【命が助かっても、失ったものがある】
「ようやく仕事が軌道に乗ってきた。この山を越えたら、家族旅行にでも行こうか。」そんな中、突然、あなたは倒れます。側にいた人が救急車を呼び、病院に向かい、無事、命は助かりました。そこで「安心してください。命は無事です。ただ、以前は当たり前にできていたことが、ほとんどできなくなるでしょう」と言われました。そんな状況を想像してみてください。
今の日本の医療ではどこがゴールか知っていますか? そのゴールは「退院」なのです。何もかもがすっかり元通りになることを待たずに、厚生労働省が定めた期限がくれば、あなたは退院しなくてはいけません。そして高次脳機能障害のような「見えない障害」と呼ばれる病気の場合、その先の制度がとても心細いもの、心もとないものであることを、みなさんは当事者になるまでおそらく知ることはないと思います。
助かった命。失わなかったものは「命」ですが、では失ったものは何だと思いますか?
これも退院してから悟るのですが、それは
「社会的役割」 です。
「社会的役割」は、生きるモチベーションです。職業に関係なく、健康な大人は社会とのつながりの中で、それぞれの役割を担っています。
私たち「Reジョブ大阪」はNPO申請中のグループです。私たちは「退院」ではなく「社会的役割」を本人が見つけて、手に入れることをゴールに設定します。それが本当の「社会復帰」であると私たちは考えます。もちろん、人によって、そして団体によって、何をゴールとするかはそれぞれです。患者さんにとっては、もしかするとそこが「スタート」になるかもしれません。とにかく自分にできることで行動して、一人でも多くの患者さんに寄り添う、患者家族に寄り添う、そういう行動力が大切です。制度が変わるのを何もしないで待っている時間はもうありません。私たち「Reジョブ大阪」は、その人が「できること」で社会復帰するのではなく、その人が「したいこと」で、人間らしく生き生きと社会復帰できるように支援したい、そう思っています。
【社長が脳出血で倒れたら】
ある男性が、自分の「社会的役割」を見いだし社会に復帰するチャンスとして、自分の本を出版する。その本の文字入力から始まり、販売までサポートする。今回のクラウドファンディングは、その仲間を募集したいのです。
トップ画像の下川さん。1968年大阪府生まれの彼は、35歳で多額の負債を抱えた親の会社を継ぎ、3代目社長となりました。そして見事に負債を返済し、日本の企業がほとんど進出していなかったバングラデシュに工場を設立するなど、バリバリと精力的に会社を経営していました。
事業が軌道に乗り始めた42歳のとき、外出先で脳出血を発症、15時間におよぶ手術により一命を取り止めるも、左半身麻痺と高次脳機能障害が後遺症として残ります。
リハビリ入院を繰り返しながら職場復帰を目指すのですが、そのたびにてんかんを発症しドクターストップがかかります。同時に外来リハビリ期間が終了となり、行き場を失い鬱状態となってしまいました。その後、精神科病院併設のデイサービスに通いますが、彼は精神障害ではないので適応が難しく退所します。そして月1回の高次脳機能障害者の会に参加する以外は、喫茶店通いなどで時間を潰す日々を送っていたのです。その後、「捨てる神あれば拾う神あり!」と張り切って、就労支援機関に通うようになるのですが、動かせる方の膝を悪くしてしまいました。
あなたには想像できますか? バリバリ働いていた自分というものを失った人の気持ちを。大金を動かし、社会に貢献していたはずなのに、今は動かなくなった手で簡単な小物を製作し、それで「良かったね~、社会とつながって」と言われる経営者の気持ちを。そしてその家族の気持ちを。
「社長」という肩書きが邪魔をしている?いいえ、そうではないと思います。どんな職業の人も同じようなことになっているのです。逆に言えば、こんなに恵まれた人でも、自分のやりたい仕事に戻ることができないのです。
私たちは、いつ、彼のような立場になってもおかしくないような状況で、しかも、自分の望まない社会的役割を押しつけられ、「これで良し! あなたの支援は終わりね!」 とされるかもしれないのです。
