これは私たちの反省でもあります。
現在、サウナを体験に来られる方の多くは、直接川へ行かれて、お薬師さまに参拝せずに体験を受けられます。バタバタと準備をしていて、きちんと案内しない私たちの責任が大きいです。
蟻の熊野詣でと言われ、多くの巡礼者が救いを求めて訪れた日本一のパワースポット・聖地熊野には、熊野七薬師というお薬師さまをお祀りするお寺が7つありました。時代を経る中で、7つに入るお寺のいくつかは変わっていったようですが、大泰寺のお薬師さまが1番であるというのは、どの時代も変わらない事実でした。
お寺の縁起によると、約1200年前に、この地を苦しめていた大蛇(洪水?)を封じるために、比叡山の開祖・伝教大師が柳の木から薬師如来を彫りだしたのが大泰寺の始まりだそうです。ここに大泰寺の薬師信仰が始まりました。現在のお薬師さまは1156年の作で、おそらく2代目です。ただ、国の重要文化財に指定されるだけあり、優美な表現や、当時最新式の塗装方法など、その尊さは初代に劣らぬものと思っております。
薬師如来様は、それぞれ由来により「耳」に利くとか、「頭痛」を治すとか、特に利く病気というのが決まっていることが多いです。大泰寺の薬師如来様は、「こころの薬師」と呼ばれ、心の病を抱えた方の信仰を集めています。サウナで、モヤモヤやイライラを晴らしたい人は、ぜひ「整いますように」とお参りされるべきです。
お参りに行くと気づくかも知れませんが、薬師堂の正面に小さいわらじや袋がぶら下がっております。これは願掛けのしるしといい、自分の体の悪い部分に見立てたものを、ぶら下げて病気の平癒を祈る風習から来ております。わらじは「足腰」。五円玉は「目」。袋には髪の毛が入っていて「頭痛」に利くそうです。「こころ」のしるしは、ガラスの玉です。近年、このガラスの玉が増えています。こころの病を抱えた方が増えている証拠かと思います。
人々の心の病の平癒を手助けできれば、きっとお薬師さまも喜んでくださるだろうと始めたのが「テントサウナ」なのです。