森山です。残り1週間となりましたが、ほぼ3/4に到達し、おかげさまで目標達成が見えてきました!!
本当にありがとうございます。
今日は「美味しいパンって職人さんはどうするの?どんなパン作るの?」ということをよく聞かれますので、そのあたりの戦略について説明していきます。
結論「職人がいらない」パン屋からスタートします
もしかしたらがっかりするかもしれませんが、僕らのパン屋は、当初「職人を育てない」し、もしかすると「焼かないかもしれない」です。でも「この近辺含めても美味しいといえるパン屋」はつくれると思っています。
1. 冷凍技術の革新で美味しいパン屋が手に入る
まず第一には、現代社会においては冷凍技術が凄まじい勢いで革新していて、「冷凍してもその日に食べるパンと遜色ないものが食べられる」ためです。僕らが数年単位で修行してパン屋をつくるよりも、間違いなく美味しいものを提供できるなら、そうすべきです。
また、当面は小規模な経営体になる中では自分たちでつくるパン屋は食品ロスのリスクが大きいと言えます。その意味でも、需要のある分だけ提供できる冷凍ストック型のパン屋は理にかなっていると言えます。
2. セレクトパン屋だからできる「ラインアップ」を
第二に、セレクトパン屋だからこそ、「幅広いラインアップを展開できる」というメリットがあります。小規模のパン屋では、日本らしいコッペパンなどのソフト系とドイツ系などのハード系パンを両方高いレベルでつくって取り揃えることは困難です。生地の作り方や酵母からまったく違うため製造コストも倍かかりますし、選択肢を増やせば増やすほど食品ロスの廃棄率も上がってしまうためです。
やわらかいパンを食べたい高齢層と、風味豊かなハードパンを食べたい若者層
しかしながらパン屋をやるためにヒアリングしていると、面白いほどにほしいパン屋のイメージが対立します。高齢者の方にヒアリングすると昔ながらの懐かしいものや、歯が悪く堅いものを食べづらくなっていることから、柔らかいパンを食べたいと言われます。若い人や移住者層にヒアリングすると、このあたりではなかなか買えない風味豊かなハードパンやこだわったサンドイッチなどがほしいと言われます。
それぞれの得意なパン屋から調達すれば両方美味しい
セレクトパン屋であればこうした問題を一瞬で解決できます。それぞれの得意なパン屋から仕入れるだけだからです。
なによりも冷凍状態で仕入れるため賞味期限がながく、食品ロスのリスクが少ないのもメリットです。
3. 若者に人生を捧げるリスクを負わせなくてよい
アナタの半生捧げて小高でパン屋やってください」は無責任
これまでの何年か、パン屋をやりたくて修行をしてきた人が偶然小高に現れて気に入って移住してくれるストーリーはないだろうか、と思いながら、移住定住のセミナーなどで積極的にPRしてきたつもりですがそんな上手いこと事が運ぶことはありません。かといって、こちらから誰かを積極的に口説いて「小高でパン屋やってくださいよ。人口4000人しかいないしアナタの人生がどうなっても責任はとれないんだけど」とは言えないなと考えていました。それはやっぱりとっても無責任だと。
仕入れパン屋で先に検証すればリスクを下げられる
市場の不確実性が高いスタートアップ系の企業では、製品を市場に投入して早期に検証していくことが推奨されています。パン屋はスモールビジネスとして対極のものとして捉えられがちですが、こういった不安定な地域でやるときはスタートアップの知見が活きると考えています。
先に製品を市場に投入してしまい、その売上や顧客の嗜好を見ながら、この地域で売れるパンを検証し、「売れている状態」を先につくってしまうほうが得策だと考えています。
スピードと設備投資の軽量化もできる
また、当初のスピードを確保し、設備投資を軽量化する意味でもこの方法にはメリットがあります。極端な話、パンを売るだけなら「飲食店営業」の許可すら必要がありません。今回は飲食店営業を取る予定ですが、製パン業はとらない予定です。製パン業をとるためには専用の厨房や設備などの投資が必要なのですが、それを省略することで経営の安定化を図ることができると考えています。
2段階ロケット方式で職人は育てます。
では、パン職人はここでは育てないのか、というとそうではありません。
まず月商150万の売上が立てられる状態での職人育成
私の見立てでは、この立地であれば月商が120-150万くらいあれば、最低限の収入を確保しながら経営できるのではないかと考えています。日商5万,1日パン150個+カフェ客30名といったところでしょうか。実際この地域でカフェをやっている身としてはこの数字でもかなり冒険に見えますが、達成できない数字ではないです。まずはこの状態をつくります。仕入れパン屋だとおそらく相当利益率は薄いのですが、その状態なら「このくらいの売上は立つから、パン職人やってみない?」と声をかけられると思っています。
大事なのは商品+体験。体験を作り込むに集中できる期間でもある
パン屋というのはただパンが美味しければよいかというとそうではないと思っています。パンの焼けた香り、トングをカチカチしながらたくさんのパンの中から自分の好きなものを選ぶ体験。パンと一緒に選ぶコーヒー。誰かとそれをシェアする体験。そうしたあらゆるものが「美味しいパン屋」という価値をつくっていくのだと考えています。
ある意味「焼くパン屋」を諦めたことで、そうした体験を作り込むことに時間をかけられると思っています。
これまでの経験とスタッフの力で実現していきます。
私たちがこれまでやってきたオムスビでの経験や、そこでこうやって一緒に働いてくれている人、応援して足繁く通ってくれる人たちの力をあわせていけば、きっと実現できると思っています。
だから、もうひと踏ん張り、頑張っていきますのでクラウドファンディング含めて活動を応援いただければ幸いです。