「下川さんとの出会い。そして私たちの思い。」
そんな中彼は、社会復帰の思いを断ち切れずにいました。思い悩んだ結果、自分に残された使命は「見えない障害」と言われ多くの人が苦しんでいる高次脳機能障害について、当事者にしかわからない経験と思いを書くことだと考え、47歳から体験談を書き始めました。しかし、当時は原稿を発表する場もなく、再び自宅に引きこもる生活となりました。その後49歳のときにてんかん発作で入院、リハビリを再開した際、入院先の病院で書きためた原稿を見せたのが、私たち「Reジョブ大阪」の発起人のひとり、言語聴覚士の西村だったのです。
自分に相応しい社会的役割を考え続けた彼が書いた原稿を見て、私たちも「これだ!」と感じました。出版した本を携え、販路を見つけたり広げたりする。そう、社長時代に彼が得意としていたことです。それこそが彼の生きがいです。しかし、障がい者の彼にはそれができません。書いた文字の入力もできません。新しい原稿を書くにも、意味のある言葉を、順序良く書くことも一大事ですし、感情がコントロールできず暴れてしまうことも、そしてそれを後悔することも多いのです。この活動には全ての段階で、みなさんの支援が必要なのです。
Reジョブ大阪キックオフ東京会場にて
話:西村紀子
※この会場は背面が鏡面になっているので、参加者が鏡に映る状態となっております。
【いっちょかみ】
NPOを目指す団体でクラウドファンディングなんてすると「要は、集金なんでしょう?」「寄付金集めて終わりなんでしょう?」とも思われる人は多いです。そう思われること、私たちも出発前から覚悟はしていました。しかし実際に説明会などを開いてみると、そんな声は聞こえてこなかったのです。東京と大阪で説明会を開いたところ、大勢の仲間が応援にかけつけてくれました。本当に有り難かったです。前途多難は承知。私たちは前に突き進みます。
キックオフ(説明会)東京会場
キックオフ(説明会)大阪会場
私たちはこのクラウドファンディングを通じて、みなさんに現状を知ってもらいたい、一緒に障がい者の社会復帰を手伝う、仲間になってもらいたいので、一回きりの寄付ではなくクラウドファンディングで仲間を募集したい。このように考えました。
このクラウドファンディングのリターンは少し変わっていることに気付きましたか? 私たちはこのリターンを「いっちょかみ」と呼んでいます。「私は障がい者の社会復帰支援業に寄付した」ではなく「私は障がい者の社会復帰の力になった」と言える内容のリターンを作りました。
そして今まさに大変な思いをしている障がい者の家族さん自身も、このプロジェクトに関われるのです。そうすることで、情報をしっかりと共有でき、お話もたくさんできます。支援を必要としている人が、支援側に回ることで、情報を得られる。私たちはそんな珍しいリターンも考えました。障がい者の方も、そうでない方も、どうぞ、私たちにおせっかいをやいてください。どんどん「いっちょかみ」してください。できることを、少しでいいのでお裾分けしてください。
このスタートアップ事業で得たノウハウで、二人目、三人目と社会につなげ、社会的役割を探す手伝いをしていくつもりです。そしてその過程で、この「見えない障害」とはどういうものなのか、私たちは何ができるのかを一緒に考えていくことこそ、将来につながる継続的な支援と呼べるのではないでしょうか。私たちは、どんなに「難しいのでは?」「無理なのでは?」と言われようと、社会がより良くなるよう、力強く歩んでいく気持ちです。
ゆくゆくは、家族向け相談所を運営し、患者さん家族の相談にのりながら、その学びを言葉にして発信する、医療機関で症例として出向いて講演会をする、そして2020年のパラリンピックにはみんなで行ってみよう!など、夢を語りわくわくしています。今までは無理だと言われていたことに、やってみないと分からないと言われていたことに、どんどん挑戦していきたいと、私たちは思っています。
ぜひ、みなさんの力を貸してください! どうか仲間になってください!
