
昭和51年に祖父から譲り受け、大切に保管されていた烏梅を披露される東京會舘元総料理長・鈴木顧問。
和紙袋を開き中から取り出されたのは、祖父が作った一粒の烏梅でした。
コレゾ賞授賞式の後には懇親会が開かれました。
受賞者それぞれが自慢の食材を持ち寄り、東京會舘元総料理長・鈴木顧問が料理をしてくださいました。
授賞式のスピーチで鈴木顧問は、若き日の思い出を語られました。
原材料や器具の生産地を実際に訪ね、現場から学ぶことを信条としてこられたそうです。見習い料理人だった昭和51年、梅について調べると、日本に最初に伝わった梅は奈良時代の烏梅であることを知ります。そして、その烏梅を作っているのが月ヶ瀬の中西家だけであると分かり、祖父を訪ねて月ヶ瀬まで学びに来てくださったそうです。
それから約50年。
懇親会前の食材紹介で、鈴木顧問がそれぞれの食材や料理について紹介されました。
ここで再び烏梅について、
昭和51年に祖父から譲り受けた烏梅を今も大切に持っていることをお話されました。そして実際に和紙袋を開き、その烏梅を皆の前で見せてくださいました。
そこにあったのは、確かに祖父が作った烏梅でした。
私は壇上からその烏梅を見つめ、言葉にならない感動を覚えました。
さらに烏梅と紅花染めと装束の関わりについても丁寧に紹介してくださいました。
鈴木顧問が烏梅について語られる時は熱量高く、若き日に学ばれた時の景色が目の前に映し出されるような温かさを感じました。
駆け出しの料理人だった頃に月ヶ瀬まで足を運び学ばれたこと。そして半世紀を経た今もなお、その時の烏梅を大切に持ち続けてくださっていたこと。
祖父が作った烏梅が、50年という時を超えて再び物語ってくれたような気がします。
鈴木顧問の真摯な学びの姿勢と、ご縁や歴史を大切にされる心に胸を打たれた一日となりました。
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