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小説好きのあなたに近未来を届けます。

お届けする作品は『未来探検隊』の他三つです。四作品とも未発表。何れもワープロ原稿をワードの添付メールで送信。僕に送り先のメルアドが届き次第、直ちに送ります。スマホや他の携帯には送れても容量が大き過ぎて開けません。パソコンは大丈夫。ワードで圧縮せずに送るので今までの経験では問題なしでした。

現在の支援総額

18,000

1%

目標金額は1,000,000円

支援者数

4

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2021/04/05に募集を開始し、 4人の支援により 18,000円の資金を集め、 2021/06/04に募集を終了しました

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お届けする作品は『未来探検隊』の他三つです。四作品とも未発表。何れもワープロ原稿をワードの添付メールで送信。僕に送り先のメルアドが届き次第、直ちに送ります。スマホや他の携帯には送れても容量が大き過ぎて開けません。パソコンは大丈夫。ワードで圧縮せずに送るので今までの経験では問題なしでした。

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 氷空ゆめは芥川龍之介と小林秀雄を知っていた。

 中学の国語の教科書に『鼻』が載っていた。長い鼻を温め、踏み

つけると毛穴から脂が滲み出てくる描写が気持ち悪かった。先生が

「芥川は短編の神さまだ」。高校の現国には『様々な意匠』が載っ

ていた。「何年か前の東大入試に出た。文章の手本」と先生。

 それだけが『様々な意匠』の記憶だった。

『敗北の文学』は学校の図書館に在った。図書カードに記載が無か

った。誰も借りていない本。初めて表紙が開かれた本。紙とインク

の微かな匂い。黴の臭いも僅かに。勢い込んでページを開いた。

 文章から伝わって来る気迫が凄い。けれどもいち文いち文を形成

している背景と意味がまったく掴めない。でも最後まで一気に読ん

だ。意味が分からない文章を最後まで読んだのは初めて。読んだの

ではなかった。眼を通しただけ。石丸明さんが描いた、宮本顕治さ

んの情熱からの気迫に押され、文字から眼を外せなかった。

 理解できたのは芥川龍之介を題材として書かれた評論が『敗北の

文学』。それだけ。それを石丸明さんは批判的に論じている。これ

だけ。評論とは題材を批判的に論じる文学と考えてみた。題材を批

判的に論じるとは自分を語らなければならない。

                         

 評論も文学のひとつ。                 

 では文学とはナニ…。


 二十二歳の宮本顕治さんの気迫は火山の爆発だった。

「私も奮闘しなければならぬ」が石丸明さんの最後。革命的リアリ

ズムを擁護し、批判して、成長のリアリズムに辿り着いた。「成長

のリアリズムがオルタナティヴとして成立したとして主人公は何処

に向かうのか」。主人公とは小説の主人公。主人公が向かう先を石

丸明さんは見ようとしている。向かう先とは石丸明さんが歩む先。

 オルタナティブとは『今までと違う新しく主流になる考え』。わ

たしは、調べに調べて、この理解に達した。革命的リアリズムは歴

史的必然に裏打ちされ、革命後の新社会への信頼に繋がる。しかし

芥川龍之介さんは新社会へ漠然とした不安を抱えていた。ブルジュ

ア文学の限界と言われようが、プチブルの芥川龍之介さんは小説を

芸術に据えたかったのでは無いだろうか。そう思えてならない。

 人は「漠然とした不安」で自らの命を絶てるのだろうか。わたし

なら絶対に無理。わたしのことはどうでもイイ。芥川龍之介さんに

は絶つだけの理由が在ったと思う。「透徹した眼力」が芥川龍之介

さんの特徴。違う。才能だ。この才能なくして小説を芸術に昇華で

きない。据えられない。「透徹した眼力」は「漠然とした不安」を

見抜いていたと思う。芥川龍之介さんは漠然とした不安の時間を過

ごさない。見抜いて決着をつけるはず。

「新社会」を実現するには社会、それも戦争へとひた走る社会と闘

わなければならない。それは芥川龍之介さんには出来ない。芥川龍

之介さんは小説を芸術に押し上げたいのだ。「透徹な眼力」は何を

見つめていたのだろうか。人間を見つめていたはず。革命的リアリ

ズムは美しい。感動的でさえ在る。そこで鍛え抜かれた戦士たちが

起こす革命が成就する。これが歴史的必然。これも芥川龍之介さん

は否定しない。戦争の無い幸福な新社会が実現。この新社会には革

命戦士の指導者たちが強いた権力が在る。権力を握った指導者たち

を「透徹な眼力」は見つめる。権力を握った人間を見つめる。それ

を遠慮がちに「漠然とした不安」と言い表した。

 わたしにはそう思えてならない。

 偉そうに言えば「これは小林秀雄さんが描がくべき」。わたしは

石丸明さんに導かれ、ふらついて、やっと此処まで来たのだから。


 評論とは題材を措定し、題材を多角的に咀嚼して、自分に引き付

け、自分を語ることなんだ。題材を措定するのも自分を語る切り口

に違いない。石丸明さんが「私も奮闘しなければならぬ」と結んだ

のは自分を「奮い立たせる」のと同時に読者にも「奮い立つ」を求

めている。わたしの今は「奮い立つ」前に読むに奮闘している。精

一杯の奮闘。でもこの奮闘は読み、理解すると終了する。それでも                           

初めて仮説を建てた。その次が「奮い立つ」。

 わたしは何を目指すのだろうか。それが分からないまま時を過ご

しては石丸明さんに顔を遭わせられない。眼を見られない。美子も

同じ読後感を持つ。でも、そう遠くないうちに、わたしは見つけて、

石丸明さんの眼を見る。美子も石丸明さんの眼を見つめる。

 氷空ゆめは石丸明さんの写真を見つめた。知的で穏やか。お父さ

んと何処か似ている。お父さんは何時もわたしだけを見つめている。

石丸明さんにもわたしは何時も見つめられているのだ。

 石丸明さんの生業はフリーのカメラマンとアパート経営。趣味は

登山とスキー。特技はピアノの弾き語り。多才な人だ。

 アキラと呼ばれている。


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