我が家は東日本大震災の後、茨城県つくば市から甲府に移住し、そのあと平林に移住しました。
国はわたしたちを守ってくれない。放射能汚染されたこの大地でどうやって子どもたちを守っていけばいいのだろうと、自分の生き方を見つめ直したきっかけとなりました。
便利な暮らしを望んでこんなに苦しい思いをするなら、ウォームレットやウォシュレットはいらない。ボットン便所の家に住みたい!と思うようになりました。そして、ご縁をいただき今の古民家暮らしが始まりました。
お風呂は薪と灯油のハイブリットです。薪で炊いたお風呂は、お湯がまろやかになり湯冷めしません。時間がないときは灯油で炊きますが、日常で火を見る暮らしはとても心が穏やかになります。
平林は下水が整備されていないので、各家に浄化槽がありますがうちはありません。トイレは汲み取り式、台所の排水は田んぼの水をとる側溝に流れるので、界面活性剤などが入った台所石鹸は使いません。お皿は、なるべく汚れを落としてからお湯か、油物には純石鹸を少量使います。お風呂の水は、浸透式で敷地内に染み込みます。シャンプーは無添加なものを。洗濯洗剤は使わず、重曹で洗っています。こちらも浸透式です。
家は、築100年以上の古民家です。地域の木だけで作られた家なので、とても気持ちいい空間です。昔の大工さんの技術はほんとうにすばらしいものだと思わざるをえません。合板に使われている農薬が入った接着剤の心配もありません。
こまめに石垣の手入れをしないと、すぐに草がボーボーになります。庭も草とりが必要です。家を囲む人が通れるくらいの小道は、暗黙の了解で草刈りを担当しています。みんなが、それぞれに管理をしているから美しい集落の景観が保たれています。(と言っても、わたしは後回しになりがちです...)
実家の母は、いつも庭の草取りをしていました。子どもの頃のわたしは、めんどくさくて草取りの手伝いはすぐに飽きてしまいました。今、母の気持ちがやっとわかったような気がします。
家が整っているととても気持ちがいいです。「生きること」は、「暮らすこと」なんだなということが腑に落ちる年になったのだなと思います。これからも、暮らしをより丁寧に、目の前のことに集中して生きて行きたいなと考えています。