってほしいなと思うんですよね。課題を身近に感じる人はたくさん勉強するけど、こういう不均衡な関係性の中で、身体的に妊娠しない人たちにこそ、主体的に学んでほしいと思います。
辻さん:女性だって、「女性の体」を持ってるから当たり前に分かっているのではなく、主体的に頑張って知識を得ているので、一緒に学んで、一緒に知っていきたいですね。
つるたま:そうですね。何か気になると思ったら、主体的に自分で本を読んだり、勉強したり、そういうことをやってもらうのが大事だと思います。そもそも知識がイコールになっていないこの状態で、相手に話をするのは難しいですよね。教えてあげるというのは結構負担がかかることなので、頑張ってここまで自分で来てもらって対話ができるようになったら、より不安や状況が伝わりやすくなって良いかなと思っています。。
中島さん:近い未来に5歳から性別関係なく一緒に学ぶことができれば、わざわざ教えるとか、思春期に彼女に教わらなきゃいけないみたいな状態にならなくてすみますよね。
辻さん:こども(家庭)庁頑張っていただいて。
つるたま:アーカイブ配信もあるので「これを聞いてください」と送ってみてください。
女性だけが当事者ではなく、全員が当事者です。今日は皆さんありがとうございました。