あなたたちは何者?と思った方へ
熱い思いを語り過ぎ、自己紹介が遅くなりました。私たちは「Reジョブ大阪」という団体です。NPO法人化を目指して申請中です。私たちは、毎日色々なことを発信しています。まだまだ活動は始まったばかり、あっちへぶつかり、こっちへ転びしています。そんな無様な私たちですが、そういうところも隠さずに、正々堂々と行動すること。これが信頼を得る方法だと信じています。どうぞ、私たちの理念、考え、行動を覗いてみてください。そして、危なっかしいところは、是非、助けてください。そこにもみなさんの力が必要なのです。
Reジョブ大阪
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クラファンの状況や、活動報告、もちろん下川さんの現状や、出版プロジェクトの進み具合なども、どんどん発信していきます。
発起人:西村紀子
1970年2月生まれ。大阪大学人間科学部卒。
2001年 子育てをしながら言語聴覚士の養成校に入学。
2003年 国家資格取得。在宅、老人保健施設、療養病院、リハビリ病院、急性期病院に勤務し、一貫して脳卒中後のリハビリに従事する。この数年は勤労世代の社会復帰に力を注いでいる。
blog「言語聴覚士というお仕事」
https://goo.gl/B2LEWB
最後に
私は、この文章を書いている松嶋というものです。ライター、文章指導、国語教師等々、文章や言葉に関する仕事を、色々なチームの中でしています。ま、そんなことはどうでもよろし。
先ほどの著者、下川さんが書いた私宛の手紙を読んでみてください。
これは、私が彼に初めて出会ったあと、彼が書いた手紙です。最初の頃の原稿に比べたら、文としてしっかり読めるようになりました。伝えたいという情熱がそうさせるのでしょう。これが大切です。
私は、彼が思っているほど、有名ライターでも、売れっ子作家でもない。本の編集なんて、簡単なkindle本でしかしたことがないレベル。それでも、彼は全てをかけて私にすがっているのです。「僕は諦めません」この言葉に突き動かされ、私は彼の為に、相当な時間を割く決意をしました。「いっちょかみ」です。
ただ、印刷技術は私にはないので(笑)外注することになります。出版社にも企画書を持ち込むつもりですが、まずは現物が必要になるので、印刷することになると思います。その費用が必要です。
また下川さん自身が、この本を携えて様々な活動をすることになった場合、色々な費用がかかります。彼が移動することになった場合には、介助する人も必要ですし、動画で配信することになった場合には、撮影者も必要です。このクラウドファンディングで得られた資金は、そのような活動に使用する予定です。何に使ったのか報告もきちんといたします。
あなたの力が必要です。原稿入力から購入、そしてその先の私たちの活動まで、色々なリターンで支援ができます。
ぜひ力を貸してください!
