サウナを始めたきっかけの一つは、お寺の裏山の整備です。大泰寺は周辺の山林も含めると4.2haもの境内地(東京ドームとほぼ同じ)を抱えています。私が住職になった時に、山林は未整備でシカやイノシシのすみかとなり、台風の際には参道に木が倒れ、出られなくなったこともありました。
また、大きくなりすぎた木は、風の抵抗を受けやすく、揺られた根が地面を割り、水が染みこみ、参道が埋まるほどの大きな土砂崩れも経験しました。
しかし、いざ木を切って山林を適正な状態に保とうとすると年間で何十万ものお金がかかることが分かりました。自ら山林整備の団体を立ち上げ、交付金をもらいながら寺山の整備を進めていると、周辺の山々でも経済的な問題や高齢化の問題で切ることができず、民家の屋根の上に木が被さっていたり、大きくなりすぎた木から落ちる大量の落ち葉が側溝を埋めてしまい大雨の際に水が溢れたり、たくさんの問題があることが分かってきました。
交付金と行っても、もちろんその額には限りがあります。やはり切った木から収入を得る仕組みを作らないと持続的に山林を整備し、土砂崩れなどの災害を未然に防ぐことはできませんでした。そこで出会ったのがテントサウナでした。
多くの方が大泰寺でテントサウナを体験することで、資金を得て薪を作るためより多くの木を伐採することができ、山林が適正に管理することができます。台風や大雨に強い状態を保てるのです。テントサウナを楽しむことが災害の防止につながるって素敵じゃないですか。言い換えればテントサウナを楽しむことは、田舎の山林の整備に寄付をしてくれるているということで、これは仏教で言う「布施」と同じです。人のために良いことをすると、気持ちが晴れ晴れとします。自分が今楽しんでいることは、人の命を救っているんだ。と、思いながらサウナを楽しんでください。
都会の人の中には、木を切ると木が死んでしまい、山が崩れると思っている方が多くいます。でも、私たちが薪に使う広葉樹は、切ると切り株から再び芽が出てきます。切ったからといって死ぬわけではありません。大きくなりすぎた木は切り倒すのも一苦労です。10年~20年ほどで、大きくなっては切り、大きくなっては切りを繰り返すことで、安全で経済的に負担が少ない森林の維持ができるようになるのです。