2013/02/05 19:39
『カラー化で広がるモノクロ漫画の作品世界』

取材:コルク編集部

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前回、第3回では、実際に色彩デザイナーが感じた安野先生のファッションセンス性、塗りの特徴を聞いた。
最終回となる今回は、これまでの話をふまえ、カラー化の意義、カラー化という仕事へのアツい想いに迫る。
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【第4回】−カラーが届けるもの−

ーカラー化の意義はどこにあるのでしょうか?

 アニメから入っている海外の人たちは、モノクロ漫画に対して、もともとカラーだったのになんで白黒にしてしまうの?という感覚を持っています。どれだけ素晴らしい内容であっても、モノクロ漫画をそのまま海外にもっていって、多くの人に読んでもらうことは困難です。世界に出ていって広まるために、モノクロ漫画のオールカラー化は必須だと思っていますし、今回のcampfireでのプロジェクトのように、オールカラーの豪華本需要もコレクターの間で増えてくるでしょう。そうした新しい出版の流れの中で、役割を担い続けることができればと思っています。

ー今回お話を伺うまで、モノクロ漫画のカラー化がこんなにも奥深いものだとは知りませんでした。

 どの作品にもこだわりがあって、作者である先生自身も気付いていないかない部分もあります。そうした部分を読者に気付かれてしまうことは、カラーの訴えすぎとも捉えられますし、ある種原作の世界観を壊しているとも言えます。
 ですが、作品にこめられたこだわりは、必ず読者の読み味に潜在的に影響するはず。カラー化されていても、違和感を覚えず、自然に読めてしまうのが理想です。

ー本当にクリエイティブなお仕事ですね。

 カラー化は、塗り絵と同じだと思われてしまうと単純な仕事に見えてしまうのですが、塗り絵の要素よりも、作品理解と演出の仕事だったりします。
 こうしたおもしろい仕事があるということが世間に少しでも浸透していき、読者の興味が広がってくれると嬉しいですし、それはもちろん作品にとってもすばらしいことです。


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全4回にわたってオールカラー化の裏側をお伝えしました。
次回は、今も職人の手作業が残る豪華本の製本過程をお伝えする予定です。