最新の活動報告
もっと見る共に生きる社会を作ろう
2018/03/30 07:42 Reジョブ大阪の西村です。このクラウドファンディングもいよいよ本日が最終日。大勢の方が支援してくださったこと、心強く思っています。深く感謝致します。ありがとうございました。 このクラウドファンディングは、私が担当した大勢の高次脳機能障害者のうち、一人の患者さんの手記を世の中に出そうと始めたものです。患者さん達に対して差を付けることは本意ではありませんが、私はこの本の出版に際して、運命のようなものに導かれているような気がしてます。みなさんの支援もあり、この本の先にあるものについて思いを巡らせ、また考えを深めていきました。そしてNPO設立という大きな決断もしました。皆さんが支えてくださったこと、寄せられた数多くのメッセージ、すべてが宝物です。そしてこの宝物を得る最初の鍵は息子にありました。 学習障害の息子を受け入れてくれた社会 私の息子、今は大学生ですが、言語性優位の学習障害児でした。小さい頃から言葉は達者なのですが、図工ができないなどの苦手なこともあり、また、とにかくよく道に迷う子でした。私は言語聴覚士だったので、息子のことには早くから気がついてたのですが、それを苦痛に思うことはありませんでした。それは、私たちの周囲に居た人達が、息子をしっかりと支えてくれたからです。息子ができないことは、息子の友達が助けてくれました。宿題も手伝ってくれました。何より、学校の先生が理解者になってくれ、支えてくれました。また、ご近所のお母さん達が面倒を見てくれたのも嬉しかったです。息子の障害のことをカミングアウトできたのも、それを受け入れてもらえたのも、私の周りの社会に受け入れる心があったからだと思います。今では普通に大学生活をエンジョイし、昨日、ネパールの旅から戻ってきたところです。あんなに迷子になっていた息子が、海外に旅をするだなんて不思議です。 多様性のある社会で障害を受容してほしい。 今の日本は、患者さん本人や家族が「障害があると受け入れてもらえないのではないか」と不安を感じていることが多い気がします。障害者であることを隠したり、引きこもったりする家族がいるのも、周りに受け入れてもらえないのでは、という不安がそうさせているからかもしれません。妊婦さんが障害児を妊娠することを恐れたり、認知症の両親を家から出さないようなしたりすることもありますよね。そしてそういう悲しい社会を構成しているのも、また私たちひとりひとりでもあるわけです。最近は、色々な診断が付くようになり、障害者の数は増えています。新たにカウントするようになった障害もありますし、実際、生活習慣病が原因の脳損傷、交通事故による脳損傷は現代になって増えています。そうして実際、私たちの周辺には、何らかの障害を持った人、何らかのマイノリティな問題を抱える人が多くいます。そして、これは是非とも強調したいのですが、後天的である障害も多くありますから、いつ、誰が障害者になってもおかしくないという時代であるとも言えます。そして、下川さんはたった一人の症例ですが、その後ろには、家族がいますよね。現在、高次脳機能障害者数は50万人と言われています。10年前のデータで最新という状態ですので、今はもっと増えているでしょう。もちろん診断のついていないケースも多いのです。それぞれの障害者にはその後ろに家族がいます。高次脳機能障害は特に若い人で増えてて、この障害を持ったために、若いのに社会に戻れない人も多いのです。障害や問題を抱えながらも安心して暮らしていける社会になったら、この障害者の人達、その後ろにいる家族の人達は、どんなに救われることでしょう。 知ってみようかなと思ってくれたことに感謝 息子の時のように、日本全体を受け入れてくれる社会にする為に必要なこと、それはまず「知る」ということです。人間、知らないものは怖いのが普通ですよね。私も怖いものはあります。でも、どんな原因でそうなってしまっているのかだけでも分かれば、怖くはなくなります。積極的に話しかけるようなことはできなくても、少なくとも「排除しよう」という心は働かなくなります。このクラウドファンディングに参加してくれた方の中には、身内の方が障害者だという方もいらっしゃいますが、ほとんどの方が、そういうわけでもないのに、支援してくださいました。この「高次脳機能障害って何だろう。