色は黒のみにしました。ベーシックであると同時に、いろいろな表情を見せてくれて寄り添ってくれる色です。キリリとスマートにも、さりげなくラフにも、どんなスタイルで持ったときにも、持つ人やシーンを選びません。
このバッグは、革の端を「包む・合わせる」製法を採用しています。革の端を重ねて断面を接着して「磨く・塗る」製法もあるのですが、がっちっりとした印象になり、どうしても硬いさわり心地に感じます。レザーバッグの質感をしっかり出しつつも、武骨さを和らげて現代的にするために、この製法を採用しました。
身のまわりのスマートフォンや財布を、すっと入れて、すっと取出さなけりゃいけないことが多い日々の生活で、ポケットは「ざっくりと、しっかり」をテーマに作りました。ポケットが大きすぎると、ガサコソしないといけないし、かといって小さすぎるとポケットからはみ出して落ちてしまったり、収納することで使い勝手が悪くなってしまう場合もあると思います。小分けポケットをたくさんつけたり、オーガナイザーいくつもあると、仕分けが複雑になり収納に時間がかかっちゃいます。大きすぎない小さすぎない、深すぎない浅すぎないポケットを両サイドに付けるのではなくて並列に2つ並べることで、見通しが良いのとモノの出し入れがぐんと楽になりました。
ハンドルもショルダーベルトも、ちょっとしたことが気になります。・肩にかけられるトートバッグのハンドルの長さだと、手持ちにした時にバッグが地面に当たっ て汚れてしまう。・手で持つのはもちろんだけど、腕にかけやすい長さがいい。・ハンドバッグのハンドルの長さだと、ちょっと肩にかけたい時にはかけられない。・カットソーの時だけは、どうにか肩にぎっちりはめ込めば肩にかけれるけど、コートやジャケ ットを着ると肩にかけれない。・取り外しショルダーベルトがあっても、つどつど付け替えはしない。・調節金具が沢山ある事で重くなる。ほとんど使わない機能を増やす事より、毎日の使い勝手をとことん考えました。ハンドルの長さは、腕にはしっかりかけられるし、手で持った時にもバランスが良い長さ。肩かけベルトは、取付け取外しをしなくても、きちんと収まりが良いように取り付けてあるので、ささっと肩にかけられます。そして、金具は表に出ないようにしました。金具が見える事で洋服との相性が合わなかったりのストレスを無くすためです。
日本古来のモノ作りって、きちんとしっかり作られているんですが、大げさでなくて日々の生活に馴染むように作られていると思います。このプロジェクトのバッグは日本伝統技術「袋もの仕立て」を駆使して作られています。これは江戸時代、特に発達した技術で、和装小物の製法を由来とするものです。