寄稿シリーズ「コロナ禍のコミュ壁」では、コロナによって生まれた「コミュニケーションの壁」をそれぞれの視点から寄稿して頂き、どのようにそれを乗り越えていくのかを考えてみる企画です。私たちがいま制作している「体で話し合うボードゲーム MUTERS」もそんな「コロナ禍のコミュ壁」にお役立ちすることを目指しています。
-------------- 今回の寄稿者 --------------
田中 あゆ美 企業法務支援・キャリア支援
私は、「一人一人が自分の力を最大限に発揮できる社会を実現する」というビジョンの下、起業支援やベンチャー企業に特化した法務周りの支援をしております。 https://encirsos.co.jp/ また、より早い時期にいろいろな分野で輝く本物の人に出逢い、将来の選択肢を増やすことで、自分らしく生きる生き方や働き方を見つけるきっかけをつくる場』を創ることを目的とする、アットホームな交流コミュニティ「RASHISA」の運営をしております。 https://form.run/@info-rashisa
主催させていただいております交流会「RASHISA」には、理念に共感くださった高校生や大学生など学生の方、起業家の方、スタートアップの方、経営者の方、研究者の方など多様な方がご参加くださいます。 交流会に行ってみたものの何だかアウェイだった、誰に話しかけたら良いのか、話の合う人が誰かわからなくて緊張してあまり話せなかった、などの経験はないでしょうか。 そのような方にも安心して参加していただき、新しい気づきと出会いを得て笑顔で帰っていただくことが、私がRASHISAを運営するにあたり最も大事にしてきたことでした。 そのため「対談会」の合間に取る休憩時間には、私が気が合いそうだなと思った方同士をお繋ぎしたり、興味のある方同士でお話をいただきますが、いつもそのときが一番会場が盛り上がりました。 イベントは常にオフラインで実施していましたが、コロナを機にオンラインでの実施に切り替えました。最初はオンラインだからこその過去最高の人数の方が場所を超えて集まってくださいましたが、いつもの熱気が感じられないような、どこか物足りなさを感じました。
オンラインイベントは効率的な情報の伝達には有効だと思いますが、気軽に参加者の方同士が話す偶発的なきっかけを創出することは難しいと感じました。Remoやzoomのブレイクアウトルームを使うことや、VR空間でアバターで参加していただき臨場感を演出する工夫など を試行錯誤し、何とかオフラインイベントの際にある熱量を実現したいと思いましたが、オフラインイベントの際には必ず参加してくださっていた方がオンラインイベントでは参加されないなど、参加者の方同士のアットホームな繋がりを創出することの難しさを感じる機会が増えていきました。
実際に会うことができないことが多くなる環境では、コミュニケーションをより丁寧に気軽に取れる場を創ることが大切だと思います。 オンラインイベントでは一方的にお話しをしてしまうことが多くなりますが、1対多ではなく、1対1で向き合える、話せるという安心感のある場を実現できるようにしていけたらと思っております。
田中さんが「場作り」に真に可能性を感じておられ、特にその場の「熱量」へのこだわりを感じました。きっと参加者の方にとってもその「熱量」が恋しくなっている方が大勢おられるのだろうと思います。
私たちが『MUTERS』を作る理由も同じだなと思いました。環境が移ろいで行く中で、大切な守り抜きたいものは、新しい環境の中でどう表現できるのか?
当たり前に人と会っていた過去と会えなくなった今を何度も頭の中で反復し、「あの楽しさってなんだったんだろう?」と大切だからこそ深堀りして考える姿勢は、本当はコロナなんて関係なくて幸福に生きるために必要な思考かもしれないと思いました。
私たちが『MUTERS』で守り抜きたいのは「コミュニケーションの身体性」であり、その先にあるのは田中さんと同じ「安心感」といえるかもしれません。相手の体の動きから何か感じること、自分の笑顔が相手に伝える何か、こういった実感をゲームを通じて多くの人の心に残したいと考えています。