こんにちは。六畳映画制作です。
前回のご報告からもう2ヶ月ほど経ってしまいました。本当にあっという間の春休みでした。
休暇の間はほぼ毎日、ひたすら作業を進めていました。なので春休みの記憶が全くありません!
しかしながら、製作担当が制作所に泊まり込みで作ってくれたり、「シャコンガ」の進行状況の確認や制作の計画を決める定例会議を毎週行うなどの工夫の甲斐もあり、かなりの進歩のある春休みだったと思います。
今回のご報告ではその活動内容を詳しく書いていきます。
①路面電車
広島でも実際に走っている路面電車をミニサイズで再現しました。材料はスチレンボード、段ボール、木の棒など身近なものばかりです。作中では数秒しか登場しませんが大事なやられ役になる予定です。
②ラジコン戦車隊
タミヤの1/35スケールの61式戦車を改造してラジコンにしました。
元々プラモデル制作が趣味の監督にはもってこいの作業です。
中身はこんな感じです。
【電池ボックス(タミヤ製)】 − 【ラジコン基盤(Amazonで購入) 】− 【モーター(タミヤ製)】
というふうに繋げて動かせるようにしています。モーターが大きすぎて車体に入りきらず、戦車の装甲を切ったり、プラ板で拡張したりしてなんとか収めました。
実際に動かすとなかなかの迫力です。こちらの動画もぜひご覧ください。
③ドラマシーン再撮影
前回のご報告にあった、映っていなかったシーンの再撮影をしました。
合計わずか5分ほどのシーンですが、脚本の確認やカメラワークの決定、照明などの機材の設置、リテイクを繰り返し経て5時間ほど掛けての撮影。本当に大変かつ地道な作業の蓄積の上に映画はできているのだと痛感させられます。撮影に協力、出演してくれた友人には申し訳なさと感謝の気持ちでいっぱいです。
④アニメの光学合成
少しマニアックなお話になるのですが、アナログ特撮映画の真髄、光学合成についてご説明します(まだまだ勉強中のため内容が不正確な場合があります)。
現在ではCGやクロマキー合成(グリーンバックのやつ)などで表現できる特殊効果ですが「大海獣シャコンガ」は完全なるアナログのフィルム映画、そう簡単にはいきません。
そういった場合では「光学合成」を利用します。本作で行なっている作業はその中でもごく原始的、初歩的なものですが、なかなか奥深いです。その概要は下記の通りです。
未撮影の白黒生フィルムは真っ黒で、撮影時に被写体に反射した光がフィルムに感光して白い像が焼き付きます。つまり黒いモチーフは映らない(映りにくい)のです。
りんごを半透明にさせたくない場合は『A』のシーンに『B』のりんごと同じ位置、同じ大きさと形の黒い像(=『マスク』と呼ばれます)を撮影しなければなりません。
実際の当時の現場では「オプチカルプリンター」と呼ばれる、二本のフィルムの映像を一本のフィルムに焼き付ける機械を使用してより正確に合成をしていたと考えられますが、恐らく現在では使われておらずむしろ博物館などでしか見られない代物だと思います…。
今回はドラマシーンとして撮影した映像に「光線」のアニメを合成しました。
ただでさえ大変な合成作業ですが、更にアニメを合成するとなると作業量が何倍にも膨れ上がります。
ドラマシーンは1/18コマで撮影しているので1秒につき18枚のアニメを一枚ずつ撮影する必要があります。
今回描いた数枚のセル画をループさせ、144回撮って6秒のアニメを制作しました。昼から始めた作業も、終わった頃にはすっかり夜中に…。
とても大変な作業です。ましてや、こんなに苦労して作った映像が手違いでフィルムに映っていない可能性さえあります。ですが、アニメの作業などが全てPCでできてしまう時代に、アセテートフィルムに描いた絵を一枚一枚フィルムで撮影する…。夢にまで見たアナログアニメ制作をすることができ、とても満たされるような、幸せな時間でした。
撮影した映像は現在、現像をしてくれる業者様にお預かりしていただいているのでどのように映っているかはまだ分かりません。結果はまた次の機会にお知らせします。
⑤明石海峡大橋へ!
取材と撮影のため、青春18きっぷで往復10時間かけて明石海峡大橋を訪れました。
感染症対策をしながら、行きがけにゲームをしたり景色を眺めたりして電車の旅を楽しみました。作中ではこの大きな橋がどのように描かれるのか、お楽しみに。
他にもここでは書ききれなかったジオラマの制作など、春休みでできたことがたくさんあります。これらもまた別の機会にご紹介できればと思います。
最後にお知らせしなければいけないのですが、
申し訳ありません。当初3月末に予定していた完成を5月頃に延期致します。
作品制作は全力で進めており着々と完成しつつありますが私、監督の力不足、現像の業者様の一時休業やコロナの影響で大学の施設が使用できないなどの要因が重なり、予定通りの制作が困難になってしまいました。
完成を楽しみに待ってくださっている、私達に支援してくださった皆様やいつも応援していただいている方々には本当に申し訳ありませんが、必ず時間をかけた分だけ良い作品を作りたいと思っております。4月からは大学での作業を再開し、1か月間泊まり込みで早めの完成を目指します。
またお知らせがあれば進捗ともにまたご報告していきますのでご覧いただけると幸いです。
引き続きよろしくお願い致します。
六畳映画制作