どうして『見えない障害』なんて言われるんだろう」そう思ってくれたことが、大切なのです。「知ってみようかな」と思ってくれたその行為が、その人の、そして社会の運命の分かれ道で、善い選択をしたことになると思うのです。障害者を見ても「なんやこいつ」と思わないこと、そしてもっと知識があれば、社会から手を差し伸べることも可能。障害者の方の長所を活かした雇用をしている経営者や、その人ができないことを把握してきちんと配置転換をしている組織など、私はそういう事例も知っています。社会が受け入れ、共に生きていくことで、救われる障害者や家族がとても増えると思いますし、結果、自分たちが生きやすい世の中を作ることにもなるんです。そして、人間は社会性のある生き物ですから、社会の中に出ていくことで、障害自体も少しずつ改善されていく奇跡だって起きるんです。まずは「知ってみよう」と思ってくださったことに感謝します。 Reジョブ大阪のこれから これからのReジョブ大阪の活動ですが、まず、本を出版します。クラウドファンディングの画面では「4月」と表示されていますが、計画通りに4月に出版する予定です。その後、リターンとして皆様が支援してくださいました、様々なイベントがあり、その準備の為のリターンもありますので、しばらくお付き合いいただくことになるかと思います。その間、私たちは情報を発信し続けますので、がっつり付き合う方は積極的に、ゆるく関わりたい人はゆるく、私たちの活動を温かく見守ってくださいますよう、お願いします。そして、自分の愛する人や、家族、知り合い、友人、はたまたご自身が障害を持ってしまった時に、温かく受け入れる社会であるように、少しずつ少しずつ、世の中を善い方に変えて行きたいと思っています。まだまだ小さな組織の私たちですが、一歩ずつ歩いて行く力を貸してくださったこと、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。 もっと見る
もっと大勢の人を救うには何が必要か
2018/03/29 12:31会ったこともない人からお金を集めるプロジェクト こんにちは。Reジョブ大阪の松嶋です。このクラウドファンディングも残りあと2日です。活動期間の半分ぐらいのところで、目標金額を達成し、その後も支援額が増えています。本当に嬉しいです。ありがとうございます。支援者の中には、もともと私たちの知り合いだという人が大勢いるのですが、活動前には会ったこともなかったという人達もいます。会ったこともない人達から支援を集めるということ、これは本当に素晴らしい体験でした。CAMPFIREという安心・安全が保証されているしくみを選ぶことも大切でしたが、そこで思いや理念を言葉に直して伝える大切さを学んだ気がします。そしてそれを受け止めて下さったみなさんには、本当に感謝しかありません。 仲間になってください そう呼びかけて、このクラウドファンディングを始めました。そう「寄付してください」ではなかったのです。実際、現在は本の編集チームが立ち上がり、原稿を入力してもらいましたし、文字チェックもしてもらっています。このクラウドファンディング終了後も、出版記念パーティだの、出張くるみ亭だの、この本の企画に付随する様々な活動がてんこもりです。そんな、若干面倒くさいクラウドファンディングに、大勢の皆様が参加してくださいました。もともと友人だった人達からの支援も本当にありがたいものです。「これからも何かあった時は、いつでも応援するよ」そういうメッセージを受け取りました。だからこそ、クラウドファンディング終了後も、私たちは仲間を少しずつ増やし、活動を終わらせないことが大切だと痛感しています。そして支援者、いえ仲間の皆さんが応援を求めてきた時には、私たちReジョブ大阪が何かの力になれるよう、考えて行こうと思っています。 年間2,400円しか寄付をしない日本人。でも…… クラウドファンディングを始めてから、私は、色々な寄付をしました。寄付のハードルが下がってきたのです。以前からお手伝いしていたイベントを通じてのユニセフやあしなが育英会への募金を始め、初めて動物保護団体にも寄付しましたし、友人のクラウドファンディングやポルカにも寄付しました。日本人には寄付という意識がとても低いという話を耳にします。例えばあなたは年間いくらのお金を寄付に使いますか?