ご支援者の皆様、今日はお知らせがあります。12月10日をもって、teamkatsuragiは活動を無期限終了することになりました。犬達の飼い主である、葛城さんのご意向です。私達チーム(鈴木あゆ+坂上麻由子)が窓口でいる限り、犬は譲渡に出したくない。今後自分と自分の犬達に関わって欲しくない。これが葛城さんの揺るぎない結論です。犬達の未来の障壁になるのなら私たちがいる意味はありません。クラファン紹介文にも書きましたが、クラファンを立ち上げたきっかけは、私達と葛城さんが友達だったから、それだけです。犬については知識も経験も少ない、保護活動に関してはど素人の親友二人組で「チーム」と名乗りましたが、犬の保護団体さんになるぞと名乗りをあげたつもりも、今後そうなるつもりもありませんでした。ただ、過去5年間、チームメンバーの一人にお金を借りないと生活ができなかった葛城さんと犬達の現状を見て見ぬふりができなくなったので何かできないかと二人であれこれ考え、クラファンを思いつき、立ち上げただけです。これからお話しする内容は、知らなくてもよかったと思われる方もいらっしゃると思います。そこまで詳しく事情を知らなくても良いと思われる方や、長い話は聞きたくないと思われる方もいらっしゃると思います。ですので、全体を4つに分けました。各番号に書かれている内容の要約をお伝えしますので、お知りになりたいと思われる項目だけをお読みくだされば幸いです。1. 葛城さんと私達が話せなくなった理由さて、8月にクラファンが始まって10月に終了するまでの2ヶ月に様々な予測不可能なドラマがありました。人には誰しも触れられたくないことがあります。葛城さんにとってそれはどうやら犬達の健康や飼育状態について疑問を抱かれたり、口を出されることだったようです。きっかけはとある支援者様から、愛犬がフィラリアで苦しみ、大手術を経て命を救うことができた、という話を聞いたチームメンバーがフィラリアにかかっている犬が数多くいる現状に不安を抱いて、「クラファン資金でフィラリアの薬を買いましょう。」と提案したあたりだったと思います。「里親先でやればいい。」という返事にメンバーは疑問を抱きました。生まれてから一度も首輪をつけたことも、他の人間に対しての免疫もない犬達です。簡単に里親に出せない犬達なのにいとも簡単に「里親がやればいい」というのは無責任なのでは?と言ったメンバーに対して、怒号が返ってきました。「俺の決めることを黙ってハイってきいとけばいいんだよ!返事はハイ!それだけ!」8月末のことでした。長い親交期間で初めての怒鳴り声も衝撃でしたが、これまでフラットで対等だったはずの友人関係がいきなり「俺がボスだから従え」とでも言わんばかりの主従関係を主張されたことも衝撃でした。結果、チームメンバーは深い心の傷を負うことになりました。とりわけ、過去5年間、葛城さんが同チームメンバーにお金を借りに来ていたという事実や、クラファンをチームで準備したり、クラファンを宣伝するためにプライベートの時間をすべて注ぎ込んでいたという当時の現状もありました。この後も何度か怒鳴られたことが原因で、メンバーは葛城さんと直接話すこと、電話することができなくなりました。例えば、ご支援者様から餌が届いたことを知らせる電話をかけなければと思うと、また怒鳴られてしまうかもと手が震えたり、不安で眠れなくなったりと世間で言うPTSDのような症状が起きてきたのです。9月中旬のことでした。ただ、まだこの当時のチームは、第三者が来るのであれば、会話をせずに葛城さん宅に行く事はまだできていました。ですが、それすらもできなくなる出来事が起きました。2. 交友関係の終わり10月中旬、譲渡のために佐世保を訪れていた甲斐っとランドさんに挨拶をするためにアポなしで葛城家に行ったメンバーが聞いたのは、耳を疑うようなチームに対する批判でした。「チームは盗人。」また、葛城さん宅を訪れた別の方からも葛城さんがチームについてこう言っていたと聞きました。「お金は人を変える。」その言葉は、最後のやる気すらを打ち砕くのに十分な打撃でしたし、看過できない批判でした。チームメンバーと葛城さんの親交は30年来のものでした。お互いの信頼があったからこそ成立している関係だったはずです。長年の犬の保護活動のことを葛城さんから聞いていた私たちは、葛城さんのことを信じ、尊敬していました。葛城さんにとっては、メンバーは継続的にお金を無心してもいいと思うほど親しい相手であったはずです。「葛城さん、またお金かしてってきたよ。