大泰寺がある那智勝浦町は紀伊半島の南部に位置しています。紀伊半島の南部は、熊野地方と呼ばれ、時に聖地と言われることがあります。熊野とは、「奥まった地」という意味だそうです。
実際に、都会からサウナを体験来た人の中には、「遠かった」という人もいますし、予想以上の遠さから遅刻してくる人もいらっしゃいます。しかし、こうして奥まった場所だったからこそ、手つかずの自然が残り、山や川も原始の形を色濃く残しているのだと思います。
そして、1000年以上前の巡礼者達も、こうした原始的でダイナミックな自然の姿に神の姿を感じ、それを見ようと今の私たちの何倍もの時間をかけ、労力をかけ、この地を目指したのだと思います。
見上げるような巨石や、生命力溢れる大木、荘厳な滝の姿、雨上がりにまるで呼吸するように霧を吐く山々に人々は神の姿を見ました。何も説明はいりません。それを見て、感じるだけで、命の尊さや普段の悩みのちっぽけさ、そうしたものに気づき、人生が変わる体験をしたのでしょう。
それを巡礼者達は、「蘇り」といい、その体験を都に帰って広めました。そして、熊野を目指す人が増える中で、次第に熊野は「聖地」となっていきました。
こうした巡礼者が見ていた景色は、今もそんなに変わらない気がします。それは、熊野が都会から遠く離れているからです。「遠い」は悪いことではありません。遠いからこそ、味わえる人生を変えるような景色がここにはあります。おそらく日本各地を回るサウナ巡礼の最終目的地は、熊野でしょう。
サウナをすることで、この神々が宿る大自然と一体になる大泰寺のリバーサイドサウナは、ここでしかできない本当に特別な体験です。