『森のごちそう』を開発した理由は本文にあるように「鹿肉は猫にとって本当に良い食材」だから。ただ、私たちが鹿肉を扱う理由はもう一つあります。
今から2年ほど前のこと、旅行で沖縄県北部のヤンバルに訪れました。そこにはまだ手付かずの大自然が広がっており、鳥の声、虫の声、緑の音、風の音が聞こえてきました。動物、植物、微生物、さまざまな生き物がひとつの森に共存し暮らしてしていました。誰もいない森の中を歩くと、不思議に思うことがありました。森にゴミが存在しなかったのです。落ち葉は微生物が食べ、虫の死骸は鳥が食べる。誰かの不要なものは、誰かの必要なものとなり、そこに不要な存在などなかったのです。
でも、街へ戻ると、ゴミがありました。でもこの不要なものって、誰かにとって「必要なもの」にできないかな。そう考えるようになりました。
そんなことを考えていたときに、ある村に暮らす男性に出会いました。お仕事は、建設、廃品回収、猟師。三つの仕事で大忙しの方です。「村が、山が、ゴミで溢れるのがいやだ」そんな思いを持たれており。古民家を建て壊す時にでてくる家具や小物など、一見不要そうと思うようなものも持ち帰り綺麗に磨いて再利用。そして害獣とされている「鹿」や「猪」は完璧までに血抜きをし、精肉となり、村の観光資源に。この方の周りに「無駄なもの」なんてなかったのです。
「そうか、不要なものを、価値あるものに変える役割を担っている人が少ないから、ゴミになってしまうのか」
目新しくて、新しくて、話題になる商品、確かに売れるかもしれません。だけど、私たちがしなくても新商品は生まれる。私たちは、新しい資源を活用するのではなく、一見無駄となっているものに価値をつけ、資源として再利用したい。そんな役割を担う企業でありたいと考えるようになったのです。
私たちはこれまでも、これからも、猫、動物に特化した事業を行なって行きます。動物と共に事業をしている私たちにとって、年間124万頭ものシカ・イノシシが捕獲されているのにもかかわらず、活用されているのはたった1割という現実は見逃せませんでした。
無駄になっているシカの命をできるだけ減らし、猫の笑顔を増やしていく仕組みを作るために、とびっきり美味しいフードを作りました。
猫と猫の飼い主さんと共に、鹿のいのちに感謝する流れを築けると嬉しいです。