私しかいないんだって」過去5年間、週1から月1のペースでお金を無心にきていた葛城さんと、それがストレスだとこぼしていた親友。「犬を助ける活動のための借金だから。素晴らしい人だから」と信じて、そこから現状を解決するためにと2人でクラファンを立ち上げようと思い、実行するまでと、クラファンを広めるために費やした日々のことが、走馬灯のように脳裏に駆け抜けて行きました。30年の信頼が、たった2ヶ月で壊れるんだ。人の心と人間関係の脆弱さに、やるせなく、虚しい気持ちになりました。ちなみにご支援者様への収支報告でも明らかにしたように、私達には1円も入ってこないクラファンです。友情で始めた葛城さんへの支援を、友情の根底が崩れ、なにより心の健康を壊してもなお続けることはできません。さらに、私達が手出しすることを望まないのは飼い主である葛城さんのご意向ですので、これ以上なにもできることはありません。この時点で、teamkatsuragiの活動終了は私達の中で決定事項でした。11月上旬のことになります。支援者様からいただいたお金をきちんと公約通りに使った後に辞めよう。二人でそう決めました。3. 譲渡の消滅そうは言っても、犬たちの今後は気がかりでした。できれば犬たちにはもっと清潔な環境で暮らして、散歩に行ったり、広々とした世界を見たりしてほしかったです。ですので、甲斐っとランドさんが3頭引き取ってくださり、うたちゃんが小森ちゃんに引き取られた時は、本当に感動しました。甲斐っとランドさんに引き取られた3頭の写真を見ると、つくづく譲渡ができてよかった、と実感することができます。本来ならさらに6頭も引き取っていただく予定でした。現在の三頭ですが、ここでうたちゃんの失踪事件が起きました。彼女の失踪をきっかけに、葛城さんに関わる様々な人たちの心の奥にあったものが表に引き出されてきました。ここで強調したいのは、発端はうたちゃんの失踪であったとしても、それが原因ではないと言うことです。うたちゃんの失踪があってもなくても、遅かれ早かれ同じことが起きていたと思います。心に渦巻いていた疑心暗鬼が外に出るきっかけになったというだけです。(私達は、うたちゃんが早く発見されて、小森ちゃんの元に帰れますことを切に願っています。)戻っておいで、うたちゃん。写真提供: eigoro0316ざっくり説明すると、葛城さん宅から犬を引き出したい人々(チーム含む)Aグループと、葛城さんが犬を飼い続けるのがいいと主張する人々Bグループがいたということです。そして、葛城さんは、自分が犬を飼い続けるのがいいと言ってくれるBグループ以外を排除することを決めたのです。まず葛城さんは甲斐っとランドさんに犬を出さないことを決めました。次に葛城さんは、私達チームを排除することを決めました。電話も着信拒否になりました。この時点では既に、葛城さんとチームの間に直接のやりとりは成立していませんでしたが、ここに両グループからの信頼も厚く、常に中立の立場の方がいらっしゃいました。去勢避妊手術を無料で行ってくださったとある獣医さんです。また、獣医さんのおかげで、クラファンの公約に掲げていた、犬達への医療目標を完遂させることができました。さて、前回の収支報告にも書きましたが、クラファン開始当初から私たちは、関西のとある保護団体さんと連絡をとり、人慣れしそうな2~3頭(ラインなど)の譲渡を12月に譲渡するお約束をいただくことができていました。テレビに取り上げられたこともあるような名実ともにある大きな団体さんです。葛城さんも当初からこちらの団体さんに出すことには一貫して乗り気でした。チームとしては、葛城さんの犬たちにできる最後の仕事だと思っていましたので、数ヶ月、担当の方とお話をして、ようやく確約をいただいた時には、かなりの達成感がありました。ですが、獣医さんにこの由を葛城さんに伝言してもらったところ、葛城さんから次のような返事が返ってきたそうです。「まゆ達が窓口になっている限り、犬は出さない。(グループBの人たち)が窓口になるなら犬を出す。」3ヶ月のやり取りの後で、ようやく身を結ぼうとしていた譲渡の話が身を結ぼうとした段階でいきなりチェンジを通告されたことには唖然としました。ですが、目標としていたのは犬の譲渡であり、それが達成できるならとこの条件をのみ、団体さんに「窓口が代わります」とお話ししました。ですが、団体さんもまた、3ヶ月やりとりをしてきた相手から別の相手へと急に窓口が変わったことへの不信感をあらわにされ、結局、譲渡の話自体が消滅する運びになりました。