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小説好きのあなたに近未来を届けます。

お届けする作品は『未来探検隊』の他三つです。四作品とも未発表。何れもワープロ原稿をワードの添付メールで送信。僕に送り先のメルアドが届き次第、直ちに送ります。スマホや他の携帯には送れても容量が大き過ぎて開けません。パソコンは大丈夫。ワードで圧縮せずに送るので今までの経験では問題なしでした。

現在の支援総額

18,000

1%

目標金額は1,000,000円

支援者数

4

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2021/04/05に募集を開始し、 4人の支援により 18,000円の資金を集め、 2021/06/04に募集を終了しました

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支援者数4

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お届けする作品は『未来探検隊』の他三つです。四作品とも未発表。何れもワープロ原稿をワードの添付メールで送信。僕に送り先のメルアドが届き次第、直ちに送ります。スマホや他の携帯には送れても容量が大き過ぎて開けません。パソコンは大丈夫。ワードで圧縮せずに送るので今までの経験では問題なしでした。

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 翌日。地下鉄琴似駅の出入口では女子高生がチラシを配っていた。

 氷空ゆめは一人の女子から「ライヴに来てください」と声を掛け

られ受け取った。

ー『戦国時代見参』Bessie Hall 明日の一八時からー

『戦国時代』は四人のユニットだった。四人のイラストがカラーで

プリントされている。四人はヘビメタファッション。髪が逆立ち目

元は歌舞伎役者。殿(ドラム)爺(ベース)若君(ギター&ヴォー

カル)姫(キーボード&ヴォーカル)。                                   

 男子は赤を黒で縁取った陣羽織を纏い、その下は黒のTシャツ。

胸には『乱世』の文字が白で。スリムのジーンズ。足は草鞋で決め

ていた。姫は水色の着物に黄色の帯。裾は後ろでたくし上げ帯で留

めている。髪はショート。脚には水色の脚絆。二本の赤い紐で結ん

でいた。素足に草鞋。メイクは緋色の口紅だけ。

 氷空ゆめは『戦国時代』のオリジナリティに感心。                           

 変わっている。こんなバンドは初めて。どんな曲が飛び出して来

るんだろう。これで曲が良かったら、曲にパンチがあって、歌詞が

リリカルだったら、わたしは好きになる。『戦国時代』のメンバー

もチラシを配っている。今は何処にでも居る高校生の出で立ち。揃

いの濃紺のダッフルコートでユニットを表していた。

 氷空ゆめはチラシを見つめ駅構内に入った。その時「君は昨日の

」。聞き覚えのある声だった。長身の少年の手にはチラシが沢山。

 氷空ゆめは顔を仰げた。

 仰げた途端に心臓が爆発。

 頭のテッペンまでガツンが響いた。

…ヤッタ~…

 こんな処で逢えるなんて。昨日の今日に…

「昨日はありがとうございました」

 氷空ゆめは少年に深々と頭を下げた。

「礼には及ばず。当り前を致しただけだ」

「『戦国時代』のメンバーなんですね」

「いかにも」

 少年はチラシのイラストを指差した。

「若君なんですね。ギターは壊れていませんでしたか…」

「ネックにヒビが入っていて修理に出した。二週間で戻ってくる」

「修理代金をわたしに払わせて下さい」

「それは無用。こう致そう。ライヴに来てくれたらチャラで」

「はい。行きます」

 氷空ゆめは顔が火照り、赤らんだ。

『戦国時代』は西高の三年生。若君は石丸永遠と名乗った。


 氷空ゆめは『Casablanca』に向かった。

 地下鉄の車中で踊っていた。降りると地下街をスキップ。

…嫌なことの後には必ず良いことがあるって本当なんだ…

 少しでも早く誰かに若君との再会を伝えたかった。

『Casablanca』には『Bessie Hall』のスケ

ジュールが貼られていた。それを確かめねば。今は岸部実さんに尋

ねるのがベスト。氷空ゆめはドアまでの階段を駆け上がった。                                     

「ゆめです。来てしまいました」

 店には客が居た。カップルが二組。奥の楕円テーブルでは石丸明

さんが書きもの。難しい顔で集中している。万年筆でB4の原稿用

紙に書いている。氷空ゆめは挨拶を躊躇った。

「おや。いらっしゃい。さっきとは違って楽しそうじゃないか」

 岸部実さんは伏し目ではなかった。今日は白のタキシードではな

い。白地に黒の縦じま模様のシルクの長袖。黒の細身のパンツ。白

のスニーカー。お洒落。伏し目と無表情は営業用なのかも。

「はい。そうなんです。それを伝えたくて走って来ました」                         

「今日はワタシのコーヒーを試して欲しいな」

「はい。御馳走になります」                       

 石丸明さんと眼が合った。

 氷空ゆめはカウンターの椅子から降りてお辞儀した。

 コーヒーの芳ばしい深い香り。

 岸部実さんが得意そうに「アロマたっぷりのコーヒーをどうぞ」。

「わたし。コーヒーの味が分かりません。それで申し訳なくて」

「ワタシのコーヒーで練習して。さて聞かせてもらおうか」

 氷空ゆめは鞄からチラシを取り出した。

「『戦国時代』って言うバンドを知っていますか。あした『Bes

sie Hall』でライヴがあるんです」

 岸部実さんはチラシを手に取って見つめた。

「気合の入ったチラシだ。もちろん知っている。イラストがカラー

だ。コピーだと一枚五〇円。イラストも上手だ」

「やっぱ知っているんだ。有名なんですか」

「まだ駆け出し。でも可能性がある。曲が良いんだ。演奏は練習し

て場数をこなせば上手くなる。曲想は練習したからと言って良くな

るものではない。君が嬉しくなったのはこのチラシなの」

「そうなんです。わたしの助け人はこの若君。若君が地下鉄の琴似

駅でチラシを配っていたんです」

 氷空ゆめは、チラシの若君を、右の人差し指で、丸を二回。

「名前を聞いちゃった。石丸永遠だって」

「そうか。それでまたまた胸がキュ~ッとしたんだ」

「はい。キュ~ッでした」

 岸部実さんが石丸明さんを呼び寄せた。

「永坊はアキラの息子。幼い頃から知っている」

「息子がどうかしたのか」

 岸部実さんが一昨日からの顛末を話した。

「そうか。息子が役にたったのか」

「はい。助けられました」

「それでね。氷空ゆめさんはときめいてしまった」

 岸部実さんが氷空ゆめを真似て右手を胸に当てて「キュ~ッ」。   

 氷空ゆめは大人二人の冷やかしを無視。

「アキラさん。若君は戦国の武将のようでした。剣をギターに持ち

換えたみたいでした。強かった。ひとつだけ不思議なのは喋りが戦

国武将。家でも戦国しているんですか…」

「『戦国時代』を結成してからなんだ。今では母親も若君と呼んで

いる。妹は兄者。玄関を出る時には姿勢を正し…いざ出立致す…。

見送る母親と妹はハッハ~ァ。これが日常になってしまった。私は

息子を、おぬし、と呼んでいる。困ったものだ」                           

「困ったものだ」と言った石丸明さんは困っていなかった。

 氷空ゆめは、笑いながら話す、石丸明さんを見て、楽しんでいる                         

と思った。そして岸部実さんは『Bessie Hall』のオー

ナーとアキラさんから知らされた。


■4/12にリターンを考えました。アップしています。



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