「コトブキンちゃん49話」
この漫画は、以前、横浜市の中心部の路上生活者の方々に配布していたものです。
身寄りのない方、何かしらの事情があって家族のもとに帰ることができない方、様々な方が不安に思っていることのひとつに、「ひとりで死んでいくこと」があります。
これは、寿町の方に限らず多くの方が不安に感じることかもしれません。
近年では、お墓を代々守る感覚も薄れてきて、墓じまいをしたり、海などに散布されている方も
あるかと思います。
しかし、私が寿町でお世話になっている、通称(私が勝手によんでいます)ゴッドマザーは、
「身寄りのない人でも、生きているうちに誰かとご縁ができて必ず手をあわせたい人はいる。」と言います。
そのための拠り所が必要なのです。
私が、それを目の当たりにしたのは、2013年頃、ゴッドマザーにお誘いいただき、「ことぶき福祉作業所」に非常勤で働き始めた頃です。
写真:川名マッキー(竹本真紀著「トビヲちゃんがみたまち」より引用)
この作業所には、寿町で生まれ育った方や寿町に長く住んでいる方がいらっしゃって、寿町の行事を大切にしている方が作業をしにきていました。
年に二度、春と秋のお彼岸のときに、マイクロバスで地域の方と一緒に青葉区の徳恩寺にある「千秋の丘」にお墓参りにいきます。
千秋の丘から見える風景です。
ことぶき福祉作業所を退職したあとも、ほぼ毎年、お墓参りに参加させていただいています。
この秋にも行ってきました。
ここには、寿町や路上で亡くなられた方、東京の山谷で亡くなられた方も、眠っています。
このお墓ができたいきさつも、寿町のあたたかいお話があります。
私は、このお墓参りに来て、とても驚いたことがあります。
住民の方々がこのお墓を大切にしている様が、非常に尊かったのです。
私自身は、実家のお墓参りは好きな方ですが、自分の家のお墓でもこんなに大切にするかなあ。
というくらい、みんなで手厚くお掃除をしたり手入れをしたりするのです。
この千秋の丘まで寿町のみなさんは来ることができないので、いつでも寿町にはお地蔵さんが見守っているのです。
こちらは、今の建物に建て替わる前の、私が初めて出会った頃のお地蔵さんです。