あるご支援者から、カンボジアのトイレについて質問を受けましたので、そのことについてご紹介します。
Q 今、トイレが足りなくて、子どもたちはどうしているのですか。
A 先生方から聞いた話ですが、長い順番待ちになっていたり、使用中であることが多いので、我慢してしまったり、裏の木陰で放尿してしまう子たちも少なくはないそうです。先生方も当然、衛生上よくないと思っているのですが、現状では黙認するしかないとのことでした。
冒頭の写真、2017年にある地方の学校にアメリカの支援で建てられたばかりのトイレの内部です。
現地職人が、注文を請け負って施工するので、トイレは、当然クメール式となります。
おそらく皆様が、これを見てすぐに気づくのは、便器の形と水槽ではないかと思います。
まず、基本的に、金隠しはありません。そして、便器の上に足を乗せて用を足します。(滑らないように着地部分がギザギザになっています。)
外から土を運んでくるので、床や便器は泥だらけになります。
しかも、便器は意外に小さいので、多少外に飛んでしまうこともあります。
でも、用が済んだ後に水で流すから、そんなことは気にもしません。
しかし問題がここにあります。
水で流す行為は、プラスチックの手桶を用いて自分でやる必要があります。
子どもたちがめんどくさいなどの理由でこれをやらなければ、トイレは汚れたまま放置されることになります。
そうなると、臭気が残ってしまい、積み重なってツンと鼻につくことになります。
ですから、便器に向けて正確に放尿することと、使用後には必ず手桶の水で流すこと、そして一日の終わりには床全体を水で洗い流す必要があります。
こちら、2013年に日本の支援で建てられたBrey Boeng Primary Schoolのトイレです。
経年変化による使用感はありますが、きれいさは保たれています。
水槽の水は、やはり雨水を使用します。落下方式で流れてくる水を常時ためておく必要があります。
しかし、雨がほとんど降らない乾季(11月~4月)になると、水枯れしてしまい、きわめて不衛生な状態になります。
それが、下のようになってしまう原因です。
井水の自動的に汲み出すポンプを設置し、地下配管し、貯水タンクを取り付けるとなると、本クラウドファンディングの金額の2倍はかかります。
日本のように、蛇口をひねれば常時水が出る環境と違い、カンボジアの地方部では、水は生活において水は最も大きな問題なのです。
カンボジアのトイレには、子どもたちの使用方法と自然環境の2つの課題があると言えましょう。
そんなわけで、新しいトイレが設置された後は、衛生教育を行う必要があるということです。
まずは、校内、立小便全面的禁止と言うところでしょうか。
このアメリカが支援したトイレ。ドアは板張りで、男女別に分けられています。
トイレの屋根に雨どいがついていて、雨水はすべてタンクに蓄えられ、手洗い場が併設されています。
相当、経費も掛かっています。
この学校の子どもたちは、恵まれていますね。
Hygiene brings good health.(衛生は、健康を保障する。)
確かにその通りです。
もしも、金額以上の資金が集まれば、Brey Boeng Primary Schoolにも手洗い場の一基くらいつけてあげたいと思うのです。
また、2017年にできたこの立派なトイレが、どんな状態に保たれているか、一度訪問して確かめてみたいものです。
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国際協力NGO チアフルスマイル
代表 松田 辰弘
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