私はこのクラウドファンディングが始まる前は、だいたい月に500円くらい、チャリティイベントで、10,000円くらい、年間でもせいぜい2万円程度です。この数字は日本では多い方で、日本人の平均寄付額は、年間で2,400円程度なのだそう。それに対し、アメリカでは、その約100倍で、年間26万円くらいです。どうでしょう?年間26万円の寄付をできますか?みんな自分の生活のことで精一杯。私だってそうです。でもこの寄付の心が社会を良くし、巡り巡って自分に返ってくる。そう「情けは人のためならず」その仕組み自体は日本人にも馴染みがあると思います。そして二度の大きな震災や、その他自然災害が発生した時には、非常に多くの寄付金が集まります。ただ、いかんせんそれが長続きしないのも日本の特徴です。その原因は、資金運用の不透明性と、日本人の寄付の経験値の低さにあると思います。不透明性に関しては、集める方にも責任があります。使い道の透明化が必須です。私は毎日小銭を東日本大震災の寄付にするという地味な寄付をあれから7年ずっと続けています。ただこの募金箱の先はどうなっているのだろう。ちゃんと届いているのかな。そんな不安があるのも否めません。私たちはNPO申請中ですが、資金の流れを公開する義務があります。寄付の経験値を上げる為に、何かを通じて寄付をするという形が、日本人には向いていると感じます。食べたものや買ったものの売上の一部が寄付になる、被災地の商品を購入することが支援になる、そういう間接的なものに寄付をしやすいようです。私はそこをもう少し押し広げ「自ら参加する」形の寄付にこだわりました。本の出版を手伝う、出版した本に添えるビデオレターを撮影する、本の出版がゴールなのではなく、ずっとずっと続く活動の仲間になってもらいたかったのです。関わっているあいだじゅう、ずっとずっと主体的に支援することになります。そしてがっつり関わるのか、時々様子を見る程度の関わりなのかは、支援者が選べる、そんなリターンを設計しました。クラウドファンディングは終了しますが、ドラマはこれから!自分の団体ながら、今後の活動が本当に楽しみです。 資金額を目の前に、何回も考えた。もっと大勢の人を救うには? 皆さんから寄せられた資金は、現在1,262,000円です。これだけあれば、それこそ海外の恵まれない子どもたち数千人分の食費になるでしょう。確かにそういう寄付の形もあります。しかし、私たちが高次脳機能障害者に限定した場合、この金額ではいかに無力かが分かります。10万円の電動車いすを何台か買うこともできるでしょう。でも、お金の使い道はそこじゃない。それでは社会は変わらない。私たちはそう思っています。まずはこの高次脳機能障害という見えない障害を知ってもらうこと、人に伝えてもらうことが大切です。それによって社会が少しずつ動くからです。今までもそうやって無名の病気が有名になって、社会が動き、対策も出てきたという流れを目にしてきました。そして何より、患者さんと家族さんが引きこもっている状況を変えたいという思いが、私たちの活動の根底にあります。そしてその状況を変えるプロセスは、高次脳機能障害に限らないということも感じています。理念は大きいのですが、3人でやれることはとても弱い。だからこそ、仲間のみなさんに相談を投げかけ、意見を伺って、少しずつでも確実に社会を良くしていきたいと思っています。 本を携え、凜とした一歩を。 本は、もうすぐ完成します。原稿は最終チェックの段階に入っています。本の装丁についても、私たちと思いを重ねたデザイナーさんが決定し、今、制作をすすめてもらっています。完成した暁には、支援してくださった皆様に、真っ先にご連絡を差し上げます。この1冊の本をきっかけに、どこまで日本を良くできるのか。希望と同じくらい不安に襲われています。でも私たちはもうたった3人じゃない。200人以上の仲間がいて、そしてその先にまだ見ぬ仲間もいるのです。しっかりと一歩を踏み出して行きたい。そんな「凜」とした気持ちになることができました。皆様、本当にありがとうございました。 もっと見る
感動しっぱなしのクラウドファンディング