最後にこれだけは成し遂げてから離れようと思っていた譲渡の話がことごとく無くなってしまったことで、心の中ですでにか細くなっていたやる気の糸は完全にぷつんと切れてしまいました。4. クラファンで達成できたこと。引き継ぎの件。さて、私達の活動はこれで終了になりますが、これからの葛城さんと犬達には、まだグループBの方々がいらっしゃいます。葛城さん曰く、里親ボランティアの経験も豊富な方達です。ですので、私達も犬達の今後をその方達にお任せすることにいたしました。それでは最後に、クラファンを通して実現することができた項目を振り返っていきたいと思います。以下に達成できたことは全て皆様のご支援のおかげです。1. 全頭の去勢避妊手術2. 全頭の10種混合ワクチン3. 全頭の狂犬病ワクチン(葛城さんの希望により、全頭の飼い主登録も)4. ノミ・ダニ薬(今年度分と来年度分の両方)5. フィラリア薬(今年度分と来年度分の両方)6. 動物病院への借金返済(皮膚病と甲状腺機能障害の犬達の治療費滞納分)7. 譲渡費用(甲斐っとランドさん宅に行った3頭の空輸代、医療費)8. 1000kg以上の餌 (ご支援者さまからの餌のご支援分と800kgの購入分)9. クラファンご支援者様による継続支援のお申出10. 扇風機3台、冬用毛布など物資のご支援による住環境の改善とても短い活動期間でしたが、この達成項目を見ただけでも、今回のクラファンをやったかいはあったと誇りを持って言うことができます。お忙しい中、熱い思いのこもったご支援をいただき、犬達に代わって深く感謝いたします。一人ひとりの優しい心が集まってこんなにも大きなことが達成できました。心優しい皆様にそのお心に見合った素晴らしい毎日が訪れますように!!2021年12月10日鈴木あゆ+坂上麻由子
うたちゃんが失踪しました。インスタでは既に発表しましたが、今日で10日目になります。喜びに包まれたあの引き出し日から10日——生まれてからこのかた、散歩をしたことがなかったうたちゃん。引き取った当初は身がすくんで外で一歩も動けなかったうたちゃんが、小森ちゃんの毎日の献身によって外の楽しさを覚え、散歩を前に尻尾を振るようにまでなっていたとのこと。外で立ち止まって、トイレ(大)をするようになった変化に飼い主の小森ちゃんは喜びに目を細め、これから一緒にあれもしよう、これもしようとあれこれ夢を膨らませていた矢先のことでした。その日、小森ちゃんがトイレの始末をしようと、腰をかがめて地面に顔を向けている瞬間に事件は起こりました。うたちゃんが激しく体をふるい、身をよじらせたタイミングで、リードが抜けてしまったのです。一瞬の間がありました。小森ちゃんはうたちゃんを、うたちゃんは小森ちゃんを見ました。「うた...」小森ちゃんが小さい声で呼びかけたその瞬間、うたちゃんは走り出しました。山で生まれた野生の血が目覚めたのでしょうか。迷いなく、ピューッと、真っ直ぐに山へと疾走して行ったということです。失踪から毎日、小森ちゃんはうたちゃんを探しています。えいこさんと、愛犬たちも山を探しています。小森ちゃんは自営業をされている忙しい方です。ビジネスを切り盛りしながら、毎日、仕事の合間にうたちゃんを探していらっしゃいます。チラシも作って配っていらっしゃいます。うたちゃんの目撃情報は未だありません。特徴がある顔の犬です。切れ目が入った左耳も見つける大きなポイントになります。皆様の情報拡散とご協力をぜひよろしくお願いいたします。写真提供: えいこさん @eigoroo316 *************************************うたちゃん失踪というとても悲しいニュースの一方で、チームにとって大変に嬉しい出来事もありました。10月末日を持って、葛城家の犬達の家にいる50余頭、全員の去勢避妊手術が終わりましたことを報告いたします。既に去勢手術が終わった犬も数多くいたそうで、「手術をしなければいけない犬は思ったほどはいなかった印象」だと担当の獣医さんが話されていました。獣医さんからチームに届いた報告書はこちらです。クラファン当初から目指していた去勢避妊手術をほぼ全頭(山の犬を除く)に為し得たことはひとえに、とある獣医師のご協力のおかげです。近日中に諫早からはるばる佐世保の葛城家まで往診に来てくださるという確約までくださいました。スケジュールとしましては、1日で全頭の狂犬病ワクチン接種を済ませて、飼い主登録(現時点ではまだ行っていない)も行います。その1週間後に今度は混合ワクチンの摂取もするということで、見積書をいただきました。チームの夢が次々に叶ってきました。クラファン終了から約一ヶ月——長らくお待たせいたしましたが、チームからの収支報告と念願のワクチン接種等についての見積書も近日中にこちらで発表いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。2021年11月2日
