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小説好きのあなたに近未来を届けます。

お届けする作品は『未来探検隊』の他三つです。四作品とも未発表。何れもワープロ原稿をワードの添付メールで送信。僕に送り先のメルアドが届き次第、直ちに送ります。スマホや他の携帯には送れても容量が大き過ぎて開けません。パソコンは大丈夫。ワードで圧縮せずに送るので今までの経験では問題なしでした。

現在の支援総額

18,000

1%

目標金額は1,000,000円

支援者数

4

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2021/04/05に募集を開始し、 4人の支援により 18,000円の資金を集め、 2021/06/04に募集を終了しました

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お届けする作品は『未来探検隊』の他三つです。四作品とも未発表。何れもワープロ原稿をワードの添付メールで送信。僕に送り先のメルアドが届き次第、直ちに送ります。スマホや他の携帯には送れても容量が大き過ぎて開けません。パソコンは大丈夫。ワードで圧縮せずに送るので今までの経験では問題なしでした。

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 仲美子からのメールが届いていた。


—『カサブランカ』を返却しておいた。ゆめと同じく「君の瞳に乾

杯」は私もダメ。もし私が大好きな彼に言われたら、嬉しいよりも

「あの~。それって。なに~」と聞き返してしまう。聞き返したら

映画のクライマックスが壊れてしまう。「君の瞳に乾杯」は当時の

流行語になったみたい。でも私もゆめも受け入れられない。心を寄

せ合った男と女の別れの場面で男が言う台詞が「君の瞳に乾杯」。                                                   

他に気の利いた台詞があるのでは…。「君の瞳は僕の永遠」…。「

パリでの想い出が僕のすべて」…。「新しい想い出を作る時が必ず

くる。その時には…」とか。

 なぜ当時の日本人のハートをキックしたのかが分からない。これ

が時代の違いって云うヤツ…⁉…。ハンフリーボガードは私のタイ

プではないから更にグッと来なかった。反してイングリットバーグ

マンは超美人。知性的な輝きと憂いと美しさ。今の時代であっても

そうは居ない。本当に衣装が素敵。現代でも彼女が現れたら男たち

は一秒で虜になってしまい、群れをなして後を追う。素敵な衣装は

アメリカの豊かさの象徴に思えてしまった。

 サムのピアノの弾き語りが良い。『As time goes b

y』。聴かせる。リックと共にパリから逃げたサム。引き抜きで倍

の給料を提示されても「ここが気に入っている」とサム。どこか昔

の侍のよう。リックは逃げる為に『カサブランカ』を売る。その時

に「契約書は要らない」とリック。買主への絶大な信頼感。現代で

は無謀。混乱が続く現地では更に無謀なはず。

「利益の二〇%をサムに渡して欲しい」とリック。頷くブラックマ

ーケットを執り仕切る買主。リックは白人。サムは黒人。買主はア

ラブ人。この辺りにナチに対抗する自由社会の矜持が在った。映画

の創り手の表現の細やかさに感心。

 三回も観てしまった。                         

 イルザは夫とポルトガルに飛んだ。その先はアメリカ。戦争が終

わるまでナチと戦う地下活動を続ける。戦争が終わった。イルザは

リックを探す旅に出る。イルザはリックと再会しなければならない。

『自由の女神』の展望台での再会。これが私の望み。


 GoGo…‼…頑張るぞ…‼…ゆめは大丈夫…⁉…私は頭がパフ

パフ…‼…読むと只者ではないと分かる…七人の侍人は何者なんだ

ろう…。アップされている写真には怪しさが漂っている。けれど文

と文章はピュア。落差が激しい。会うのが楽しみだね—



■ 三億円事件(角野匠)

