会ったこともない人からお金を集めるプロジェクト
こんにちは。Reジョブ大阪の松嶋です。このクラウドファンディングも残りあと2日です。活動期間の半分ぐらいのところで、目標金額を達成し、その後も支援額が増えています。本当に嬉しいです。ありがとうございます。支援者の中には、もともと私たちの知り合いだという人が大勢いるのですが、活動前には会ったこともなかったという人達もいます。会ったこともない人達から支援を集めるということ、これは本当に素晴らしい体験でした。CAMPFIREという安心・安全が保証されているしくみを選ぶことも大切でしたが、そこで思いや理念を言葉に直して伝える大切さを学んだ気がします。そしてそれを受け止めて下さったみなさんには、本当に感謝しかありません。
仲間になってください
そう呼びかけて、このクラウドファンディングを始めました。そう「寄付してください」ではなかったのです。実際、現在は本の編集チームが立ち上がり、原稿を入力してもらいましたし、文字チェックもしてもらっています。このクラウドファンディング終了後も、出版記念パーティだの、出張くるみ亭だの、この本の企画に付随する様々な活動がてんこもりです。そんな、若干面倒くさいクラウドファンディングに、大勢の皆様が参加してくださいました。
もともと友人だった人達からの支援も本当にありがたいものです。「これからも何かあった時は、いつでも応援するよ」そういうメッセージを受け取りました。だからこそ、クラウドファンディング終了後も、私たちは仲間を少しずつ増やし、活動を終わらせないことが大切だと痛感しています。そして支援者、いえ仲間の皆さんが応援を求めてきた時には、私たちReジョブ大阪が何かの力になれるよう、考えて行こうと思っています。
年間2,400円しか寄付をしない日本人。でも……
クラウドファンディングを始めてから、私は、色々な寄付をしました。寄付のハードルが下がってきたのです。以前からお手伝いしていたイベントを通じてのユニセフやあしなが育英会への募金を始め、初めて動物保護団体にも寄付しましたし、友人のクラウドファンディングやポルカにも寄付しました。
日本人には寄付という意識がとても低いという話を耳にします。例えばあなたは年間いくらのお金を寄付に使いますか?私はこのクラウドファンディングが始まる前は、だいたい月に500円くらい、チャリティイベントで、10,000円くらい、年間でもせいぜい2万円程度です。この数字は日本では多い方で、日本人の平均寄付額は、年間で2,400円程度なのだそう。それに対し、アメリカでは、その約100倍で、年間26万円くらいです。どうでしょう?年間26万円の寄付をできますか?みんな自分の生活のことで精一杯。私だってそうです。でもこの寄付の心が社会を良くし、巡り巡って自分に返ってくる。そう「情けは人のためならず」その仕組み自体は日本人にも馴染みがあると思います。そして二度の大きな震災や、その他自然災害が発生した時には、非常に多くの寄付金が集まります。ただ、いかんせんそれが長続きしないのも日本の特徴です。その原因は、資金運用の不透明性と、日本人の寄付の経験値の低さにあると思います。
不透明性に関しては、集める方にも責任があります。使い道の透明化が必須です。私は毎日小銭を東日本大震災の寄付にするという地味な寄付をあれから7年ずっと続けています。ただこの募金箱の先はどうなっているのだろう。ちゃんと届いているのかな。そんな不安があるのも否めません。私たちはNPO申請中ですが、資金の流れを公開する義務があります。
寄付の経験値を上げる為に、何かを通じて寄付をするという形が、日本人には向いていると感じます。食べたものや買ったものの売上の一部が寄付になる、被災地の商品を購入することが支援になる、そういう間接的なものに寄付をしやすいようです。私はそこをもう少し押し広げ「自ら参加する」形の寄付にこだわりました。本の出版を手伝う、出版した本に添えるビデオレターを撮影する、本の出版がゴールなのではなく、ずっとずっと続く活動の仲間になってもらいたかったのです。関わっているあいだじゅう、ずっとずっと主体的に支援することになります。そしてがっつり関わるのか、時々様子を見る程度の関わりなのかは、支援者が選べる、そんなリターンを設計しました。クラウドファンディングは終了しますが、ドラマはこれから!自分の団体ながら、今後の活動が本当に楽しみです。
資金額を目の前に、何回も考えた。もっと大勢の人を救うには?
皆さんから寄せられた資金は、現在1,262,000円です。これだけあれば、それこそ海外の恵まれない子どもたち数千人分の食費になるでしょう。確かにそういう寄付の形もあります。しかし、私たちが高次脳機能障害者に限定した場合、この金額ではいかに無力かが分かります。10万円の電動車いすを何台か買うこともできるでしょう。でも、お金の使い道はそこじゃない。それでは社会は変わらない。私たちはそう思っています。
まずはこの高次脳機能障害という見えない障害を知ってもらうこと、人に伝えてもらうことが大切です。それによって社会が少しずつ動くからです。今までもそうやって無名の病気が有名になって、社会が動き、対策も出てきたという流れを目にしてきました。
そして何より、患者さんと家族さんが引きこもっている状況を変えたいという思いが、私たちの活動の根底にあります。そしてその状況を変えるプロセスは、高次脳機能障害に限らないということも感じています。
理念は大きいのですが、3人でやれることはとても弱い。だからこそ、仲間のみなさんに相談を投げかけ、意見を伺って、少しずつでも確実に社会を良くしていきたいと思っています。
本を携え、凜とした一歩を。
本は、もうすぐ完成します。原稿は最終チェックの段階に入っています。本の装丁についても、私たちと思いを重ねたデザイナーさんが決定し、今、制作をすすめてもらっています。完成した暁には、支援してくださった皆様に、真っ先にご連絡を差し上げます。この1冊の本をきっかけに、どこまで日本を良くできるのか。希望と同じくらい不安に襲われています。でも私たちはもうたった3人じゃない。200人以上の仲間がいて、そしてその先にまだ見ぬ仲間もいるのです。しっかりと一歩を踏み出して行きたい。そんな「凜」とした気持ちになることができました。皆様、本当にありがとうございました。