【推薦文をいただきました】
元UNHCR駐日代表、滝澤三郎様より推薦文を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。以下、コメントです。
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難民を留学生として受け入れるという方法
日本の難民認定数が少ないことは何十年も指摘されてきた。その理由には、そもそも日本まで逃げて来る難民の数が欧米に比べて少ないこと、入管庁による難民条約に基づく難民審査が厳格すぎることなどがあるが、もう一つの理由は、難民条約の難民の定義が狭く、救済の対象が限定されていることだ。
1951年の難民条約は、難民の定義を「人種、宗教、国籍、特定の社会集団、政治的意見」を理由として迫害されることを恐れて外国に逃げた者、と定義している。そこには紛争とか戦争という理由は入っていない。つまり、例えばシリアやアフガニスタンの国内紛争や暴力で命が危険になったために逃げてきた者は、常識的には難民だが、難民条約上では難民とは言えない。しかし今日の難民の大半は国内紛争を逃れる人々であり、ここに難民条約の大きな限界がある。
この限界を超える一つの方法が、紛争を逃れる難民を難民に準じて受け入れる「補完的保護」という形だ。西欧諸国が広く採用し、日本も先の入管法改正案に入っていたが、同法案が廃案になったため制度化はされていない。
もう一つは、「第三国定住」という形で難民キャンプなどから直接に受け入れる方法だ。日本政府も2010からミャンマー難民について開始し、年間60人を上限に受け入れを図っている。これも「補完的保護」の一種だ。
さらに近年では、民間団体主導で、難民を「留学生」として受け入れる動きが各国で盛んになってきた。日本では難民支援協会(JAR)が2017年からシリア難民の留学生としての受け入れをしてきた。今年からはパスウエイズ・ジャパンという団体がその事業を引き継ぎ、対象をアフガニスタン難民にも拡大しようとしている。
日本人から見れば地獄のような本国(シリアやアフガニスタン)での武力紛争や暴力を逃れて隣国(トルコやイラン)に逃れても、そこが安住の地となるわけではない。仕事もなく差別され、社会の底辺に押しやられる。志ある優秀な若者たちは教育訓練によって自立の道を探すが、そのような機会はごく限られている。
そんな中でパスウエイズ・ジャパンの日本留学制度はごく貴重で、受け入れ可能な数人に対して何十倍もの応募がある。選ばれた若者は、授業料免除という理解ある対応をしてくれる各地の日本語学校で、アルバイトで生活費を稼いで勉強する。昔風に言えば「苦学生」で、異国で勉学と仕事を両立させることは厳しい。しかしそれを乗り越えることが自立への唯一の道であることを知る彼ら・彼女らは日夜、奮闘努力している。
そんな留学生に何人も会ったが、一言でいうなら、頭を下げざるを得ない。日本の大学や専門学校にとっても大きな刺激を与えてくれる若者たちだ。彼ら・彼女らは、日本で就職・進学するにせよいずれ本国に帰るにせよ、貴重な外国人材だ。
パスウエイズ・ジャパンは、留学生を助けるため最近クラウドファンディングを始めた。遅々たる政府の難民(認定)制度改革をしり目に、民間主導で「難民鎖国ニッポン」を変えようとするこの価値あるクラウドファンディングをぜひ応援してほしい。僕もちょっとした。
プロジェクト終了まで残り5日!
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