2021年10月13日。
ついにこの日がやってきました。
チームがクラファン開始時からずうっと待ち望んでいた、初譲渡の日です。
葛城家から新天地に出発するのは、ギルフォード、ミルフォード、スピーカーの仲良し三頭。新しいお家は、なんと、福島県!!1400kmを超える距離をものともせずに、その方はやって来ました。甲斐っトランドの下山重人さんです。
インスタで葛城さんの犬達のことを知って以来、連日連夜の情報拡散と熱いご声援をチームに送ってくださっていた下山さんは、1250坪の広大な敷地で、1000坪のドッグランとペットトリミング、ペットと宿泊できるホテルを運営され、一緒に暮らす20頭の犬と優しいご家族を愛し愛されているご様子が日頃のインスタから伝わってきます。
下山さんの物腰はとても柔らかく、手にとまりそうでとまらない赤トンボに「この指止まれ」と話しかけたりと、美しい自然の中でゆったり流れる時間を楽しんでおられます。穏やかな所作の一方で、そのハートは激アツです。全国から来る保護犬レスキュー依頼に頭も体もフル回転、まさに人生を捧げていらっしゃいます。
「福島に全頭いらっしゃい。葛城さんも一緒に」という夢のような内容のDMがチームに届いた時は、チームは正直、半信半疑でした。ですが、ほどなく「佐世保行きの飛行機のチケットを取りました。」というご報告を受け、下山さんが本気も本気、100%真剣なことがわかりました。結論から言いますと現時点では葛城さんに移住の意思はありません。ですが、人も一緒に移住というご提案に、大変にスケールの大きいものの考え方をなさる方だとチームは驚いたものです。
さて、そんな下山さんの二泊三日の佐世保滞在、初日。
「一番(里親に出すのが)難しそうな子達、人慣れしていない三頭を連れて帰ります。」というお言葉通り、下山さんは、葛城さんすらも「全く動こうとしなくて心配」と以前から言っていたギルフォード、ミルフォードとスピーカーの三頭を選びました。三頭ともメスでまだ避妊去勢手術をしておらず、ギルフォードとミルフォードはともに一歳でバベシア症です。スピーカーは5歳、健康状態は不明です。二頭は下山さんが引き取られ、ゆっくり里親を募集します。残る一頭は幸運にもすでに立候補してくださっている素敵な里親様がいらっしゃいます。ドッグランの常連客様で、保護犬をすでに一頭飼っておられる方なのだとか。
下山さんは柔らかい声で話しかけながらそろりと三匹に近づき、背中をむけたままゆっくりと犬達の近くに座りました。
10月13日、いよいよ犬達を連れて福島に戻る日がやってきました。余裕を持って早めに空港に行きたいとのことで、朝から葛城さんと二人でケージを組み立て、犬たちをケージに入れていきます。
ミルフォードとスピーカーは難なくケージに入りました。ケージでも静かです。ですが、ギルフォードにはかなりてこずり、葛城さんと下山さんの二人ですったもんだの長期戦になった後、なんとかかんとかケージに入れることができました。ギルフォードもケージに入ると静かになりました。
いよいよ出発の時がきました。
それぞれに葛城さんが声がけをします。「頑張れよ。大丈夫!」
その表情に不安はありませんでした。犬たちがより良い場所に行くのだと信じることができたからでしょう。
新しい場所、新しい仲間、何より新しい家族のもとへ——
トランクを閉めて、いざ出発!
行ってらっしゃい、元気でね!
思いっきり草地を走り回って、思いっきり毎日を楽しんでね。
福島県、甲斐っトランド——
下山さんがお家に戻ったのはその夜、10時過ぎでした。
犬を保護して連れて帰ったら下山さんが必ず行っているのが、「犬とコミュニケーションをとるためのシャワー」だそうです。
長旅と朝からのドタバタで疲れ切っているはずなのに、下山さんは三匹をシャワーに入れて洗いました。生まれて初めてのシャワーです!
初シャンプーとドライヤーの後、見るからにさっぱりした三匹は下山さんが用意していた大部屋へ移動しました。
これまでほの暗い部屋で片時も離れず寄り添って生きてきた三匹。
二階まである広々とした部屋で、初日に三匹が選んだ場所は、暖炉付きの広々としたリビングではなく、洗面所のシンク下の陰になっているエリアでした。
翌朝、ほとんど餌を食べていなかった三匹に、下山さんは少し心配のご様子でしたが、頭の中は次の計画でフル回転でした。下山さんのワンちゃんたち(以前は野犬、今は下山さんのことが大好き)を部屋に入れ、三匹に紹介して心を開かせようとします。
そのかいあって、福島県到着から1日もたたない10月14日の午後、三匹に奇跡のような変化が起きました。葛城さんに「動かなくて心配」と言われ、チームがいつ見ても部屋の隅で団子のように固まっていた三匹が、ついに、動きはじめたのです!大袈裟に聞こえるかもしれませんが、その動画を見た時のチームは、人類が月に降り立った映像をみた時くらいの興奮と喜びに包まれました。
トイレトレーニングもまだまだこれからの三匹ですが、楽しい未来への大きな前進をチームは確信しました。
少ししたら下山さんは三匹を獣医さんに連れて行き、避妊手術とその他現在の健康チェックを行うそうです。バベシア症の治療は一旦終わったと聞かされていますが、長いことじっと座ったままで外を一歩も歩いていなかったため、やはり現在の健康状態が気になるところです。
「全頭みんなドーンと来い!」と信じられないほど太っ腹の下山さん。実は第二弾のありがたいご提案もいただいております。チームとしてはもちろん、願ってもない嬉しいお話ですが、今回の三頭を引き出すだけでも、下山さん側にとってかなりの経済的な負担が見込まれます。それに加えて、下山さんの現在幸せいっぱいのワンちゃん達が、これ以上犬が増えても幸せでい続けてくれるのかも気になります。葛城さんの犬を引き取ることで、今度は下山さんが経済的に困窮する事態になることはなんとしても避けなければいけません。
そこでチームからお願いがあります。ご支援者の皆様のなかでもし、ありがたくも継続支援のご意思がおありの方は、是非、甲斐っトランドさんへのご支援もどうぞよろしくお願いいたします。
ショップのリンクはこちら: https://kaittoland.base.shop
ギルフォード、ミルフォード、スピーカーの今後がチームは楽しみでなりません。下山さんの2泊3日の佐世保滞在から現在までの詳細動画をお知りになりたい方は、下山さんのインスタグラムをご覧ください。@shigetoshimoyama
犬と人間を助けるために情熱と愛情の限りを尽くして生きておられる方たちが、現実世界の重さに潰されてしまわない社会になりますようにと願う、チームなのでした。
2021年10月16日
Team Katsuragi