 この事件から現金輸送を専門とする警備会社が次々と作られた。

 多くの会社が給料の銀行振り込みを始めた。

 たった一人で誰も傷つけずに三億円を奪った。三億円は東京芝浦

電気(現『東芝』)の社員のボーナス。一九六八年十二月一〇日。

ジュラルミンのトランク三個に入れられた三億円は日本信託銀行国

分寺支店の銀行員三名が自社のセドリックで運んだ。運転手は支店

のお抱え。計四名が東京芝浦電気に向かった。伏線があった。四日                          

前に国分寺支店に脅迫状が送りつけられていた。「三百万円を指定

場所に女性行員に持って来させないと支店長宅を爆破する」。

 人通りが少ない府中刑務所裏にセドリックがさしかかった時に一

台の白バイに停められた。「この車にダイナマイトが仕掛けられて

いる」と警察官は直ちに車から降りるように指示。警察官は仕掛け

られているに違いない車の下に潜り込んで発煙筒を焚いた。脅迫文

の記憶と発煙筒の煙でダイナマイトが仕掛けれていると確信した四

名は車外から事態の推移を茫然と見守っていた。セドリックが発進。

運転していたのは白バイの警察官。                         

 四名は発煙筒が自然鎮火するまで騙し取られたと気づかなかった。

①単独犯

②白バイ警官の変装が見事

③白バイもひと眼では偽物と見破られない。

④伏線も有効に作用し「ダイナマイトが仕掛けれている」に臨場感

 があった。発煙筒を車の下で焚いたのが決め処

 ルパン三世のような手口。現在では無理。携帯電話と監視カメラ

で逃げるセドリックは追いつめられる。一九七五年十二月一〇日に

刑法の時効を迎える。この事件には強盗罪が適用されない。窃盗罪。

それで時効までが七年と短い。数多くの遺留品が在り、それでも犯

人まで辿り着けなかった。警察は延べ十一万人を捜査したが犯人を

特定できなかった。時効が完了した時に、僕なら「実はやったのは

僕」と言ってしまいそう。しかし犯人の沈黙は四九年後の現在まで

続いている。複数犯なら何処かで亀裂が入りそうなものだ。

 当時の三億円は今では五倍の十五億円の価値。                    


 僕が二十歳の時の事件だった。僕は東京で学生。劇団に所属して

いた。大学には通わず劇団が大学だった。チェーホフと格闘してい

た。ロシア文学が好きだったのではない。座長の好み。

 ある日、刑事が訪ねて来た。

「芝居をやっているのなら変装はお手のものだろ。それに君はバイ

クに乗っている」と十二月一〇日のアリバイを尋ねてきた。僕は国

分寺に住んでいた。府中刑務所から近かった。その時、僕は十二月

の定期公演の最中だった。刑事は舌打ちしながら去って行った。と

ても失礼な態度だった。僕はバイクが好きだった。空気を切り裂い

て走ると風になった。公演中でなければ何時の間にか犯人に仕立て

られそうな気配があった。この時から警察への警戒感は強まった。

嫌いになった。それは今も続く。

警察は僕に何ひとつ利益をもたらさなかった。

 僕は二回ドロボーに盗まれた。一度目は郡山駅前のホテルの部屋

で財布を盗まれた。ベットに財布を置いたままラウンジで朝飯を食                          

べた。戻ると財布が消えていた。慌ててホテルに事態を告げた。部

屋はオートロック。鍵を持っている者しか入れない。これを訴えた                                   

時のホテルマンの対応に驚いた。                          

「警察に被害届を出した方が宜しいと思います」

 自分が勤めるホテル内の不祥事を恥じる様子は無い。「僕の部屋

の鍵を持つ、持てる者は特定できるでしょう。先ずはその人たちに

事情を聞いてくれませんか」と言うと、「それは警察にお願いする

他ありません」。致し方なく駅前の交番に被害届を出した。内部犯

行説を力説しても動き出す気配なし。「何かあったら連絡します」

と事務的に言うだけ。それから半年後に「財布が見つかったので着

払いで送って良いか」と電話が入った。「犯人を捕まえたのか」の