2018/03/28 20:41Reジョブ大阪大阪の石原です。クラウドファンディングもいよいよ残りあと3日。現在、延べ212人の方のご支援をいただいております。本当にありがとうございます。私たちにとって、クラウドファンディングは初めての経験です。「やったことないけど、とにかくやってみよう!」と、1月19日にスタートさせました。この間、日々、感謝と涙の毎日でした。ここで改めまして皆様にお礼を申し上げたいです。 本当にありがとうございます。 下川さん、下川さんのご家族に感謝申し上げます。 今回私は、高次脳機能障害の患者さんに、初めて接する機会を作らせていただきました。このクラウドファンディングで出す本を書いている下川さんです。また、私は、一緒にお仕事をさせていただく機会に恵まれました。現在、下川さんとは、LINEでよく会話をしています。また、ZOOMでオンラインミーティングも行っています。2人で一緒に患者会にも出かけ、本の出版のお話をしてきました。下川さんは、とっても面白い、ユーモアあふれる方なんです。また「できる経営者だわー」と感心することもよくあります。そして、何と言っても下川さんのお母様。だれよりも下川さんの本の宣伝をして、チラシ1枚でなんと70冊近くの予約注文を取ってきていただいています。インターネットを使っていない年齢の方が多いので、その方達はクラウドファンディングには参加できないのですが、それでも70冊!凄いと思います。その営業センスも学びたいです。また、いつもとっても面白く、バイタリティーある「大阪のおばちゃん!」です。障害者に関わっていても、いえ、だからこそ、笑顔とユーモアが大切なのだと思いました。本当に、尊敬しています。私たちプロジェクトメンバーの中でも、いつも人気のお母様ですが、SNSでお母様のことをつぶやくと、トップツイートに躍り出ます。世界中で大阪のおばちゃんが人気があるのかもと、感心してしまいます。私も目指せ!大阪のおばちゃんパワー!で、クラウドファンディング終了後も、本の宣伝を頑張りますね! 執筆追い込みの3月末になって、大事件発生! なんと、下川さんの脳出血発症後1年のリハビリノートが出てきたのです。先週、下川さんのお母様から、「ガレージで6年前のリハビリノートがでてきた」とご連絡がありました。「6年前って!?」言語聴覚士の西村さんは大興奮です。私たちも「本が1章分増えるかも!」とその内容に大いに期待しました。まず、西村さんのところにノートが届きました。西村さんは唖然として、病院で泣いたと言っていました。なんと、発症して1年半の下川さんの文は、今の文のような乱れもなく、まっすぐで、字もとってもきれいだと言うのです。内容も、普通の方が書く文章とあまり変わりがないとのこと。私と松嶋さんは、オンラインのミーティングで話を聞いただけでは事態が呑み込めず「字がきれいだったってどういうこと?」と西村さんに聞きました。つまり、このノートは、リハビリを続けながら、仕事にも少し戻っていた頃のもの。その後、リハビリを打ち切られ、仕事も辞め、てんかんで西村さんの病院に再入院した時は、かなり文を書く力が落ちていたということ。そう、リハビリを続けていなかったから、どんどん書けなくなってしまったということなのです。その後、西村さんのところでリハビリを再開し、書くことも続けた結果、また持ち直してきたのでしょう。私たちは、心底リハビリの大切さを痛感しました。 オンラインリハビリを検討、退院後の回復を目指したい 現状の医療保険制度では、長期にわたるリハビリは続けられないと聞いてはいました。現にデーサービスや患者会に通うだけになっています。あとは時々西村さんの病院でリハビリをするのみ。本当はもっともっとリハビリが必要ですし、リハビリの先に目標となるものもないと、リハビリに精が出ません。何か手立てはないものか?と考え、Reジョブ大阪で事業にしようと、「オンラインリハビリ案」がでてきたのです。善は急げ、まずはやってみよう!と相変わらずの私たちは、さっそく、下川さんとZOOMが使えるように設定しました。そして、ZOOMミーティングができるようになり、何回か実施しました。これを通院しなくてもいい言語訓練のリハビリにできないだろうか?と検討中なのです。これができるようになったら、その先、社会復帰できる人がもっと増えるかもしれません。最新のITと障害者の方のニーズがマッチングすれは、他にもできることが増えていきそうです。まずはトライ!そして、少しづつ改善していきたいと思ってます。 もっと見る
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