先週はもう一つ、素晴らしい事がおきました。10月14日——黄色い車に乗って、その方々はやって来ました。ふんわりとした上品な雰囲気のその女性、「小森ちゃん」とドッキャイスタのえいこさんです。先日、「里親に出す子の下見」に来てくださったえいこさん。その後、「小森ちゃん」と会議をして、とある1匹に決めたと連絡があったのです。チームはもちろん、大盛り上がりです。皆さんにすぐに発表してしまいたい気持ちをぐっと抑えて、その日が来るのを待ちました。「この子に決めました。」とえいこさんが言ったその1匹は、こちら。旧名 チビクロチビクロと呼ばれていたメスでした。6歳、まだ避妊手術はしていません。健康状態もわかりません。避妊手術代はお出ししますと言ったチームですが、「小森ちゃん」は他の犬に使って欲しいから全て引き受けるとおっしゃってくださいました。新しい名前も決まりました。その名も、ペロリンチョ=ウタ。通称、うたちゃん。ユーチューバーのような今時のユニークな名前ですね。うたちゃんは、葛城家にいる50頭を超える群れのなかで、決して目立つタイプではありませんでした。自分から積極的にアピールしてくる犬ではなかったからです。ですが、チームの記憶に残る犬でした。たとえば、こちら、初めて葛城さん以外の人間をみた日のうたちゃん。「あっちになにかあるらしいよ。」と仲良しの黒いわんちゃんと一緒にラインの後をついてきてはみたものの、知らない人間の登場という、予想を超える衝撃事態にびっくり。その人間からラインがもらっている餌には後ろ髪を引かれながらも、おずおずと後ずさりをします。その漫画のようにわかりやすい表情の豊かさが印象的でした。「あの子なんだね!?」「そう、あの子なの!」チームは電話で大喜び。それから、えいこさんの選び方と眼力にひとしきり感心しました。「小森ちゃん」を頭に思い浮かべなから、彼女とこれから一緒に生活していく子を選んだえいこさん。これから一緒に、リラックスした落ち着いた時間も、楽しいアクティブな時間も両方楽しめそうな子——「そう言われてみれば」ではありますが、うたちゃんはまさにその理想にピッタリと当てはまりそうな子でした。「小森ちゃん」は自営業なので、うたちゃんを仕事場にも連れて行き、寂しい思いもさせないそうです。そんなうたちゃんと里親様「小森ちゃん」がいよいよ初めて顔を合わせます。「はじめまして、うたちゃん。会いたかった。」うたちゃんの第二の犬生が始まった瞬間です。「本当にありがとうございました!」と言ったチームに「小森ちゃん」がおっしゃった一言にチームの目頭は熱くなりました。「いえいえ、これからわたしの方がこの子にいっぱい幸せにしてもらうから。」おめでとう、うたちゃん。優しい人に引き取られてよかったね。幸せになってね!これから楽しいことがいっぱい待ってるよ!うたちゃん出発の時それから2日間ほどは、初めてのシャワーや、初めての外歩きで脱糞したり、隠れたり、食欲がなかったりと、新しい環境に戸惑っていたらしいのですが、「小森ちゃん」の献身的な努力と、えいこさんのトレーニング、持ち前の「忍耐強さと自立心」で、徐々に慣れてきているようです。そして3日後、チームにとって夢のような写真がえいこさんから届きました。3日後のうたちゃん。写真撮影:小森ちゃん明るい外の光の中、道端の葉陰にたたずんで嬉しそうな表情を浮かべている1匹のワンちゃん。「チビクロ」が「うたちゃん」に生まれ変わったのだと実感できた一枚でした。えいこさん、うたちゃんを素晴らしい里親さんに結びつけてくださり、本当にどうもありがとうございました!!また1匹、犬が巣立っていったという充足感の一方で、残りの犬も出してあげたい!という気持ちがよりいっそう強まったチームなのでした。2021年10月22日Team KatsuragiP.S. 葛城家を出てからのうたちゃんは、えいこさんのインスタでたくさん見ることができます。dogcatistaドッキャイスタ えいこさん インスタグラム: @eigoro0316