問いには無言だった。財布は浪江町市街地の側溝に落ちていたとの

こと。落ちていたのではなく捨てられていたのだ。

 二度目はサッポロ桑園のジャスコ二階のゲームコーナーでセカン

ドバックを盗まれた。中には財布が入っていた。バックをゲームの

上に置いて、二十秒ほど、席を離れた。自販機で飲み物を買った。

戻って来た時にはバックが消えていた。店長に盗難を告げた。直ぐ

に二名の警官が来た。僕は二名に事の次第を伝えた。二名は従業員

控室に入って行った。此処には監視カメラのモニターが備えられて

いると云う。僕は犯人の特定に繋がると期待した。

 三〇分ほどして警官が出て来た。

「監視カメラは店内のすべてをカバー出来ていないのと盗まれたバ

ックの処には人が重なっていてバックを確認できませんでした」

「ならば重なっていた人へ事情聴取して下さい」。すると年配の警

官が「その四人は既に店内に居ない」と捕まえようとする意志がな

い。「どうしてバックをゲーム機の上に置いて席を離れたのですか

」と若い警官が、たとえ短時間であったとしても放置した貴方が悪

いと、言わんばかりだった。

 僕は忌々しい気分を変えられず数日を過ごした。財布には現金・

クレジットカード・キャッシュカード・免許証。バックには車と部

屋の鍵を入れていた。途方に暮れた。

 警察は僕に最悪な気分をもたらす。コソ泥を捕まえようとしない。

捜査もしない。交通違反の取り締まりに熱中している。それも天気

の良い日ばかり。雨や風が強いと、そして雪が降りアイスバーンに

なるとパトカーは街から姿を消す。さっさと引き上げる。

 警察官とはこんな水準。多くを望むほうが可笑しいのかも知れな

い。それに口臭が酷い。職務質問も頭にくるが又の機会にする。警

察の抑止力とは、コソ泥を捕まえてこそ、有効に作用する。それを

初めから放棄している。コソ泥を捕まえられない警察官に用意周到

な三億円の犯人を捕まえられないのは道理。

                       

 三億円事件発生から五〇年を機に『三億円事件ツアー』が地元で

企画されていると聞いた。ツアーガイドを募集するならば応募する。

事件発生後に事情聴取を受けた者はそう沢山居ない。その一人がガ

イドとなれば客の関心が高まるに違ない。僕の客へのホスピタリテ

ィは決まっている。「なぜ警察官は社会から尊敬されないのか。無

礼。尚且つ注意が必要なのが警察官。このような人間は尊敬されな

い」と、僕は積年の憂さを晴らすつもりだ。

        ・・・・・・・・・・・・・・                                   

 角野匠さんは頭のてっぺんが禿げている。それだからなのだろう。

横髪を左から右へと横断させている。写真の表情は温和。六九歳。

何処にでも居る人柄の良いお爺さんって云う感じ。ひとつだけ違い

があった。瞳の奥が鋭い。見えないものを見届けてしまう瞳だった。

 プロの雀士。日本プロ麻雀協会所属とのこと。プロの雀士は初め

て聞く怪しい職業。ススキノと狸小路に麻雀荘を開いている。通称

は『僕ちゃん』。文章を読むと由来が分かった。子供っぽい処が在

る。警察への憤りは根が深い。「職務質問は又の機会」では根がよ

り深まるのは間違いがない。                                

 テレビか映画の脇役で観たことがあるようなお爺さん。ハッキリ

しない。趣味はバイクとスキューバダイビング。今もバイクに乗っ

ている。写真とバイクとスキューバダイビングが結び付かない。海

に潜って「ギョギョ。お魚さんになってしまったギョ」と言ってし

まいそうな角野匠さん。人柄が良さそうな博打打ち。

 氷空ゆめには、すべてが結びつかない角野匠さんに、ひとつ不満

があった。『三億円』の犯人は俺だとか、犯人を知っているとかが、

何処かに書かれていると期待して読んだ。書かれていると警察への

鬱憤が際立つと思った。それが違った。鬱憤だけだった。これも違

うかも知れない。角野さんは警察に気を許してはイケナイと力説し

たかったのだ。多分そうだ。



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